19話『魔王の呪い』
19話『魔王の呪い』
マヤさんが女神をクビになったらしい。
女神って失業とかあるのか?とか
なんでクビになった?とか
ただでさえ多かった疑問が更に生まれてしまった。
咄嗟に訳を聞こうとしたが、いきなり考えも無しに
踏み込むべき内容では無いと考え、一度この話は
自分なりに考えてから聞き出す事にした
とりあえず今は、マヤさんに話せる限りの情報を話して、当初の予定通り
聞き出せる範囲の情報を得る方針で行く。勿論決定的な情報は伏せてある。
ゴブリンの件もヴァンパイア騒動も、軍から公にされている範囲で話したから、
当然グラルト国の事は伏せ、ゆきなさんの詳細も念の為隠してある。
わざわざリスクを取ってまでこんなことをした理由は
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[病室 夜]
マヤ「……なるほど…確かに彼女は夢双病になっていたようだね」
アイリスの眠る病室、時刻はおそらく21時と言った所か、
真っ暗な病室は月明かりで照らされ、建物はかなり静かだ。
アイリスの話をマヤさんにした所、もしかしたら魔力探知の応用で
診断が出来るかもと言うので、リスク覚悟で出会った日の夜にやっていたが…
「ヴァンパイアが逃げた後、アイリス以外は皆目覚めました、彼女と一緒に戦っていた騎士の人もすぐに目を覚ましたそうです」
マヤ「……ヴァンパイアは魔王のペット的なポジションだからね…夢双病も魔王が吸血鬼に与えた狩りの武器の1つって言われてるくらいだし。」
「……そうなんですね」
魔王のペット…まぁこの情報でさえ…正しいとは限らないんだもんな
マヤ「…でも彼女は…うん。やっぱり。」
「?」
アイリスの体に手を置いて、マヤさんが目を瞑りながら呟いている。
体内の魔力の流れを覗き見る事で、状態を見ているそうだ。
マヤ「夢双病のほかに…もう1つ…何かあるね…いや…あるはずのものが無いってイメージかな?」
マヤ「……魔王の呪いっていうのかな…」
マヤ「彼女の中で何か大きな蓋があるような…心を閉じ込められてるような……」
「それってつまり……」
そんなの…まるでメモルヴァメモリー…ルナさんがされてた閉ざす力じゃないか…!
「……アイリスは魔王に何かされたってことですか?」
マヤ「出会った可能性は大いにあるね」
あの日俺が戻るまでの間にギルドに魔王が来ていたのか?……
だとすれば、ルナさんが魔王城の場所を知らないのに
魔王にゆきなさんを渡せた事の説明がつく…
あの日あの時点で街には俺とヴァルキリー元帥しか動ける人が
いなかったんだ、誰にも気づかれずに魔王がギルドに来る事も不可能ではない
マヤ「…この子だけ魔王が個別に夢双病にしている可能性も考えられるね」
夢双病の方は…魔王次第だとして、
閉ざされた鍵なら、俺の力で簡単に開けられるはずだ
だが問題は、それをすれば必然的にこの力をマヤさんに
明かす事になると言うこと……
マヤさんはメモルヴァメモリーの事を知っているのか?…
もし知っていた場合、目の前で能力を行使せずとも、
アイリスの記憶が開いた時点で気付かれてしまう…
くそ!救う手段はこの手にあるのに容易に動けねぇ!!
だがマヤさんが居なきゃこの事に気が付くことすら叶わなかった…!
マヤさんがやっているこの診断は、嘘さえ付いてなければ
かなり正確なはずだ。
ルナさんが言うには、狂欲病の人間は魔力の輪郭が違ったそうだ、
となれば他の病や異変でも見分けがつくはず……
嘘さえついてなければ……
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どこまで踏み込んで良い?
マヤさんはいったい何を考えてる?
