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LAVeLESS  作者: 神矢
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67/90

二人は仲良し?

 しばらくして。


 参加受付が締め切られた。


『それでは皆様! お待たせいたしました!』


 広場に司会の声が響く。


 中央に設けられた舞台の前。


 参加者たちが集められていた。


「結構いるな。」


「そうね。」


 レイが周囲を見る。


 全部で十五組。


 若い男女もいれば、かなり長く連れ添っていそうな二人もいる。


 緊張している者。


 楽しそうに話している者。


 すでに腕を組んでいる者まで様々だった。


「…………。」


 ヒナが隣を見る。


「何?」


「別に。」


「?」


 レイは気にせず前を見る。


『今年もたくさんのご参加、ありがとうございます!』


 司会が大きく手を広げる。


『今回集まっていただいたのは、十五組三十名! この中から――今年最も素晴らしいカップルを決定いたします!』


 観客から拍手が起こる。


「…………。」


「…………。」


 レイとヒナも、とりあえず拍手した。


『もちろん! 優勝したお二人には――』


「…………。」


「…………。」


『先ほどご紹介した、ホワイトカウビット一頭分のお肉を贈呈いたします!』


「絶対勝つぞ。」


「当然よ。」


 小声だった。


『それではまず、審査員の皆様をご紹介しましょう!』


「審査員?」


「いるのね。」


 舞台の横。


 少し高く作られた席へ視線が集まる。


 数人の男女が座っている。


 そして。


「…………。」


「…………。」


 その中に。


 見覚えのある男がいた。


 ルコだった。


「審査員なのかよ。」


「本当に何してるのよ、あの人。」


 当の本人は二人の視線に気づいたらしい。


「…………。」


 にこっ。


「…………。」


「…………。」


 レイが目を逸らした。


「見るな。」


「私に言わないで。」


『それでは早速! 一次審査へ参りましょう!』


 広場の端から、係員たちがいくつもの小さな板と紙を運んでくる。


『一次審査はこちら!』


 司会が一枚の札を掲げた。


『――相互理解審査!』


「相互理解?」


『カップルにとって大切なのは、やはりお互いをどれだけ知っているか!』


 参加者の何組かが頷く。


 係員が二人一組の前へ、それぞれ回答用の板を置いていく。


『ルールは簡単です! お互いの答えが一致していれば一点!』


「なるほど。」


『まず一人の方に、質問への答えを書いていただきます! もちろん相方には見えないように!』


『その後、もう一人の方にも同じ質問へ答えていただきます!』


『お二人の答えが一致していれば合格です!』


『次の質問では回答する順番を交代! これを繰り返し、お二人がどれだけ互いを理解しているか審査いたします!』


「簡単そうだな。」


「どうかしら。」


『答えが一致すれば一点! 次の質問では回答する順番を交代します!』


『これを繰り返し、獲得点数の高いカップルが一次審査通過となります!』


 会場から声が上がる。


『なお今回は十五組と大勢ですので、五組ずつ三つの組に分かれて行います!』


 係員が参加者を順番に分けていく。


『そして公平を期すため、それぞれの組で質問内容も変更いたします!』


 やがて。


「レイさん、ヒナさんはこちらへお願いします。」


「あ、はい。」


「分かりました。」


 二人も指定された場所へ移動する。


 五組。


 横一列。


 舞台からも、観客からもよく見える場所だった。


「…………。」


 ヒナが周囲を見る。


「人、多いわね。」


「今さら?」


「言わないで。」


「はいはい。」


『それでは、こちらの五組から参りましょう!』


 司会が参加者たちを見渡す。


『最初の質問に答えを書いていただくのは――女性の皆様です!』


「私からね。」


「あぁ。」


 ヒナが渡された紙とペンを取る。


『男性の皆様は、合図があるまで答えを見ないようお願いいたします!』


「…………。」


 ヒナが隣を見る。


「何?」


「…………別に。」


 レイは何食わぬ顔で前を向いている。


 ヒナは少しだけ目を細めた。


『それでは――!』


 司会が最初の札を手に取った。


『最初の質問です!』


 司会が札を掲げる。


『女性側が、一番得意な屋台遊戯は何でしょう!』


「…………。」


 レイが横を見る。


「簡単だな。」


「見ないで。」


「見てねぇよ。」


 ヒナが紙へ答えを書く。


 伏せる。


『それでは男性の皆様、お答えください!』


 五人がそれぞれ紙へ書いていく。


 レイは迷わなかった。


『では、同時にどうぞ!』


 回答が掲げられる。


 ヒナ。


『輪投げ』


 レイ。


『輪投げ』


『一致です!』


 観客から拍手が起こる。


「まあ、これはな。」


「何度もやってるものね。」


『続いて第二問! 今度は男性側が先に答えてください!』


 レイが紙を受け取る。


