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LAVeLESS  作者: 神矢
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69/90

愛を見せて!

そして。


 残った四組が、広場の中央へ並んだ。


『さあ皆様! いよいよ最終審査です!』


 司会の声に、観客から大きな拍手が起こる。


『一次審査では、お互いをどれだけ理解しているのか!』


『二次審査では、二人の連携を見せていただきました!』


 司会が四組を見渡す。


『ですが!』


 一拍。


『最後に見るものは一つだけ!』


「…………。」


「…………。」


『――二人の愛を見せてください!!』


「…………。」


「…………。」


 レイとヒナが固まった。


「愛?」


「……そう言ったわね。」


『方法は自由です! 言葉でも! 行動でも! お二人らしい形で構いません!』


「…………。」


 レイがヒナを見る。


「何する?」


「私に聞かないでよ。」


「俺も分かんねぇよ。」


「考えなさいよ。」


「お前も参加者だろ。」


『それでは、一組目から参りましょう!』


「始まったぞ。」


「分かってるわよ。」


 最初の二人が前へ出る。


 若い男女だった。


 互いに少し照れながら向かい合う。


「いつもありがとう。」


「……私も。」


 男が手を差し出し。


 女性がその手を取る。


「これからも、一緒にいてください。」


「もちろん。」


「おぉー!」


 観客から拍手が起こる。


「…………。」


「…………。」


「普通だな。」


「普通でいいのよ。」


 二組目。


 少し年上の男女。


「愛を見せればいいんですよね?」


『もちろんです!』


「なら。」


 男が女性の腰へ手を回した。


「え?」


 そのまま引き寄せる。


 ちゅっ。


「おおおおお!!」


 会場が一気に沸いた。


「…………。」


「…………。」


 ヒナの表情が固まった。


「キスありなんだな。」


「見れば分かるわよ。」


 三組目。


 こちらも負けじと抱き合い。


 最後には頬へ口づける。


「おぉー!」


「仲良いな!」


「いいぞー!」


「…………。」


 ヒナが黙っている。


「次、俺らだぞ。」


「…………。」


「ヒナ?」


「分かってる。」


『さあ! 最後はこのお二人!』


 名前を呼ばれ。


 二人が前へ出る。


『一次審査、全問一致!』


 拍手。


『二次審査では驚異の二百四十五点!』


 さらに大きな拍手。


『レイさん! ヒナさんです!』


「…………。」


「…………。」


 二人で中央に立つ。


『それでは!』


 司会が笑顔で手を向けた。


『お二人の愛を、存分に見せてください!』


「…………。」


「…………。」


 何をすればいい。


 レイがヒナを見る。


 ヒナもレイを見る。


「…………。」


「…………。」


 沈黙。


 観客席から声が飛んだ。


「さっきの二人みたいにやれよー!」


「キスしろキスー!」


「ここまで来たんだから見せろー!」


「…………っ。」


 ヒナの顔が赤くなる。


「早くそこの二人もキスしろよ!」


「で、できるわけないでしょ!!」


 叫んだ。


「…………。」


 会場が一瞬静かになった。


「なんで?」


「…………っ!」


 ヒナが止まる。


「…………。」


 付き合っていないから。


 とは。


 言えない。


「こ……。」


「?」


「こ、こんな人前でなんて!!」


「…………。」


「…………。」


 会場の空気が変わった。


「あ。」


「…………いい。」


「いいな。」


「めっちゃ恥ずかしがってる。」


「かわいい……。」


「…………。」


 ヒナの顔がさらに赤くなる。


「ち、違っ……。」


「何が?」


 レイが横から聞く。


「あなたは黙ってて!」


「はい。」


 観客から笑い声が上がった。


『なるほど!』


 司会も楽しそうに笑う。


『これはこれで、お二人らしいですね!』


「らしくないわよ!」


『では、審査員の皆様! お願いいたします!』


「…………。」


 ヒナが何とも言えない顔のまま審査員席を見る。