確証がないとまるで動けねぇ
[町 商店街 早朝]
翌朝、買い出しの為にマヤさんと街へ出る事にした。
俺自身のリフレッシュも兼ねているが、それよりも
目的はマヤさんを探る事だ。もし監視でも何でも
目的を持って俺に接触をしていた場合、最もボロが出やすいのは
こう言う何気ない瞬間だろうと踏んだからだ。
マヤ「いやぁぁ!美味しそうなお店がいっぱいですな」
「…全部は買いませんよ」
ダッダッダッダッダ
商店街でいろんな出店に感動するマヤさんを横目に、
遠くから誰かが走って来るのが見えた
「??誰か走って来るな…あれは」
「なっ」
レイジ「うぉぉおおぉぉぉい!!!!」
レイジが猛スピードで走ってきて
マヤさんの前に立つ
マヤ「うぇぇ?!ビックリしたぁ!なになに?!」
レイジ「こんにちわ!!!!!」
マヤ「え?あ、こんにちわ!!!!!」
レイジ「うっっっし!!!」
「れ、レイジ!」
レイジ「いや挨拶しろよ」
「あぁこんにちは…いやそれよりお前今までどこに居たんだよ!」
何でこんな時に限ってレイジが!!今じゃねぇだろ!!
必要な時にはいないくせに何で、要件を話せない今現れるんだよ!!
本当はお前にミューズ語の解読の件で話したかったけど
マヤさんにこの話して良いかわかんねぇからな……
いや…まてよ?これは行けるか?この状況は利用できるか?
今ならむしろ自然に…
レイジ「んぇ?あーいや何かよ、急によ、吸血鬼に襲われてよ、そしたら急に眠くなってよ、起きたらよ、何日も経ってたんだよな!訳わかんねぇだろ?」
「お前もやられてたんかい」
マヤ「ありゃりゃ」
レイジ「あ、やっべ、飯の時間じゃねぇか!!話あるみてぇだけどまた今度な!!いつでも挨拶しにこいよ!じゃあな!」
「な、まだなにも聞いてねぇぞ?!」
ダッダッダッダッダ
挨拶王はまたしても街の新入り見つけてやって来て、
そして嵐のように去っていった。
だが、レイジが急に消える事は織り込み済みだ。
だからこそ、自然にこの流れを作る事が出来る!!
マヤ「あらま、行ってしまいましたね」
「最悪だ」
マヤ「…何か用だったんですか?」
「………えぇ。この世界の文字を教えてもらう約束をしてまして」
当たり障りなく
マヤ「へー!良いですねそれ!あれ?でもここって日本語が使われてません?」
慎重に踏み込め
「だと思ってたんですけど、ギルドの図書館には知らない言葉で書かれた本がいっぱあって、その翻訳をお願いしようかなと」
ほんとはあの一冊しかなかったけど…自然に話を盛るんだ!!
今はとにかく無知ゆえの疑問を!純粋な探究者を演じろ!!
マヤさんがミューズ語を知ってようが知らまいが、たとえ地雷であっても
これならば…俺にとって最も安全に情報を探る事が出来る!!
マヤ「へー!そんな本があるんですか!あ、私翻訳出来るかもですよ?実は翻訳魔法を最近開発しまして」
そう…それを…待っていた
知っていますよマヤさん。
貴方は翻訳が使える。ルナさん相手にグラルト語の翻訳魔法を
使っていたのを見ましたから…!
「え、凄いですね!!じゃあお願いしようかなぁ」
マヤ「異世界っぽくてワクワクしますよねこう言うの」
マヤ「うちに帰ったら早速やっちゃいましょうか!」
「ですね」
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[???国 ??城]
見知らぬ場所で、あの日攫われた少女が目覚める
ゆきな「……ここは」
???「おはようゆきなちゃん。」
ゆきな「?!」
ゆきな(誰………逆光でよく見えない…女の子の声がする…)
???「ほんとはまだ起こすつもりじゃなかったけど、
お話したくなったから起こしちゃった」
ゆきな「……もしかして貴方が」
???「………そうだよ」
???「この世界に君臨する恐怖の象徴…魔王だ。」
魔王「じゃ、早速お話を始めよっか」
魔王「まずはあなたの事を教えてね」
魔王「「「「メモルヴァメモリー」」」」




