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LAVeLESS  作者: 神矢
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75/91

初戦完勝

本戦出場選手専用の控え室。


 レイが戻ると、壁にもたれ掛かっていたルコが笑いながら手を振った。


「お疲れさん。」


「つーか、何だよあの技。」


 肩をすくめながら吹き出す。


「魔法を手で払ってかき消すとか意味分かんねぇ。」


「お前にゃ、放出系の魔法は効かねぇのかよ。」


 レイは椅子へ腰掛け、大きく息を吐いた。


「いや。」


「あれはただ、相手の魔法以上の魔力を練り上げて、それをぶつけて消滅させただけ。」


「炎系譜は実体がねぇからな。」


「土系譜や風系譜みたいに物理的な殺傷能力がある魔法なら、触れた時点で怪我する。」


「だから何でも消せるわけじゃねぇよ。」


 ルコは呆れたように笑う。


「いやいや。」


「極限のタイミング見極められなかったら火傷じゃ済まねぇから。」


「普通はそんな発想にならねぇって。」


 レイは肩をすくめた。


「お前くらいの魔力量があれば余裕だよ。」


「まあ……カイトの炎は俺でも厳しいけどな。」


「は?」


 ルコは思わず聞き返した。


「お前でも耐えられねぇのか?」


「さすがにあいつの火力は別格だ。」


「真正面から受ける気にはならねぇ。」


 ルコは苦笑した。


「比較対象がおかしいんだよ。」


「まあそんな事より。」


 ニヤリと笑う。


「次は風の勇者様だぞ。」


「まあ心配する必要はねぇか。」


 レイは首を回しながら呟く。


「んー……。」


「あんまり魔法使う予定じゃなかったんだけどな。」


「空飛ばれるのは肉弾戦じゃしんどい。」


 ルコは当然のように言った。


「お前、大抵の魔法は見たら使えるんだろ?」


「風も使えるんだし、真似して飛べばいいじゃねぇか。」


 レイは呆れたように顔をしかめる。


「アホか。」


「それなりの高さまで跳ぶくらいならできる。」


「でも自由に空なんて飛べるはずねぇだろ。」


「へぇ。」


 ルコは意外そうに笑う。


「お前にもできねぇことがあるんだな。」


 レイは苦笑しながら答えた。


「理屈はなんとなく分かる。」


「でも、一朝一夕じゃ無理だ。」


「飛びながら戦闘なんて論外。」


「飛ぶだけでも二年はかかる。」


 ルコはしばらく黙り込んだ後、


「……二年で飛べるのかよ。」


 と、小さく呟いた。


「さあーーっ!!」


 実況席から興奮した声が闘技場中へ響き渡る。


「準決勝戦です!!」


「ついにやってきました!!」


「帝国が誇る若き勇者!!」


「《風に愛されし天才》シルフィード・リザーブ選手!!」


「対するは、予選を勝ち上がった謎のプロハンター!!」


「ピエロ選手です!!」


 会場は試合開始前から大歓声に包まれていた。


「そして現在のオッズですが……。」


「3.5:1.2!!」


「やはりシルフィード選手が圧倒的人気ですね!!」


「皇帝陛下より『勇者』の称号を授かり、十代でシルバーナイトとなった天才!!」


「今大会優勝候補筆頭と言っても過言ではありません!!」


 銀髪の青年が悠然と入場する。


 その姿が現れた瞬間、観客席はさらに熱を帯びた。


「シルフィードー!!」


「勇者様ー!!」


「優勝だぁーー!!」


 レイは静かにその姿を見つめる。


(……人気者だなぁ。)


 シルフィードはレイの前まで歩み寄り、穏やかな笑みを浮かべた。


「来たね。」


「僕はシルフィード。」


「シルバーナイトさ。」


 胸へ軽く手を当てる。


「君の試合は見させてもらったよ。」


「圧倒的な実力差がなければ、あんな戦い方はできない。」


「とても楽しみだ。」


 その笑みは自信に満ちていた。


「だから。」


「最初から本気でいかせてもらうよ。」


 レイは何も答えない。


 静かに構えを取るだけだった。


「それでは準決勝戦!!」


「始めっ!!」

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