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23話『始まりの国』


23話『始まりの国』


[病室]


風の靡く夕方の病室でついにアイリスの記憶を開く。

夢双病から目覚めないアイリスが魔王の力で閉された

心を、俺のメモルヴァメモリー…開く力でこじ開ける。


「「「「メモルヴァメモリー」」」」


マヤ「…どうですか?…これで恐らく、彼女が魔王に閉じられた心の蓋は開くはずです」


マヤ「魔王の能力が施錠と付与なら、君の力は

解錠と削除ですから」


マヤ「魔王の鍵を君なら開けられるはず…ですが」


「……………」


マヤ「?」



「………結論から言えば、解錠は出来た…でも目覚めはしない。恐らくは魔王自身か、別の吸血鬼によってアイリスだけが個別に夢双病にされているんでしょう。そっちの原因を潰すまでは目覚めないでしょう」


マヤ「やはり…ですか、残念ながら女神の魔術でも夢双病の治癒は難しいので、

直接叩くしかないかな」


マヤ「ところで、開けたって事は…見たの?アイリスちゃんの記憶」


マヤ「何か手がかりとか…無いのかな」


マヤ「ごめんね。ほんとは魔王の居場所も私が知ってれば早かったんだけど…私達もかつて封印されたとしか教えられてなくて…現在の動向がまるで分からないから…」


「…………アイリスの記憶は…話に聞いてた転生者の部分は見えましたが、あまり多くは見る事が出来ませんでした。まぁ、その人の顔もはっきり見えなかったけど…」


ルナさんの時より明らかに見れる範囲が狭すぎる。

本当に一瞬だった…いや、あの時と状況は似てるようでまるで違うか。

今はただ一瞬触れただけで、あの時はルナさんに血を飲まれた上に

夢双病を経由して夢の中で見たんだ。差があって当然。

……だがこれでわかった事もある。この力には恐らく練度以上に鍵となる要素、繋がりが力に作用する可能性がある。

前回は物理的な接触と…王ゴブリンの件でルナさんとは繋がりがあった。思えば見えていた範囲は俺にも関連する部分ばかりだった。

そして今回もそうだ…俺が見たのは例の冒険者との記憶と………もう一つ


「気を失う直前の…アイリスが聞いたであろう魔王の声を聞きました」


マヤ「!!大収穫じゃん!」


マヤ「何て言ってたの?」


「正直…はっきりと聞こえた訳じゃないですが」


マヤ「うん」


「魔王の居場所が分かりました」



[秘密の隠れ家]


