18話『眠り姫と月の姫』
【本作の表記】
名前「セリフ」 →登場人物の会話
???「セリフ」 →正体不明の人物の会話
「セリフ」 →主人公の会話
18話『眠り姫と月の姫』
一刻も早く…魔王城へ行かなくてはならない
ゆきなさんを救うため
アイリスを救うため
メモルヴァメモリーの秘密を知るため
……現世に帰るためだけに純粋に魔王討伐を
目指していた頃と、目的は何も変わっちゃ居ないが
この世界を見続けて背負うものが増えてしまった
魔王城の場所を探す。
その為にまずはキチガイマンを探す
誰もまともに動けない今
唯一頼れるのは彼だけだ。
どこにいる。
ゆきなさんなら知っていたのか?
アイリスは
「ゆきなさんから何か聞かなかったか?……」
カーテンが揺れる。そよ風が流れる。
病室のベットでアイリスが眠っている。
語りかけても返事は無い。
「夢双病の支配は解けたハズなんだ…!記憶を消す前
ルナさんが解除してくれた……でも何故…なんでアイリスだけ目覚めないんだ?」
・
・
・
[街 家まで続くありふれた道]
町を歩けば変わらぬ風景。
初めて来た頃と本当に何も変わらない……
俺は…転生者で…日本から来た。
最近色んな事があったせいで前の世界の事が
あんまり思い出せねぇや
ま、今の方が生きてるって感じがするかな
家までの道も、案外もう気に入ってたりする
ほら、ここにダンボール
たまに猫が捨てられてるんだよな。
残念な事に俺は猫アレルギーなので飼う事は出来ない
心が痛むが見かける度に一応ギルドに報告をしている。
ダンボールの箱の前を横切りながら、流し目で箱の方を見ると
鳴き声?がする
??「にゃー」
そうそうこうやって鳴き声出してる人が…
「?!!!」
思わず二度見。
素通りするところだった
「?!!人間が捨てられてる?!!」
おそらく大学生くらいの年の女性が
三角座りでダンボールに入ってる
「え、え、え、」
困惑、ただひたすらに困惑。
猫だと思ったら全然知らない女性だった。
なんだこの期待と妙な裏切りは?!
前にも似たような事があった気がするな
??「あはは………捨てられちゃった」
箱の中の女性がこちらをみて二へっと笑う
「えーっと…どういう状況……ですか?」
異世界に来て変人には見慣れてたつもりだが
これまたベクトルの違う……黄色い瞳で
赤い髪の女性……なんか見覚えがあるような…
??「久しぶりだね。……良かったら拾ってくれないかな?」
「……いやいやいや、誰ですか!!…あ、いやでもなんか覚えが…」
??「えーー忘れちゃったんですか~ショック」
??「………まぁ良いや、とりあえず引っ張り出してくれないかな?」
「え?」
??「いや…えっとさ、この箱地味に頑丈でさ、
ずっと、ハマってたせいで力入んなくて、
あ、別にお尻が大きいとかじゃないからね?!
いや……うん!!違うからね?!」
美人なおかしい人が箱にハマって
左右に揺れながら叫んでいる。
楽しそうだから置いていこうかな…もう。
今はこれ以上変な人にかかわりたくないし
一旦冷静になる為にも、見なかった事にして帰ろう。
??「ちょっとちょっと?!どこ行くの?!!私だよわーたーしー!!!」
??「マヤだよ!!マーヤ! !月の女神マヤ!!」
「え?!!!」
マヤさん?!!正直顔合わせた時は一瞬すぎてハッキリと覚えてなかった…
あ、いやスキンヘッドマッチョのインパクトに引っ張られてる気もするけど……
髪型とか変わってて余計に気づかなかった。
あった時とルナさんの記憶ではロングだったけど今は短くなってる…
美しい人だったと俺は記憶しているが、こんな見窄らしく路地の段ボールに
尻が挟まって揺れてる人があの月の女神だって?
元々愉快寄りな人ではあったけど、なんと言うかこれは
「…雰囲気変わりましたね」
マヤ「いやぁイメチェンだね。私変装魔法の名人ですから!!今までは世を凌ぐ仮の姿……私ほんとはこんな可愛い女の子なんです」
「………」
前の方が良かった……
憧れが…崩れていく……
・
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・
[アイリスの家]
もう疲れた
もうなにもかも分かんなくなってきた……
アイリスには悪いが、マヤさんをあのまま路地に放置する
訳にはいかないので一度家に連れて来た。
誰も頼れない今、一番の手掛かりになりうる存在で、
そして同時に今最も怪しい存在の一人がマヤさんだ
マヤ「いやぁ良い部屋だね!!!まるで女の子のような…良い香りがする」
「まぁ…女の子の家ではあるので」
マヤ「どゆこと?!…女の家に住み着いて別の女を連れ込むとは…いやぁ君もなかなかの悪だね」
「追い出しますよ」
マヤ「ごめんちゃい」
「……正直まだ疑ってますよ。いや…凄く嬉しいタイミングで来てくれたんですけど」
マヤ「えー私ほんとにマヤなのにぃぃ……あ、ほら」
変装魔法で瞬時に姿を変える。
マヤ「ほらロングヘア!!ほらほらあ、スキンヘッドも行けちゃうよ?」
「…そうじゃなくて…いやそれもそうですけど!」
ルナさんの記憶を見て以降
マヤさんに疑心が沸いている自分が居る。
いや、これはマヤさん個人への疑いじゃない…
この人の周りにはあまりにも謎が多すぎるんだ。
女神の事…そしておそらくそこに繋がったミューズ国の事
マヤさんには色々聞くべきだ。
だがどこまで明かす?
ルナさんの事は伏せるか…そうなれば
マヤさんの目がある内はルナさんには会えないな。
ミューズ語の公用語って奴の謎も完全に手詰まりになるわけだ、
記憶で見た話から推測するにミューズ国の正体は、今いるこの街で
間違いないが、街のどこにもミューズって単語は言語含め何処にも見当たらない。
いや、わからない問題だけに向き合うな、まずは目の前のマヤさんの事を探れ!!
アイリスの事や…例の転生者のお姉さんの話はしても良いだろう
軍の事は聞いても良いのか?
…魔王や…メモルヴァメモリーについて聞くのはどうなんだ?
……もし魔王関連にNGがあるなら、これから情報収集が更に難しくなるぞ
そもそもなんでこんなタイミングで……
いや、前兆はあった…月の女神の話はあったんだ
……ここに来た目的は何だ………監視?
だが聞くならまずこの当たり障りの無い部分からだ
「…マヤさん」
マヤさん「なにかな」
「何故いきなり…ここに、俺の所に来たんですか…?」
マヤ「…………実はね」
マヤさんが真剣な顔になった
息を飲む
マヤ「女神クビになっちゃった」タハーッ
[現在公開可能な情報No18]
『ミューズ国』
今から370年ほど昔、グラルト国と戦争をした国で、
現在ではヴァルキリー元帥率いる軍や冒険者の拠点として栄える。
しかし現在では当時の公用語やミューズという名称を失っており、
なぜか今では日本語が用いられている




