↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
代打のカケルさん~恋も仕事もカケルさんのおかげです~  作者: 来留美


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

13/18

13、癒しの手

楽しくお読みいただけましたら幸いです。


~前話あらすじ~

課長から大役を任された私。

不安になりながらも成し遂げたのに、カケルさんの意向により何故か今は課長と二人きりで会議室にいる。




「あっ、あの。課長」

「何?」

「私、目が痛くて」

「え?」


 課長は私の言葉を聞いて直ぐに私の目を見る。

 私は目を手で押さえていたのに、課長が少し屈(かが)んで私の目を見ようとするから手をどけて、課長に目を見せた。

 ハル君には遠慮したのに。


「赤いね。何か入ったのかな?」

「コンタクトが悪かったかもしれないです。ちょっとコンタクトを外しますね」


 私は鏡なんて必要なく、簡単にコンタクトを外す。

 痛かった目に痛みはなくなった。

 両方の目のコンタクトを外し、裸眼になった私の視界は、ぼやけてしまう。


「大丈夫か?」

「はい」

「本当か? 何かされたんじゃないのか?」

「えっ、目が痛くなりましたが治ったので大丈夫ですよ」

「信じていいのか? 以前キミは何も言わなかった。以前のことを繰り返したくはないんだ」


 課長は何を言ってるの?

 私、ハル君に説明は完璧にしたよ。

 以前のことって何のこと?

 まってよ、もしかして、、、。


「課長。パソコンはフリーズさせてもプロジェクターはフリーズさせてませんよ」

「えっ、何のこと?」

「えっ、プロジェクターをフリーズさせてないか、なおそうとして叩いたりしていないかの確認では?」

「そうじゃない。キミが嫌がることを社長にされてはいないのかってことだよ」

「えっ、ハル君にですか? ハル君は私の嫌がることは昔からしませんよ」



「昔からか、、、。それならいいんだ。俺の勘違いだったみたいだな」


 課長は、そう言って会議室を出ていこうとする。

 あれ?

 どうして今、課長と二人なんだっけ?

 カケルさんが二人にさせてくれたんだよね?


「待ってください、課長」


 私は急いでドアに向かい、ドアノブに手をかけようとする課長よりも先にドアノブに手をかけて、開けさせないようにした後ドアの前に立った。


「光(ひかる)さん?」

「課長、まだ話は終わっていません」

「えっ」

「私、ちゃんとプロジェクトの説明ができましたよ」

「そっか。やっぱりキミはできると思っていたよ」

「ご褒美はないんですか?」

「そうだな。今度、プロジェクトの全員で飲み会をやるか? 俺の奢りでな」


 そんなのじゃないの。

 私がほしいのは、、、。


「私は飲み会よりも課長から頭を撫でられたいです」

「えっ、それだけでいいのか?」

「はい。課長の手は大きくて温かいので、大好きなんです」



「後でセクハラなんて言わないでくれよ」

「セクハラって言うつもりなら最初に言ってます。嫌いな人に触(さわ)られるのは一度でも嫌なので」


 課長が困った顔で言うから、私は課長を安心させるように心の底から嫌じゃないことを伝える。


「分かったよ。ほらっ、撫でるよ」

「はい、どうぞ」


 課長は、やっぱり遠慮がちに私の頭に触れ優しく撫でる。

 本当に優しい手。


「私も課長の手みたいに誰かを癒したいな」

「光(ひかる)さんは癒してるじゃん」

「えっ、誰をですか?」

「会議室で緊張しまくっている人や、疲れきっている人。そして眠そうにしている人だよ」

「それって以前に課長が言ってた、私がお茶を配る時の事ですよね?」

「そう。キミのおかげで会議がスムーズに進むんだ」



「それって課長にも効果あります?」


 課長からは癒されたなんて言葉を聞いていないから訊いてみた。


「当然だよ。キミはみんなを癒すんだからね」

「本当ですか?」

「本当だよ」

「じゃあ、課長は職場で自分が上司だということを忘れたことはありますか?」

「えっ、どうして?」

「だって、癒されるってことは心も体も軽くなって悩みが消えるんですよ。自由になるってことですよね?」


「本当に、キミには敵(かな)わないよ」


 課長はクスクスと笑いながら言った。


「課長は、どうなんですか?」

「俺は上司だから、職場では忘れたことはないかな?」

「それじゃあ、私が上司ってことを忘れさせます」

「どうするんだ?」

「こうします」


 私はできる限り背伸びをし、課長の頭に手を置いて撫でる。

 課長は驚いた顔を一瞬だけした後、少し屈(かが)んでくれた。


「イイコ、イイコ」


 私は昔、お母さんに言われたことを思い出しながら言った。

 お母さんが褒めてくれると嬉しかった。

 それを課長にも味わってもらいたかった。


「課長、癒されましたか?」



「そうだな」


 屈(かが)んでいる課長は上目遣いで私を見て満足そうに言った。

 そんな課長の色気ある眼差しにドキッとして手が止まる。


「かっ、課長。これからは癒されたくなったら言ってください。私が癒しに出向きます」

「それって、いつでもいいってことか?」

「はい!」

「じゃあ、俺の家に居る時に呼んでもいいのか?」

「えっ、あっ、それは、課長がいいのなら、、、」

「冗談だよ」


 課長は屈(かが)むのをやめ、私の頭をポンポンと撫でた。

 いつもの課長と私の身長差に戻り、私の赤くなった顔を隠せて良かった。


 私、変なことを言ったよね?

 呼ばれれば課長の家に行くなんて、そんなことを女の子が言っちゃダメだよね。


「光(ひかる)さん。一つ訊いてもいいかな?」

「はい、なんですか?」

「キミと社長は元恋人だったんだよね?」

「えっ、どうして?」

「後悔してる?」

「えっ」

「彼と別れたことを後悔してる?」


 課長。

 どうして、そんなことを訊くの?

 なんて言ってほしいの?




お読みいただき、誠にありがとうございます。


~次話予告~

女性社員と話題になるほど課長の名前の読み方は難しい。

でも、課長の名前を知り、恋人同士のように名前で呼び合う私と課長。

それをカケルさんは私の顔を見ただけで見抜いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。