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27話『エルフの姉妹』

27話『エルフの姉妹』



バードストライクによる墜落の後、ほんの10分程度で目を覚ます

まだ上手く体に力が入らない。少しずつ視界が開けてきて

自分の体を見ると不思議な事に怪我が少ない。マヤが回復魔法を使って

くれたのだろうか?それとも、落下の直前に聞こえたルミナスグラビティと言う

初めて聞く名前の技で何か特別な事をしたのか?今の状況だけではよく分からない。


ふと仲間の事が気になり辺りを見渡すと


耳の長い女の子を見慣れない魔法で木に縛りつけているマヤさんと目が合った。


流石に訳が分からず話を聞くと、

どうやらこの縛られてる人はエルフで

俺が眠っている間にいち早く目覚めたマヤさんが急に襲われて

ルナさんと二人でどうにか捕えたそうだ


それで今はこうやってマヤは拘束と尋問を

ルナさんは空で索敵と現在の座標を調べているらしい


[エルフの森 エルフを拘束している木の前]


ドレイン系拘束魔法を模倣したマヤがエルフを縛りつけて

軽く尋問している。

俺はその様子を、黙って横から見ている


エルフ「………」


マヤ「どう?君の拘束魔法を再現してみたんだけど」


マヤ「昔知り合いにドレイン系魔法の基礎を教えてもらってたからね、君に一度食らったおかげで私でも真似出来たんだ」


マヤ「とりあえずこの木に縛ってる内は、木から魔力を吸って拘束は強化され続ける。器用でも非力なエルフじゃ壊せないんじゃない?」


エルフ「……女神がこの森に何の用?私達の命でも奪いに来たの?……それとも…また同じことをする気?」


マヤ「…ごめんね。質問は私からさせて貰うよ」


マヤ「私は貴女達エルフの過去を知らない。だけどどうして貴女は女神を知っているのかな?」


エルフ「…女神が…エルフの過去を知らないって?」


エルフ「とぼけないで。私達にしたことを忘れるわけが無いでしょう?!」


エルフ「…!悪魔の翼も!転生者も!!全部お前達が!!」


「………」


やはり女神には…何かがある



???「あれ?やられてんじゃん」


エルフ「?!!」


マヤ「!!!げーっ」


「まじか………」


声のする方角。

エルフを拘束している木から見て

真正面の位置にある大木の上


逆光に照らされるその姿は


長い耳の……


「エルフ!!!」


???「ゆか姉さぁ、一人で戦うから負けるんだよ」


マヤ「もう一人…増えちゃった」


???「よっと」


もう一人のエルフが木から飛び降りる

ドサッ

???「助けに来たよ。ユカリ姉ちゃん」


ユカリ「なんで来たの?…アカネ」


俺達を挟んで二人のエルフが目を合わせる



マヤ「へーお友達?羨ましいね」


アカネ「ユカ姉はユカ姉だ」


マヤ「あ、ごめん姉妹か」


マヤ「今のは私がおかしかった」


マヤ「いやぁ友情への憧れの先行ですな」


「言ってる場合か!」


状況を整理しろ!!

ユカリって呼ばれてたこのエルフを拘束してる木を

今俺とマヤで囲んでいる!

もう一人は俺達の正面…!上空には今ルナさんが偵察をしている……


人数は有利、そもそもの地の利もこちらにある!!!


アカネ「魔法使いには…!このやり方が一番ハマる」


マヤ「!」


ユカリ「アカネ!!コイツは月の女神だ!!」


アカネ「っ!」


どんな技を使おうとしたのか分からないが、察するに

対女神特化の戦法と取ろうとしていたアカネを

ゆかりが制止する。これにより俺達は一つ目のチャンスを逃す


マヤ「ちぇっバレた」


マヤがこの位置を離れて攻撃に出るのは…捕えたゆかりに隙が生まれてしまう危険…だからと言って俺が攻めても何も出来ない…じゃあやるべきは…!


「ルナぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


自由に動ける仲間を呼ぶ!!


ルナ「………!」


アカネ「あーはいはいはいはい。理解した。」


マヤが武器を構え

ルナが急降下


間違いなく確実な勝ち筋


だが


イレギュラーはやってくる。


アカネが腕を掲げ


指を鳴らす


アカネ「着火!!!!」


パチンッ

ドカァァァァァァァァァァァン!!


「んなっっっ?!!」


マヤ「えぇ?!」


ルナ「!!!」


突如ゆかりを拘束していた木が根元から爆発した。


爆風で俺とマヤはふき飛ばされる


突風を受けルナの体制が崩れる


当然。森の賢者はこの隙を逃さない


ユカリ「「拘束魔法」」


シュルルルッ

光の蔓がこちらに迫る

「!!!!」


何だ?!いや、これはマヤが拘束に使ってた魔法?!

くそっ捕まったっ


二人は?!


