3話
それからの金曜日は親に連れられて輝は真月の邸宅に遊びに行くことになった。輝はそれがとても嬉しかった。
車から降りると邸宅の玄関に向かって走り出す。呼び鈴を鳴らすと、輝の祖母が出迎えてくれる。もう一人の孫の顔を見れる祖母は大喜びだった。
普段、真月の世話は祖母がしていた。それが週末は輝の仕事になった。
急いで真月の元に向かう輝。その姿を見る大人達は和やかに微笑んでいた。輝はその部屋の扉を開く。
「真月!」
真月は足音がするだけで、もう誰が来るのか解っていた。急に扉が開いても驚きはしない。寧ろすごく喜んでいた。
「お兄ちゃん!」
「今日は何したい?」
「お外行きたい!」
「じゃあ行こっか」
そう言って輝は真月のそばに寄った。
真月は普通に立ち上がれるが、普段ずっとベットの上なので歩くのが心もとかった。
ベットから出ようとする真月に輝は手を貸した。そしてそのまま部屋を出て階段を降りてゆく。
真月に寄り添う輝は五歳児とは思えない程やさしく真月に接していた。転んで怪我しないようにしっかり様子を見て支えている。まるで長年寄り添った人のように。
真月が一歩階段を降りる度に輝も降りる。歩調を合わせゆっくりと。
外に出ると真月は庭に有る池に行きたがった。
鯉に餌をやるのがとても好きだった。
そんな二人の様子を祖母と輝の父、光は和やかに見ていた。
「しかし仲良く成ったもんだな。まるで兄妹みたいだ」
「まあ、従兄妹だからね~。最近真月ちゃんも調子が良いみたいで助かってるよ。ほんとあんたがこの町に帰ってきてくれて良かった」
「兄貴の再婚の相手は見つかった?」
「まだよ。当分しないと思う」
「まあ、そうだろうね。そういえば姉貴もこっちに帰って来るって?」
「話は有るね」
「姉貴も帰ってきてくれたら、母さんも楽になるだろ?」
「まあね。でもあの子結構優秀みたいだから忙しくて家に寄ってくれるかは解らんよ」
「真月ちゃん、診てくれたら良いのに」
「そうしてくれたら助かるけどね~」
「真月ちゃんの病気って、治らないのか?」
「お医者さんは良い返事をくれんのよ。酷くしない事しか言ってくれんよ」
「それは酷いね」
「食べられる物と後、ストレスが一番駄目だって言ってたね」
「なんて病気だっけ」
「医者も解らないって言ってた。ただ消化器系の上の方が悪いらしいね。調子が良かったら普通に生活出来るのよ。まあよくもどすけどね。輝ちゃんが来てからは調子がいいみたい。」
「それなら何で普通にさせないの?」
「暁がねー」
「そう。兄貴も過保護だな」
「まあ、今まであまり調子が良くなかったからね。それとあの子の子供だから。余計可愛いんだろね。まあ大きくなればまだマシになるみたいだけどね。小さい内は過保護ぐらいがいいみたいだね」
光が子供達に目を向けると、キャッキャ言いながら楽しそうに池の鯉に餌をやっている。
真月の笑顔はとても可愛らしい。あんなに可愛い子供が医者も断定出来ない病気を抱えてるなんて思うと胸が痛くなる。母親も早くに亡くなった。本当に可愛そうだ。
まあ、何にせよ輝が真月に良い影響を与えてるのは確かなようだ。
「今日は夕ご飯はどうする?」
「食っていくよ。輝はまた泊りでもいいかな?」
「そのつもりだよ。帰るなんて言わないでしょ?あの子」
「ふっ、まあね。日曜の昼頃迎えに来るよ」
二人の大人は仲良く遊ぶ幼い二人を見ながら語り合うのだった。
そして時が経ち、二人は小学生の中学年になった。
読んでもらえてありがとうございます。
真月の病名は前作のどこかに書いてます。
簡単な病気ではないので医師は病名の断定は避けます。
悪化しなければ普通の暮らしぐらいは出来ますが、非常に質が悪い病気だと認識願います。




