クエスト達成
「それでは、目標の量になりましたので戻りましょうか。ダイサクさんも初クエストご苦労様です。でも、報告するまでがクエストなのでまだ気を抜かないでくださいね。帰り道にモンスターと遭遇することなんてよくありますから」
「ああ、俺も気を抜かない。報告までして完璧にクエスト完了だもんな」
ミレネをやっぱりしっかりしてるな。普通だったら、もう気を抜いて報酬を何に使うとか考えててもおかしくないんじゃないか? 冒険者ってのはみんなこんなに用心深いのか?
「モンスターが出てきて無様なところを晒さずに済んで、運がよかったわね。私としては見て見たかったけど」
「おい、モンスターが出たらミカが助けてくれるんじゃなかったのかよ。俺が無様を晒してるってことは無視する気満々じゃねぇか。しっかり助けてくれよ」
「本当に危なくなったら助けるつもりだったわよ。すぐに助けたら面白く……ダイサクの成長のためにならないじゃない。私はそこまで考えてるのよ。感謝しないさい」
今、完全に面白くないって言ってたよな? 言い直すのが遅すぎるだろ。
残念ながらミカの思惑通りに行くことはありえないんだが、モンスターに襲われた時の対応をミスる可能性があるからな。下手に攻撃を受けて無傷ってのもおかしいし、驚いて攻撃してしまって瞬殺ってのも最悪だ。怪我を負うのも難しいかもしれないし、何とか剣でガードしましたってのが一番無難だな。これからはこれで行こう。
「ミカちゃんはこんなことを言ってますが、根はやさしいいい子ですのでダイサクさんが襲われる前に助けてましたよ。ねぇ、ミカちゃん」
「ミレネェ……やめてよ」
図星をつかれたのかミカは恥ずかしそうに俺から視線を逸らした。
こんだけ悪態をつきながら、実は俺のこと心配してるってどんだけツンデレなんだよ。やばいなぁ。見た目はもちろん可愛いんだけど、初めてミカのことを心のそこから可愛いと思ったかもしれない。
「まあ、ありがとなミカ」
「ミレネの言うことを信じてるんじゃないでしょうね? ち、違うわよ!!」
顔を真っ赤にして反論する姿では説得力に欠けるな。
ミカもミレネを心配する気持ちから俺に対してあたりが強くなってるだけだもんな。
「二人が少しずつ仲良くなっていくのを見ると私も嬉しいです。今日は折角ですので、三人で夕飯を食べに行きましょう。ダイサクさんの初クエストクリアを祝して私たちがご馳走しますよ」
「いいのか? 俺としては金もないし凄いありがたいけど……」
「もちろんです!! 私たちも毎日コツコツ稼いでますからね。いいよね、ミカちゃん?」
「はぁ……私がダメって言っても聞かないんでしょ? いいわよ」
こうして、今日の飯が決定した。
俺の初めての食事がまさか女の子二人とになるとはな。新たな人生、何が起こるかわからないもんだな。
転生してから何も食べてねぇし、かなり腹が減ってるわ。量を重視で行こう。
「それでは私が報告してきますね。あ、初めてですのでダイサクさんも一緒に行きますか?」
「そうだな、頼むよ。俺も実際に見ておきたい」
「え!? 二人っきりはダメよ。私もついて行くわ」
いつもはミレネが一人でクリア報告へ行くのか、ミカはギルドの椅子に座ろうとしてたタイミングだったが、急いでこちらへ合流した。
すさまじい早さだったな。そんなに俺とミレネを二人きりにしたくないのか。
「まったく油断も隙もないわね。ミレネも気を付けてよ。ダイサクがミレネの可愛さに我慢できずに襲い掛かってくる可能性だってあるのよ。ちょっと気を許しすぎよ」
俺はどんだけ変態だと思われてんだよ。
世の中の男は全員、獣だとでも思ってんのか。確かにミレネは可愛いけど、恩があるってのにそんなことするわけないだろ。
「ミカちゃんは過保護すぎだよ。ダイサクさんがそんなことする人じゃないってわかってるよね」
「だから油断しちゃダメだって。今までもそういう男は何回も見てきたでしょ。まったくミレネは自分が可愛いっていう自覚が足りてないわ」
「安心してくれ。俺にその気はないから。ただ、クエストの報告はこれからもしなくちゃいけないから俺も見ときたいってだけだ」
「別にいいわよ。私が心配だからついて行くだけ。ダイサクがどうとか関係ないわ」
ミレネの言う通りすさまじい過保護っぷりだな。
可愛いって言うんならミカだって同じだろう。むしろ、俺が二人に寄ってくる悪い虫を払う役目になりそうだ。男が一人いるだけでも声かけずらいだろうしな。
報告は無事に終わり、報酬はひとまずミレネが受けとった。
報酬の分配もあるだろうし、初めての俺には難しいからな。ミレネにやってもらった方が俺としてもありがたい。
「どうぞ、こちらがダイサクさんの分です。お疲れ様でした」
「ありがとう」
ミレネから銅貨を5枚貰った。
一体これがどれくらいの価値なのだろうか? この後の飯で大体わかるだろうから、注意しておかないとな。これで宿に泊まれればいいんだけど……足りなかったら野宿か。
「今日は私のおすすめのお店を紹介しますね」
「本当にすまないな。ご馳走になるよ」
俺は初めての金を大事にポケットに入れ、冒険者ギルドを出た。




