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38話『耳切りエルフと森のエルフ』 

38話『耳切りエルフと森のエルフ』 



ウチらエルフのルーツは、皆元は同じ国の狂欲病被害者だ。

とは言え他の被外国と比べればエルフは随分とマシな暮らしを

していたと思う。長命になりたいとか、時間を超越したいとか

魔法を使いこなしたいとか、いろんな奴の欲が同時に狂って

今のエルフが生まれたらしい。


ゴブリンなんかとは違って理性はあったからエルフになってからも

長い期間そのままエルフの国を安定させていた。

でもそれが気に入らなかった人間や女神連中に国を焼かれ、

結果的にエルフは世界から追われる身になってしまった。

その事件で族長の娘だった私は孤児になって…

一人ぼっちになってしまったウチを貧しかったはずの姉貴の家族が迎えてくれて

…ウチらは一緒に暮らすようになれた。だからウチと姉貴に血縁関係はない。


あの事件の発端はウチの血統が原因なのは目に見えて明らかだった。

だからウチ以外の家族は女神に連れて行かれたし、ウチだけは

伝承魔法を提げて逃されることになったんだ。


今のエルフの立場も…ウチが原因だ。ウチのせいで

追われる様になってからは何かが起きる度に森を転々としながら

女神から逃げながら生きてきた。


まぁ当然無理に元の森に残る奴も居れば、退屈で森を出る奴も居た。

ウチから離れれば安全だと考えて離反する奴は大勢いたし

誰もそれを咎める気はなかった。


だからこの耳切りエルフみてぇな奴が外に居る事も

当たり前に納得出来る


……ウチらエルフは狂欲病被害者の中でも一番人間の

姿を保ってる…だから後になってまた人間との共存を目指す奴もいたりしたらしいが。


まぁ世間は冷たいもので、病気が移るだの、耳が伸びるだの、呪われるだのそりゃひでぇ扱いを受けて、最後には殺された方がマシな扱いをされたなんて話も聞く


だからこの耳は私達を人間世界から追放する足枷と

考える奴が居る事も理解出来る。


エルフの耳は…それだけで人の世界じゃ奴隷の烙印だ。

ウチらは存在するだけで誰かに物として扱われ

物として欲しがられる。


まぁ…その上で……ウチに言わせれば



アカネ「くだらねぇ価値観持ってんなよな!!」


ミキ「!!」


ミキが斬撃系の弾幕魔法を四方に食らわす。

しかし森のエルフ、アカネは建物を伝い

立体的に弾幕を避ける。当たればタダでは済まない

弾幕の雨…だが日頃似たやり方で敵を追うアカネにとって

この攻撃を避け続ける事はそう難しくはなかった


アカネ「自分らしさ捨ててまで人間になりたいか?!」


ミキ「黙れ!!!……森のエルフが分かった気になるな!!!」


アカネ(コイツ…遠慮無しに弾幕を…でもその割に決定打に欠ける…)


ダダダダダダダダダダダダダダダダダ


アカネ(……!!あぁそうか!!」


アカネ「やる気あんのか?軍人エルフ!!」


ミキ「くそっ!」


ミキ(コイツ!!もっとコンパクトに戦えないのか?!

これじゃ街の人に当たってしまう!!)


アカネが商店街の方角へ飛び上がる


ミキ「なっ!!」


ミキの攻撃が一瞬止まる

最も人の集まる場所への攻撃を躊躇したのだ


しかしこれは


アカネ「はっ!」


隙を生むための………罠


ミキ「しまっ」


瞬間、ミキの回りに葉が流される

ミキの視線が葉に流れ…その葉は

炸裂する


アカネ「「乱れ花火!!!」」


バババババババババババババババババババ


この攻撃はミキを狙った物ではない


ミキ(くっ……そ!)


ミキ「ゲホッ…視界が!」


爆風。この爆破により

土煙が舞い上がり視界を奪われ

爆音と共にエルフの視覚聴覚は完全に無力化される


そしてこの攻撃の意味はそれだけに止まらない。

殺傷力の少ない威力のわりに、巻き上がるのは大きな爆風


ここは街のど真ん中近くは商店街

こんな爆風が瓦礫と共に飛散すれば当然

騒ぎが……起きる


これによりアカネの逃走の隙が生まれ

市民の混乱により、軍人のミキは

アカネを追う事が出来なくなる。


町民「なんだ!!爆発が起きたぞ!」


冒険者「誰か誤爆したのか?!」


町民B「おいおい何が起きたんだ?!」


ミキ(マズい…町の人が集まってくる…!!)


