22話『女神同盟』
22話『女神同盟』
マヤ「…見たかったら、私の中を見ても良いよ」
マヤ「…嘘じゃないよ」
マヤ「……私ね、ほんとは女神から逃げてきたんだ」
マヤ「ねぇ…お願い」
マヤ「私を守って」
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[アイリスの家 夜]
「……わざわざ見ませんよ…記憶なんて」
本当にもう…何も頭が回ってねぇ…この人は、マヤさんは何を知っている?結局メモルヴァメモリーって何なんだ?
マヤさんが俺に与えたって?いつ?…いや転生した時以外あり得ないか…でもそれでクビって事は……この力は女神にとって重要な物だったってことだよな…
何の為にそんな、俺なんかに…まさか俺これから女神に狙われちまうのか?あ、いや俺ってのはバレてない可能性が……そもそもなんで俺にこんな力……
あーだめだ。今の俺の頭じゃもう何も考えらんねぇ
もうこれに賭けてみるしかねぇ…か
「……正直聞きたいことは無限にあるので、それを俺に教えるのが条件です」
マヤ「もちろん!…もちろんその条件を呑みます」
マヤ「むしろ…それだけ良いんですか?」
「?えぇまぁ、はい。今一番困ってる事なんで」
「あ、もちろん嘘は言わないでくださいよ」
マヤ「言いませんよ…」
「裏切りとかも無しですからね!俺目線の女神って普通にめちゃ怪しいんですから」
マヤ「…やっぱり記憶は読んでください」
マヤ「メモルヴァメモリーなら読んだ上で、私の記憶を操る事も出来ます」
マヤ「信用がないなら…信用できる記憶に変えてしまっても良いです」
「しませんよ。絶対にそれだけは」
「当然読みもしない」
マヤ「見るだけでも構わないですから…」
マヤがこちらの手を取り、自分の頬に当てさせる。
メモルヴァメモリーを使わせる為か、それとも
他の理由か、少なくともマヤの手は震えている
マヤ「お願いします…」
マヤ「…貴方からの信用を得ないと…私は」
そう…そうだ。合理的に考えると、覗くだけ覗いて損はない。もっとも確実的で…まぁ読み方はわかんねぇけど、
聞けば分かることだ。
マヤ「私は私の保身の為に、リスクの事を分かっていながら
自分の為だけに私は貴方にこの力を預けてしまった」
マヤ「私のせいで……君は…」
「…」
この人にどんな理由があったのか、何故こうなったのか、
そんな事今は想像さえ出来ない。でも唯一確信した事がある
この人は、本当に何一つ隠す気がない。
覗いて仕舞えば確かに一瞬で全てを知れるだろう。
でも…それで俺はマヤさんを信じる事が出来るのか?
信頼と信用は本質が全く異なる…だから無理にこんな事する必要がない。
何より俺は
「マヤさんの言葉で聞きたいです」
マヤに握られた手を振り払いながら、でも見捨てる訳でもなく
ただ真っ直ぐと目を見て伝える
マヤ「…え」
「情報を得るだけなら…きっと本当に覗いてしまう方が早いんでしょうが」
「でもそれじゃ…俺はマヤさんを信用できても信頼出来ない。多分それはマヤさんも同じだと思うんです」
マヤ「…」
「俺…正直まだマヤさんの事全然知らないんですよ」
「マヤさんが月の女神で、大罪を犯して、クビになって、
でもそれだけしか知らないんです」
「何を好きとか、何が嫌いとか、そんな些細な事は何にも知らない」
「だから…知っていきたい」
「最近、メモルヴァメモリーについて色々考えてました。
どう使うべきかとか、何でこんな力があるんだとか」
「まだ分からないことだらけだけど、一つだけ自分で見つけた答えがあるんです」
「俺はやっぱり、ズルをしてまで人を知りたくない。
……地道に…地道に言葉を交わして、少しずつ相手を知りたい。」
「俺はこの力を武器にする。でもズルにする気はさらさらない」
「………まぁ、だから…ゆっくり聞かせてくださいよ」