アルピス「しかし、魔王を奇襲すると言っても

場所が分からないんじゃそうすぐには」


グラルト「…問題ない」


アルピス「問題ないって…まさか」


アルピス「知ってるんですか?!」


グラルト「まぁな……いや、正確には仮説があるだけだが」


アルピス「?」


グラルト「…今はもう滅んだ国に居る可能性がある」


アルピス「?そんな国、魔王誕生後は無限にありますよ。

絞りきれますか?」


グラルト「…気になるのは滅び方の方だ」


アルピス「滅び方?」


グラルト「単に襲われて壊滅したのか、二次被害を受けたのか、まぁ魔王に滅ぼされた国は数あれど」


グラルト「魔王発生と共に滅んだ一番最初の被害国だけは訳が違う。」


グラルト「その国は。ゴブリンの発生地の可能性がある」


アルピス「……え」


グラルト「まぁ仮説の粋はでないが。ここに行けば少なくとも足跡は辿れるはずだ」


アルピス「確かに…時期を考えれば魔王との接触が無かったと考える方が不自然…もし今は居なくても、手がかりはみつかもしれないのか」


アルピス「…それでその国はどこにあるんです?把握してるんですよね?」


グラルト「あぁ。とは言え、俺が把握してんのは記録だけな。」


アルピス「?」


グラルト「解読に時間かかっててよ、チマチマ読んでんの」


アルピス「どう言うことですか?」


グラルト「軍の検閲を生き延びた、大昔のガイドブックをギルドに隠してるんだ」


アルピス「ガイドブック?…確かにそれなら昔の地図も乗ってるかも知れないのか」


グラルト「そゆこと」


アルピス「しかし…そんな本、良く今まで見つからずにギルドに隠せましたね」


グラルト「いやぁギルド担当が君で良かったなぁって思うよ。何せ隠してたの本棚だし」



アルピス「?…あ!確かに図書館の本棚までは細かく確認してなかった」


グラルト「だろ?あそこに置かれる本ってのは基本厳しい検閲乗り越えてる。だから誰も疑わない」


アルピス「異物があるって発想が抜け落ちるから」


グラルト「古代の本が混ざろうと滅多に誰も見つけないし気にしない」


アルピス「あそこ利用者も少ないですもんね」


グラルト「木を隠すなら森の中へ。だ」


アルピス「?」


グラルト「ゆきなに教えてもらったことわざ」


アルピス「うまいですね」


グラルト「だろ?」


アルピス「それで、今からその本を取りに行って、場所を確認するんですか」


グラルト「あーそれなんだが…多分もうギルドにはねぇんだよな」


アルピス「え」


グラルト「まぁ安心しろ!地図の写しだけは取ってるからその辺は問題ないぞ!」


アルピス「そうじゃなくて…無いって…どう言うことですか?まさか軍に見つかって…だとすれば」


グラルト「ん?…あぁいや、軍にはまず取られてねぇよ」


アルピス「それじゃあ…誰が」


グラルト「さぁな。でもまぁ、ソイツはきっと、俺達の敵じゃねぇよ」


アルピス「…それなら…まぁ安心ですが」


グラルト「目先の目標が決まったんだ。早速準備に入るぞ」


アルピス「はい!」


アルピス「ところで、その国の名前はわかるんですか?…もしかしたら今なら軍の書物で調べられるかもしれません」


グラルト「いいよそんな事しなくても」


グラルト「でもそうだな…名前…言ってなかったな」


アルピス「知ってるなら教えてください」


グラルト「…笑うなよ?」


アルピス「?」



グラルト「俺達がこれから向かう国の名前は………」



[????国 魔王城]


魔王「ゆきなちゃんの秘密知っちゃったから、私も

秘密を教えてあげる」


ゆきな「…?」


魔王「この場所が何処か、私がどんな人か、力の事も何でも教えたげる」


ゆきな「場所って…魔界でしょ?女神様から話は聞いてるからね。私はむしろ貴女の能力を知りたいかな」


魔王「魔界?…今そう呼ばれてるんだね」


魔王「ここはね。大昔は」



魔王「こうやって呼ばれてたんだよ」



[洞窟]


ルナが隠れ蓑にしている洞窟にマヤとやってきた。

二人はこれで2度目の邂逅になる


ルナ「………貴女は」


マヤ「え、この子って…まさか」


マヤ「君が匿ってたの?…」


「話は今からじっくりと。でもまぁ、時間は取れないか」


「ルナさん。落ち着いて聞いて下さい。そして…教えてください」


ルナ「?」



「魔王の現在地が分かりました。」


ルナ「!!!」


「魔王が今居る場所は………」



ある者は記憶の中から

ある者は記録の中から

ある者は自らの足で


全く異なる場所で、全く異なる三人が

それぞれの道で同じ結論へ到達する。


現在の魔王城、全ての答えが交差する座標


それはどんな道を辿っても巡り合う運命の場所


三者三様。その言葉が共鳴する


●▲■・グラルト・魔王「「「グラルト国」」」



ルナ「!!!!!」


「魔王は今ウルト城に居る」


ルナ「……どうして」


マヤ「正直…理由は分からないんだけどね」


「魔王がアイリスの記憶を介して俺達を誘ってるんでしょう」


「ルナさんに改めて…お願いがあります」



「グラルト国の場所を教えて下さい」





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