地面に這いつくばった隙を逃さず、爆発で解放された

ユカリが俺を拘束している。

アカネの狙いは射程内に全ての敵を集めた上での

一掃と仲間の解放。これを一手で終える事だったのだろう


まんまと策にハマり地に伏せた俺が

顔を上げると


ルナ「…うっ…ぐっ」

吹き飛ばされた大木に体を潰されている。


「る、ルナさん…!」

遠目で見ても明らかな重傷


マヤ「!!!!」

何とか爆風から体勢を立て直し、臨戦態勢のマヤ


そしてエルフが二人並び立つ


ユカリ「……何で出てきたの。私は貴女の為に…!」


アカネ「まずは褒めてよ!」



くそっ拘束されて動けない!!……動けない…?


いや…これ…



アカネ「月の女神は戦闘特化だろ?何で魔法が使えるんだ」


ユカリ「魔法は女神の基礎能力。あれは血統因子。

ちゃんと話聞いてたの?」


アカネ「なんだ、勘違いしてた」


アカネ「月の女神って明らかにズルくねぇか?」


ユカリ「そもそも女神がエルフの上位互換だからね」


マヤ「…違うよ」


アカネ「あぁん?」


ユカリ「!!」


明らかな空気の揺らぎ

らしくない言葉使い

マヤの


マヤ「君達エルフが女神の劣化コピーなんだよ」


明らかな挑発行為


棒立ちで、隙だらけの佇まい。マヤは明らかに攻撃を誘っている。

冷静なユカリは咄嗟の怒りに任せない。


だが


ユカリ「乗るなアカネ!!」


アカネ「着火!!!!」


狂犬エルフの妹は既に獲物に飛び付いていた


ドカァァァァァァァァァァァン!!

マヤの足元を狙った攻撃


先程に続いてニ度目の爆破技


マヤは咄嗟に飛び上がり、爆風を利用し初速を決める


ドカァァァァァァァァァァァン!!

続け様にマヤの着地点へ向けた爆破


追うアカネ


逃げるマヤ


命懸けのリズムゲーム。

一手でも誤れば足が吹き飛ぶ状況でマヤは

森を縦横無尽に駆け巡る


マヤ(爆破魔法?……でもちょっと違和感。何で私を直接爆破せず地面や木ばかりを狙うの?)


マヤ(それにこんな魔力濃度の高い森で爆破なんて普通は一瞬で引火するはず)


マヤ(やはり何か種が)


アカネ「ちょこまかと!!」

痺れを切らしたアカネが、広域の地面を照らす

これにより、広範囲の爆破を警戒したマヤの視線が

地面へと向けられる。


だがこれはマヤの即応力を利用した明確なブラフ


マヤ「!!」


アカネ「上だ!間抜け!」


アカネが指差す方には

連続した木々の爆破によって開けた空が見える


度重なる爆破で森は揺れ、爆風は葉を空へ運ぶ

そうして宙を舞うは葉っぱは

雨の様に森に降り注ぐ。


その葉は閃光のように、そして花火のように


可憐な殺意で爆破する


アカネ「乱れ花火!!!」


舞い上がる葉の雨が一つ一つ弾け飛ぶ

ババババババババババ

クラスター弾の様に

ババババババババババ

花火の様に


この攻撃に殺傷力は無い。だがしかし

当たれば確実にただでは済まない攻撃の雨に

八方を塞ぎ、一切の行動を封じる。

流石のマヤも一瞬、思考ごと行動が停止した


その隙を逃さずアカネは追撃に出る


アカネ「着火!!」

先程ブラフに使った大技で地面の広域爆破を狙う


だが


月の重力は


既に軌道を決めている


マヤ「「「「ルミナス・グラビティ」」」


瞬間。アカネがマヤの元に勢い良く吸い寄せられる。

それはとても力強く、まるでマヤ自身の引力に吸われるかのように

爆破よりも、認識よりも何よりも素早くアカネは女神の元へ導かれる

ユカリ「アカネ!!!!」



ドカァァァァァァァァァァァン!!

咄嗟に技のキャンセルを狙うも威力軽減が半端に終わり

アカネはマヤに触れると同時に盛大に自爆する。


その光景にユカリは気を取られ

ブチィィィィィィッ

拘束魔法を破られる


ユカリ「?!!」


「よそ見!!してんじゃねぇ…ぞ!!」


ドサッッッ

ユカリを押し倒し押さえ込む。

非力なエルフではこの拘束を解く事が出来ないようだ

ユカリ「うぐっ」


ユカリ「なん…で」


ユカリ(…何故…!彼はどうやって拘束魔法を突破したの?!)


ユカリ(月の女神の馬鹿力でもなきゃ、普通の人間は魔力を吸われた時点で体力もなくなるはず………!まさか)


ユカリ「貴方魔力が…!!!」


「「「「メモルヴァメモリー!!」」」」


ユカリ「うっっっ」


「悪いが一時的に抵抗の意思だけ削がさせて貰うぞ」


あまり使いたくなかったが…止む追えない、ほんの十分間程度の

アカネとか言うエルフが来る直前までの記憶を消させて貰った


これで…


そうだ!


「マヤ!!」


原理は分からないがマヤが今爆破の直前にエルフを近付けて

自爆させたんだ


どうなった?!決着は?!



葉を散らす爆炎の向こうには


ゆっくりと人影が浮かぶ


そこには倒れ込むアカネの姿と


ただ一人地に足をつけた女神の姿があった





























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