ゴブリン討伐へ
「私は本気で使えないって感じたらダイサクのこと認めないから、それだけは覚えてなさい」
「ああ、温情で許されてもこっちから願い下げだ。むしろ、入ってくれって言わせてやるよ」
「フフッ、面白いじゃない。いいわ、ダイサクの実力を見せて見なさいよ」
実力のすべてを見せるわけには行かないが、一端を見せてやろうじゃないか。
今の感じだとミカも俺の実力さえ認めてくれればパーティーへの加入へそれほど否定的ではなさそうだな。後は俺がしっかりやるだけだ。印象は昨日一日で割といいものとして残っているんだろう。
「お待たせしました。お姉さんに今日は3匹じゃないのって言われちゃいました。一週間同じクエストを受け続けたら覚えられるものですね。私たちも成長してるんですっていってあげましたよ」
俺の加入試験を行うために増やしてるって言うわけにも行かないもんな。
まだ正式に加入が決まってないし、お姉さんに言う必要もない。でも、ミレネならパーティーメンバーが増えましたとか言ってくれると思ってたけどな。まだそのレベルではないのか……。
「行きましょう。目的地は昨日と同じテルミルの森です」
「え? てっきり別の場所かと思ってたけど……あの森にゴブリンが居たんだな」
「もう少し進んだら出てくるのよ。森の浅いところはほとんどうろついてないし、群れで出くわすことなんてないから採集クエストは比較的安全なわけ」
テリトリーというか、縄張りというか、要するに森の奥からはあまり出てこないってわけか。ゴブリンなんてどこにでも居そうだし、このあたりで生息してるのがテルミルの森ってことだろうな。
「向かいながらでいいんだけど、ゴブリンの行動パターンとか聞いててもいいか? 戦闘の時に対応しやすいようにと思ってな」
「いい心がけね。ゴブリンは自分で作ったこん棒を武器として持っていることがほとんどよ。稀に、冒険者から奪った装備を身に着けている個体もいるんだけど、そいつらのほとんどは上位種だからさらに進まないと出くわすことはないと考えていて大丈夫よ。もし出くわしたら逃げましょう。私もまだ相手にしたことないし、ミレネに万が一のことがあったらいけないわ」
武器はこん棒か。それなら普通に考えて俺の持ってる剣の方が圧倒的に有利だな。一対一に持ち込めさえすれば勝ってもおかしくないだろう。多対一になった時が腕の見せ所だな。逃げるふりでもして1匹ずつ撃破していこう。
「攻撃もこん棒で殴るがメインね。あまり頭のいいモンスターじゃないし、搦め手なんて使ってはこないわ。むしろ、こっちが待ち伏せして数を削ったりってのが常套手段ね。複数匹を相手にしなければ楽勝だからそれだけ気をつけなさい」
「わかった。卑怯に行く」
「正直ね。それでいいわ。わかってると思うけど、ミレネをおとりに使ったりしたら殺すわよ」
「そんな真似しねぇよ。一般的な不意打ちだ。誰かをおとりにする必要ないだろ」
「こっちが先に気が付けさえすればそのとおりね。もちろん、向こうが先にこっちを見つけることもあるわよ。その時はどうするの?」
嫌な質問してくるなぁ。
真向から迎え撃ちたいところだが、それはリスキーだ。数で勝ってるんだったらいいが、俺たちは非戦闘員のミレネを合わせても3人。向こうがそれ以下だったら真向勝負で、それ以上だったら……何も思いつかんわ。木でも登るか?
「向こうの数にもよるが、真正面から受けて立つかな。下手に逃げてほかのゴブリンにも気づかれる方が厄介だ」
それっぽいことを言ってるが全然解決策になってないな。
「そうね。私なら返り討ちよ」
ミカが脳筋で助かった。
作戦なんて最初からないパターンの子だよ。作戦立案はミレネの仕事なんだろうな。
「今まではうまくいったけどこれから先はどんどんモンスターも強くなっていくんだよ。複数は相手にできないことも考えないと。索敵系のスキルを持ってる人がパーティーに居れば解決なんだけどなぁ。ねぇ、ミカちゃん」
「私もどんどん強くなるし平気よ。索敵スキルなんて便利なもの持ってる女の子が私たちのパーティーに入ってくれるとは思えないわ。一応、見つけたら声はかけてみるけど……」
俺が都合よく索敵系スキルを持ってることにしてもいいだろうか? 千里眼があれば、モンスターがどこにいるかなんて筒抜けだ。追加で気配察知みたいなスキルを覚えれば死角なしだ……やめとこう、自分でヌルゲーにするのは。
「私も見つけら声をかけてみるよ。いろんなことができる人がいたほうが便利だよね」
「きっといつか見つかるわ。気長に行きましょう」
俺としても自分以外で確保しておきたいスキルだな。
俺が使えるスキルはもっと一般的なものにしたい。これなら使えてもおかしくないだろうなってのが最適だ。あったら便利くらいがちょうどいい。収納なんてちょうどよくないか? 話題にでて、いい感じのものがあれば使えることにしよう。
「これから森へ入るわ。ダイサク、気をつけなさいよ」
「お、ああ。いつゴブリンと遭遇してもいい心構えでいとく。警戒フルマックスだ」
昨日と同じ、テルミルの森へ俺たちは入って行った。