「もう女神様じゃ無いんなら、今日から対等ってことで」
「俺の事裏切らないで下さいよ?」
マヤ「…裏切らないよ……」
マヤ「…裏切らない」
マヤ「……………ありがとう」
マヤ「今日から友達だね」
「え、あーまぁそうなるんですか…ね」
マヤ「あは、やった」
マヤ「君の知らない事、私が知ってることなら何でも教えるからさ」
マヤ「…私の事、ちゃんと守ってね」
「……今さらですけど守るって…何から守るんです?」
マヤ「……女神だよ」
「…ですよね」
…何となく察しはついてたが…いやまぁそうなるよな…
マヤ「女神って一重に言っても、月とか花とか風とか、いっぱい居るんだけどね」
「…多いっすね」
マヤ「私はこれから全ての女神に狙われる事になるんだ」
「…いやマジ何やらかしてんすか!マヤさん!」
マヤ「…ほんとごめん」
マヤ「……えっとさ、…いやそう言う立場に無いのは承知なんだけど」
「?」
マヤ「もう一つ!…もう一つだけ…お願いが…あります」
「?」
「え、また面倒事の追加ですか?!」
マヤ「流石に違います!!」
マヤ「あ…いや………もしかしたら嫌かもですけど」
「え?」
マヤ「私実は…友達…居たこと無くて…」
マヤ「君が…初めてだからさ」
マヤ「えっと」
マヤ「私とも…タメ口で…お願いします」
「あぁ、まぁそれくらいならいいで、あ、良いゼ!…?」
「…なんか変だな」
マヤ「やった」
マヤ「……それともし良かったら」
マヤ「私の事。マヤって呼んでほしい…な」
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[軍本部 元帥室 昼]
元帥室に足を引いたアルピスがやってきた。
アルピス「申し訳ございません。やはりキチガイマンの動向は未だ掴めておらず…今も捜索を続けています」
ヴァルキリー「そうか。だが仕方がない」
ヴァルキリー「そもそも君は動ける状態じゃない。
無理に働かず今は休んだらどうだい?」
アルピス「しかし、戦えないからと言って簡単な仕事を疎かにしていては示しがつきません」
ヴァルキリー「早く戦線に復帰するためにも休めと言っているんだよ?アルピス」
アルピス「しかし…」
ヴァルキリー「構わないよ。彼の失踪も、軍やギルドの修繕も、どれも今に始まった事じゃないんだ」
ヴァルキリー「今は休む事。それが最善のはずだ」
アルピス「…」
ヴァルキリー「仕事は他の子達に私から回しておくから、君はしばらく休むんだ」
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[秘密の隠れ家]
グラルト「だははは!それでお前合法的に仕事サボれる様になったのか!そりゃ良いな!」
アルピス「…正直しばらくは隠しながら両立する気だったんですけどね」
グラルト「いやそりゃ流石に無理だろ、俺が見つかんないって虚偽の報告をし続ける以上、お前仕事進まねぇじゃん!」
グラルト「難儀だなキチガイマン係」
アルピス「それは貴方のせいですよ?!…なんでまだこそこそしてるんですか。やましいことも無いのに」
グラルト「やましいことはあるだろ」
アルピス「?」
グラルト「これから禁忌に手を染めようって奴守るんだぜ?今の状況は利用した方が都合が良い」
アルピス「まぁ…確かに?」
グラルト「それに、ゆきな助けんのにも都合良いしな一石二鳥だ」
アルピス「確かに、動向がバレてなければ魔王城に奇襲出来るかもですしね」
グラルト「そゆこと」
グラルト「しかしまぁ…今のうちにお仲間には挨拶しとけよ」
アルピス「……えぇ。」
グラルト「事が進めば。お前は軍への復帰が叶わない所か、確実に狙われる事になる」
グラルト「まぁそのための」
アルピス「そのための貴方です」
アルピス「ちゃんと僕のこと守って下さいよ」
グラルト「…まかせとけ」