『男性側が、下級区の屋台でよく選ぶ食べ物は?』


「…………。」


 少し考える。


 書く。


『女性の皆様、お願いします!』


 ヒナもペンを走らせる。


『では、どうぞ!』


 二人の紙が上がった。


『肉の串焼き』


『肉の串焼き』


『またまた一致!』


「さっきも食ってたしな。」


「あなた、だいたいお肉でしょう。」


「お前も食ってただろ。」


「私は色々食べるわよ。」


『第三問です!』


 再び女性側へ紙が渡される。


『今度は少し難しくいきましょう!』


「難しく?」


『女性側が一番好きな花は何でしょう!』


「…………。」


 ヒナの手が止まった。


「へぇ。」


「何よ。」


「いや。」


 ヒナは少し考えてから、紙へ書いた。


『それでは男性の皆様!』


「…………。」


 レイはすぐに答えを書く。


 その様子を。


 ヒナが横目で見ていた。


『一斉にどうぞ!』


 紙が上がる。


 ヒナ。


『紫桔梗』


 レイ。


『紫桔梗』


『一致です!!』


「おぉ!」


 観客から、先ほどより大きな声が上がった。


『これは素晴らしい! 三問連続!』


「…………。」


 ヒナは自分の紙を見る。


 次に。


 レイを見る。


「…………。」


「何?」


「私、好きな花なんて話したことないわよね?」


 小声だった。


「あぁ。」


「…………センス使ってないでしょうね?」


「禁止って言われた?」


「…………卑怯者。」


「ルールは守ってる。」


「……そう。」


 ヒナが呆れたように前を向いた。


『では第四問! 今度は男性側です!』


「次来たぞ。」


「はいはい。」


『男性側が、勝負に負けた時に最初にすることは?』


「…………。」


 レイがヒナを見る。


「何だよ。」


「別に。」


「絶対なんかあるだろ。」


「早く書きなさいよ。」


 レイが紙へ書く。


 ヒナも回答する。


『では、どうぞ!』


 レイ。


『言い訳』


 ヒナ。


『言い訳する』


「おい。」


『一致です!』


「待て。」


「何よ。」


「俺そんな言い訳する?」


「するでしょう。」


「しねぇよ。」


「さっき輪投げでしてたじゃない。」


「してないだろ。」


「七本入れたからプレッシャーになるって。」


「あれは事実を言っただけだ。」


「ほら。」


「何がだよ。」


『仲が良いですねぇ!』


 司会の声に、観客から笑いが起きた。


「…………。」


「…………。」


 二人は前を向いた。


『第五問!』


 女性側が再び先に答える。


『相手と一緒にいる時、一番よくすることは?』


「…………。」


 ヒナが少し考える。


 書いた。


 レイも続けて答える。


『では、どうぞ!』


 ヒナ。


『口喧嘩』


 レイ。


『喧嘩』


「…………。」


「…………。」


『これは――一致でいいでしょう!』


 会場から笑いと拍手が起きる。


「他になかったの?」


「お前こそ。」


「だって一番多いでしょう。」


「まあ、多いな。」


『そして最後の問題です!』


「最後か。」


『今度は男性側から!』


 レイが紙を構える。


『今、この会場で一番欲しいものは何でしょう!』


「…………。」


「…………。」


 レイが書く。


 ヒナも。


 ほとんど迷わなかった。


『では――どうぞ!』


 二人同時に紙を上げる。


『ホワイトカウビット』


『ホワイトカウビット』


『一致!!』


「よし。」


「当然ね。」


『なんと六問すべて一致! 満点です!!』


 観客から大きな拍手が起こった。


 他の四組からも感心したような声が上がる。


「楽勝だったな。」


「…………。」


 ヒナがレイを見る。


「何だよ。」


「半分くらいあなたの実力じゃないでしょう。」


「勝ちは勝ちだ。」


「…………。」


「何。」


「別に。」


『それでは続いて、次の五組へ参りましょう!』


 二人は係員に促され、端へ移動する。


 その後も審査は続いた。


 質問は組ごとに変わる。


 好きな料理。


 苦手なもの。


 休日の過ごし方。


 相手が喜ぶ贈り物。


 答えが一致するたび歓声が上がり。


 外れるたびに笑いが起きた。


 やがて。


 三組すべての審査が終わる。


『それでは、集計が完了いたしました!』


 広場へ再び参加者が集められた。


『一次審査を通過するのは――上位八組!』


「八組か。」


「半分くらいね。」


『まず一組目――!』


 順番に名前が呼ばれていく。


 そして。


『六問すべて一致! 文句なしの満点! レイさん、ヒナさん!』


「よし。」


「当然ね。」


 二人は揃って前へ出た。


 舞台横。


 審査員席では。


「…………。」


 ルコが二人を見ながら笑っていた。


「…………。」


「…………。」


「絶対なんか企んでる顔だな。」


「見ない方がいいわよ。」


「そうだな。」


 こうして。


 十五組いた参加者は、八組まで絞られた。


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