ミキ(あのエルフは?!)


ミキ「くっそ……逃げられた…!!」




アンタがやってる事を…正面から否定する気にはなれねぇ。

ただ普通の人間として生きられれば、確かにウチらは誰も

苦しずに生きられるかもしれない。

それでも…ウチは耳も血も全部自分らしさとして受け入れたい。

これを持っている事でどれだけ逆行に立たされようと

貰った幸せまで否定したく無いんだ。


それを捨てて逃げちまったら…

貰った恩まで捨てたみたいで嫌なんだ。


だからウチはエルフである事からも女神である事からも

逃げない。この運命さえもウチの一部なんだ


だからウチは…アンタみたいに耳を切ったりしない。



[ギルド 屋根の上]


探索の中で見つけた町でもトップクラスに大きい建物の屋上に

待避し辺りを見渡す。


遠くにはさっきの爆風の土煙が見える


アカネ(さて…ひとまず危機は脱した…)


アカネ(だが…どうしたもんか…もう長居は出来ねぇぞ)


アカネ(女神達と合流するか?……いや場所がわかんねぇ…)


アカネが当たりを広く見渡す


遠くの空に……何かが見える……


飛んでくる…あれは


翼を生やした


アカネ「んぇ?!」


アカネ「ル、ルナさん?!!」


ルナ「やっっっと見つけた!!」


ルナがギルド屋上に着陸する。

人々の注目が地に向いている今、ルナは安全に

街にやってくる事ができた。


ルナ「もう!!駄目ですよこんな勝手なことしたら!!」


アカネ「……いや…はい」


アカネ「…?でも何でここが…」


ルナ「貴女が全然見つからないから、まさかと思って町の方まで探しに来たら」


ルナ「町で爆発が起きるわ、ギルドの屋上に大きな魔力の塊が見えるわで」


ルナ「貴女以外あり得ないと思ったから」


アカネ「……」


ルナ「それで…満足しましたか?」


アカネ「……?」


ルナ「せっかく町に出たんですから、何か見付けたりしましたか?」


アカネ「…いやぁ…それが」


ルナ「?」


アカネ「変な奴に絡まれてばかりでさ…挨拶されたり…職質されたり…」


アカネ「あ、それで、職質してきた奴がエルフの軍人で!

ウチがエルフだって分かった瞬間急に襲ってきたんだぜ?

!」


ルナ「あぁ…」


ルナ「それじゃあ…マヤさん達とは会ってないんですか?」


アカネ「…そういや見てねぇな」


ルナ(マヤさんの魔力って探知しやすいのに花の女神のアカネさんに探知できないって事があるかな….?)


ルナ(…!!もしかして森の高濃度魔力を見すぎて感覚が麻痺しちゃってる?)


ルナ「うーん…一応ここから探してみましょうか」


ルナが辺りを見渡すと


4秒後にマヤを見つける


ルナ「あ、見つけた!!」


アカネ「?!早?!どこ!!」


ルナ「ほら!あの!あっちの大きい建物!!」


ルナ「確かあれは軍の本部で……」


アカネ「あぁ!!」


アカネ「じゃあ今兵士ぶん殴ってるのが!!」


ルナ「そう!それが!」


ルナ「……」


ルナ「え?!」





[軍 本部前]


数人の軍人を殴り飛ばすマヤ。

あたりに野次馬はおらず、この場には現状殴られてる

彼らだけしか姿が見えない。


その間俺はマヤに言われて物陰に隠れている


マヤ「オラオラオラぁぁぁぁぁ!!」


マヤ「「「拘束魔法!!!」」」


マヤが門兵を襲っている……


マヤ「さて。」


「?」


マヤ「これで私達の目撃者が沢山出来ましたね」


「出来ましたねぇ!ほんと!」


「…もう町に帰れねぇよ…」


マヤ「つまりこれから軍はこの私達の姿を探すわけですよね?」


「まぁそりゃ姿がバレてたら………」


「!!」


マヤ「じゃあ姿を変えてしまえば、私達を見失うと言う訳ですよね!!」


マヤ「「「「「変装魔法!!!」」」」


マヤの十八番の変装魔法。


かつてムキムキスキンヘッドで俺を惑わせた

巧妙な魔法で、ありふれた兵士の姿に


俺達2人は変装した!!!







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