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葛藤

「俺としてはパーティーに入れてもらえるって言うんだったら何でもいいんだけど、ミカはそれでいいのか?」


「私がオッケーださなかったらいいってことでしょ。私が驚くような活躍をしたら考えてあげてもいいわよ」


「最初からハードルを上げてくるなよ。俺は昨日冒険者になったばっかりなんだぞ。少しはこれからの伸びしろも考慮してくれよ」


 判断基準がミカなんじゃ俺が合格することなんてまずありえない。

 ここはミレネに助けてもらうしかないな。何とかしてくれ。


「公平に判断しないとダメだよ。ミカちゃんだけじゃなくて私も一緒に考えるんだからね。あんまり強引に不合格にしたりはなしだよ」


「えー、ミレネはダイサクのこと贔屓しすぎじゃない? 私も一人で戦うよりはもう一人居てくれたほうがいいと思うけどさ……」


「お願いね。ギルドに行ってクエストを選ばないと、頑張ってくださいダイサクさん。これからも私たちを助けてくださいね」


「ああ、気張っていくぜ」


 とは言いつつも、実力を隠しながら……それも駆け出し冒険者として許容される程度の力しか出すことはできないし、出すつもりもない。いくら合格するためとは言え、最初に決めたことを曲げるのは違う。二人の身の危険でも起きた場合は致しかたないかもしれないけどな。




「それでは、どのクエストにしましょうか? コボルト? オーク? リザードマンなんていいかもしれませんね」


「ちょっとミレネ……見栄を張るのはやめなさいよ……私たちゴブリンの討伐にしか行ったことないでしょ」


「ああ、なんですぐにばらすの? 少しは先輩としての威厳を保ちたかったのにぃ……」


 そりゃ二人も一週間前に討伐クエストに手を出し始めたばかりって話だもんな。最初は簡単なクエストから攻めていくのは当然のことだ。

 ゴブリンか。一番雑魚モンスターって言うんだったら俺が少しくらい倒しても違和感はないかもしれないな。手を抜きつつ、数匹倒す。これで行こう。


「無理して別のクエストに行く必要はないぞ。俺だって無理して全滅なんてことになるのは勘弁だからな」


「もちろん先ほど上げたクエストに行くつもりはありませんよ。今日も私たちが受けるクエストはゴブリン5匹の討伐です。ちなみに、ダイサクさんの戦力を鑑みて、いつもより2匹増しです。期待してますからね」


「俺は2匹倒せばいいってことか。面白いじゃないか。俺の実力を披露するときが来たようだな。とくと見せてやるよ」


「どうせモンスターを目の前にしたら腰を抜かして逃げるんでしょ。あんまり大口叩くと後で死ぬほどダサいわよ」


 それだけは絶対にないって断言できるな。ゴブリンなんて精々10レべくらいの冒険者が戦うモンスターだろう? 俺はその千倍近いレベル何だぞ。攻撃を喰らっても無傷なんだるということは想像に難くない。


「俺も男だ。そんな根性のない真似はしねぇよ。危なくなったら守ってやるからな」


「ダイサクに守られることなんてありえないわ。でも、私はダイサクがピンチになっても助けて上げないから」


「なんでそんないじわる言うの? そんなの絶対ダメだよ」


「だって、今回はダイサクが私たちのパーティーに必要な人材か見るための者でしょ。私が手を貸したらそれこそダメじゃない」


 いや、ミカの言うこともわからなくはないけど、連携という面で考えたら一緒に戦ったほうがいい気がするんだが。


「まあ、いいさ。自分の力で乗り切って見せる。ミカの力なんて必要ないってところを見せてやろうじゃないか」


「ダイサクさんも意地になってはダメです。モンスターを甘くみて大怪我を負うなんて冒険者では日常茶飯事何ですからね」


「悪い、そういうつもりじゃないんだ。別に舐めてるとかそういうことじゃないって。俺も頑張るって言うことが言いたかったんだ」


 俺には相棒の誰かが忘れた剣があるしな。当面はこの剣使うつもりだし、後は防具だけど……まあ、なくても大丈夫か。怪我を負うなんてことはないだろうし……よくないぞこれは。スキルを使わないって決めたところで俺は自分のレベルが常軌を逸してるのを知ってるからな。どうせ、大丈夫だと高をくくってしまっている。レベルのことも考えないようにしなければ真の意味で俺がコツコツ成り上がることはできない。緊張感が皆無だ。みんなで乗り越えるべき苦難が俺にとっては他愛もない問題でしかなくなってしまう。


 今更だが、これはまずいぞ。単純に手加減すれば解決って言うことでもない。俺も脅威を目の前にして立ち向かうという冒険者らしいことがしたいだけなんだ。今のままじゃ脅威を感じることは無理だろうし、いっそスキルを作って自分のレベルを5だと信じ込ませるか? いや、それはもはや俺とは言えないな。やはりある程度の妥協は必要なのか……。


 しょうがない。当面の間はこのまま行こう。力を抑えることで疑似体験をする、それ以外に方法もなさそうだ。気合い入れて手を抜いて行こう。


「私はクエストを受注してきますね。報酬は昨日の採集クエストとは段違いですからそこも期待してくださいね」


「頼む」


「私もついて行くわ」


「二人は待ってて。仲良くお話してていいからね」


 それだけ言うと、いつもの流れでミカと二人きりにさせられてしまった。

 これはミレネが本気で俺たちが仲良くなることを願ってやってるんだろうか? 

 でも、俺がついて行ってたらまた防具がないとかそういう話をされるんだろうな。良かったついて行かなくて。

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