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静止した咆哮
黄金の葉が厚く積もった森の奥深く。
太陽の光が柱のように差し込む開けた場所に、その「守護獣」はいた。
大柄な馬ほどもある巨体。銀色の毛並みは、琥珀色の森の中で異彩を放っている。しかし、終が霊視を働かせると、その美しい毛並みの下に、不自然なほどの「重み」を感じた。
「グルルル……ッ」
終が近づくと、銀狼は低く地鳴りのような唸り声を上げた。
目は血走り、全身の毛を逆立てている。その背後にある古い石像を守るというより、石像という「楔」に繋ぎ止められているかのようだ。
終は歩みを止めず、穏やかに語りかけた。
「……お疲れ様ですね。その毛並みに積もった時間の重さを、私は知っていますよ」
銀狼が跳躍しようとした瞬間、終は銀の杖を地面に突いた。
『聖域展開:安らぎの葬送』
柔らかな黄金の波紋が森の空気を震わせる。
銀狼の攻撃的な意志が、霧が晴れるように霧散した。狼は戸惑ったように足を止め、終を見つめる。
終はその隣まで静かに歩み寄り、汚れ一つない手袋を嵌めた手で、銀狼の眉間に優しく触れた。
「さあ、見せてください。あなたが、何を抱えてここまで耐えてきたのかを」
『未練の解読』
終の意識は、銀狼の記憶へと潜り込んだ。