 一人目の審査員が笑った。


「いやぁ、面白かったですね。」


「…………。」


「ここまで三つの審査を見てきましたが、ずっと言い合ってるんですよ、このお二人。」


 観客から笑いが起こる。


「でも、不思議と嫌な感じがしない。」


 一度、二人を見る。


「一次審査では相手のことをよく知っていましたし、二次審査ではほとんど言葉が必要ないほど息が合っていた。」


「…………。」


「最後はこれです。」


 少し笑う。


「私はかなり好きですよ。」


 拍手が起こる。


「次の方!」


 受付を担当していた女性だった。


「はい。」


 ヒナを見る。


「まず。」


 胸を張る。


「ヒナ少佐は素晴らしかったです!」


「ありがとうございます……。」


「当然です!」


「…………。」


 続いて。


 レイを見る。


「そして。」


「はい。」


「…………。」


 少し間。


「私はヒナ少佐のファンクラブに入ってるんですがね。」


「え。」


 周囲の審査員が笑う。


「正直。」


 レイを見る。


「最初はかなりショックでした。」


「…………。」


「でも。」


 二人を見る。


「ここまでのお二人の活躍を見て……。」


 少しだけ笑った。


「応援したくなりましたよ。ははは。」


「…………。」


 ヒナが僅かに目を見開く。


「ありがとうございます。」


「…………どうも。」


 レイも頭を下げた。


「ただし。」


「?」


「ヒナ少佐を泣かせたら許しませんからね。」


「なんで俺だけ。」


「当然でしょう?」


「…………。」


『ありがとうございます!』


 そして。


 司会が最後の一人へ顔を向けた。


『そういえば、ルコさんはお二人とかなり仲がいいんですよね?』


「ん?」


 ルコが顔を上げる。


「そうなんですよ。」


「…………。」


「…………。」


 嫌な予感がした。


『お二人とは、どういうご関係なんですか?』


「二人とも友人です。」


「ルコ。」


「何?」


「…………。」


 レイは黙った。


「それでですね。」


 ルコが楽しそうに続ける。


「彼らが初めて出会ったのは、森の中だったそうです。」


『森ですか?』


「はい。」


 観客も耳を傾ける。


「お互い別々に魔物討伐をしてる最中だったみたいですよ。」


「…………。」


「そこで方針が合わなくて。」


 ルコが笑う。


「大喧嘩したそうで。」


 観客から笑いが起こる。


「余計なことを……。」


「言わせときなさい。」


「お前平気なの?」


「平気じゃないわよ。」


『そこから今のような関係に?』


「いやいや。」


 ルコが手を振る。


「それからも色々ありまして。」


 一度、二人を見る。


「強大な敵と一緒に戦ったり。」


「…………。」


「なんやかんや酸いも甘いもあり。」


「…………。」


「今ではご覧の通り。」


 にこやかに笑う。


「仲良しです。」


「おぉー……。」


「いいじゃん。」


「最初は喧嘩だったのか。」


「そこから一緒に戦って……。」


 観客が勝手に盛り上がり始める。


「…………。」


「…………。」


 レイとヒナは黙っていた。


 別に。


 間違ったことは言っていない。


『なるほど……!』


 司会も感心したように二人を見る。


『それを聞くと、今日のお二人の様子も少し違って見えますね!』


「そうでしょう?」


「…………。」


 ヒナがルコを睨む。


 ルコは気づいているくせに、笑顔のままだった。


『ではルコさん、最終的な評価はいかがでしょう!』


「そうですねぇ。」


 二人を見る。


「まあ。」


 少しだけ笑う。


「お似合いだと思いますよ。」


「…………。」


「…………。」


『ありがとうございます!』


 司会が中央へ戻る。


『それでは!』


 四組を見渡した。


『審査員の評価! そして観客の皆様の声を合わせ――今年最高のカップルを決定いたします!』


「…………。」


「…………。」


 レイとヒナが顔を見合わせる。


「いけるか?」


「勝つわよ。」


「だな。」


『それでは――結果発表です!!』

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