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代打のカケルさん~恋も仕事もカケルさんのおかげです~  作者: 来留美


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7、強い女性のカケルさん

楽しくお読みいただけましたら幸いです。


~前話あらすじ~

カケルさんと課長の関係は上司と部下ってだけだった。

そしてカケルさんから秘密を聞いた私はカケルさんを、もっと好きになった。




「カケルさん?」


 私の後ろから女性の声でカケルさんを呼ぶ声がした。

 またカケルさんの知り合いかな?

 カケルさんの顔を見ると固まっている。

 驚いているのかな?


「カケルさん。あの時は本当にごめんなさい」


 カケルさんに声をかけた女性はカケルさんの横に立ち、深々と頭を下げた。

 何が起こっているの?


「えっ、いいのよ。あの時は貴女(あなた)も大変だったんだと思うから」

「でも、私の勘違いでカケルさんは辞めなきゃいけなくなって、誤解が解けないままカケルさんの噂だけが残っちゃって。仕事を見つけるのが大変だって聞いてたんです」



「もう、大丈夫だから」


 そう言うカケルさんは女性に早く帰ってほしそうだった。

 何が、あったんだろう?


「カケルさん。でも私、カケルさんの誤解を解きました」

「えっ」

「だって、私、カケルさんに沢山、助けていただいたので」

「えっ、でも、それだと、、、」

「はい。課長とは別れました」

「それで良かったの?」

「はい。今は他の会社で良い人と出会えたので」

「良かった」


 カケルさんは本当に嬉しそうに笑っていた。

 何があったのかは分からないけど、解決したみたいで良かったよ。


 そして女性は帰っていった。

 その後ろ姿を見えなくなるまでカケルさんは見ていた。

 カケルさんは女性の味方。

 その眼差しを見ていて本当に思った。


「カケルさん、何があったかは敢(あ)えて訊きませんからね」

「あの子と私は同じ人と付き合っていたの」

「えっ」

「お互いに知らなかったわよ。でも彼が隠し通せなくて私に白状したの」


 カケルさんに言ったということはカケルさんが本命だったのかな?


「それからあの子に伝えると、あの子は私を悪者にして、あることないこと会社の同僚に言って私が会社を辞めることになったの」

「それで、よく我慢しましたね?」

「我慢というより呆(あき)れてたの。どうして、こんな人を選んだんだろう? バカじゃんって」


 カケルさんは清々しいほど美しい顔で笑った。

 未練さえ何も残していない。

 やっぱりカケルさんは強い人だ。





「カケルさん、おはようございます」

「光(ひかる)さん、おはようございます」


 会社でのカケルさんは、私と課長だけの時以外の前ではクールなカケルさんになっている。

 砕けた言葉遣いも可愛い笑顔もない。


「カケルさん、この資料の付箋が付いてる部分を付け足して作り直してくれるかな?」

「はい、承知いたしました」

「うん、よろしく頼む」


 課長は、カケルさんに対して顔を赤くしたりしなくなった。

 でも、その代わりに笑顔を向けるようになった。

 女性社員達は、カケルさんに対して課長が優しくなったって言っていた。


 でも私は知っている。

 課長はカケルさんを、部下として大事に思っているだけだって。

 分かっている、、、。


「お疲れ様です」


 私は給湯室に用事があり入ると女性社員がコップを洗っていた。


「お疲れ、光(ひかる)さん。ねぇ、消えた男、覚えてる?」

「消えた?」

「左遷(させん)で消えたでしょう?」

「あ~、覚えてますよ」

「いなくなって良かったよね。気持ち悪かったもん。私に話しかける度(たび)に肩を叩くのよ」


 えっ、彼女もセクハラの被害者だったんだ。


「いなくなって良かったですね」

「そうよ。被害者は私だけじゃなかったし」


 他にも被害者はいたんだ。

 良かった。

 いなくなって。


「光(ひかる)さん。ちょっとお願いがあって、俺のデスクに来れるかな?」


 課長が私を呼びに給湯室へ来て言った。


「はい。直ぐに向かいます」

「急がなくていいから、用事が終わったら来て」

「はい」


 課長は私の様子を見に来てくれたんだ。

 課長は女性社員だけだというのを確認してから自席へ戻った。


「いいなぁ。課長からの呼び出し」

「私に仕事を教えてくれているんです」

「まるで兄妹みたいだね」

「兄妹ですか?」

「うん。妹の心配をするイケメン兄。いいなぁ」


 女性社員は、そう言って給湯室を出ていった。


 私と課長が兄妹?

 そっか。

 課長と私は歳が離れているからか。

 もしカケルさんと課長だったらカップルに見えるんだろうな。



「課長。お呼びですか? でも本当は、なんにもないですよね?」

「光(ひかる)さん?」


 私は課長のデスクに着くと、小さな声で言った。

 そんな私をキーボードを打つ手を止めて課長は驚きながら見上げた。


「私の様子を見に来てくれたんですよね?」

「キミにはバレバレのようだね」

「そうですね。ところで私達は兄妹だそうですよ」

「兄妹?」

「周りは、そんな風(ふう)に見えるみたいです」

「なんだそれ?」


 課長は何故か不機嫌になった。

 大人の課長が感情を隠さず私に見せている。

 なんだか新鮮で可愛い。


「課長。いつも、ありがとうございます」

「うん。これも契約だからな」

「課長は契約じゃなくても私を守ってくれますよね?」

「まぁ、可愛い部下だからね」


 照れてる課長。

 やっぱり可愛い。

 可愛すぎてクスクスと笑ってしまう。


「ほらっ、仕事に戻りなさい。もうすぐ会議が始まるだろう? カケルさんと準備をしてきなさい」

「は〜い」


 私は元気に返事をしてカケルさんの所へ向かう。

 後ろからクスクスと笑う課長の笑い声が聞こえた。

 私はその笑い声を聞きながらスキップをしてしまった。

 だって課長が笑っているのが嬉しかったから。

 

 そんな私は単純な人なんだと思う。




お読みいただき、誠にありがとうございます。


~次話予告~

元彼?

現在社長?

新人の私が共同プロジェクトに参加?

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