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LAVeLESS  作者: 神矢
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学園を救おう

 レイはテオへ向き直った。


「テオ先生。とりあえず座ってください。」


「でもぉ……レイさん……戻って……。」


「分かりましたから。ちゃんと話聞きますんで。」


「……はいぃ。」


 どうにかテオを椅子へ座らせる。


 水を飲ませ、少し落ち着くのを待つ。


「それで、何があったんですか?」


「……先週の土曜日に、レイさんの後任の先生が来たんです。」


「あぁ。正規の先生ですよね。」


「はい……。」


「それで?」


「Sクラスの生徒たちが……授業を受けないって……。」


「……なんでです?」


「分かりませんよぉ……。」


 テオが頭を抱える。


「しかも、おかしいんです……。」


「何がです?」


「試さないんです。」


「試さない?」


「はい……前任の先生の時も、レイさんの時も、ライオット君たちは実力を見るって言ったでしょう?」


「あぁ。」


「でも今回は、それすらしないんです。どれくらい強いのかも、どんな授業をするのかも関係ないって……。」


「…………。」


「それから一週間、何人かの先生の講義まで受けなくなって……。」


「戦闘魔法術以外も?」


「はいぃ……。」


「全部ですか?」


「いえ。僕の講義は普通に受けてくれます。他にもちゃんと受けている先生はいます。」


「一部だけ?」


「そうなんです……。」


「で、今日が二回目?」


「はい……。」


「やっぱり受けなかった?」


「受けませんでしたぁ……。」


「…………。」


 レイが腕を組む。


 妙だった。


 あいつらは大人を舐めているところはある。


 だが、理由もなく筋の通らないことをする連中ではない。


「新しい先生って、ちゃんと実績のある人なんですよね?」


「もちろんです。王立魔導学園の正規講師ですから。」


「ですよね。」


 なら、単純に弱い人間を学園が連れてきたとも考えにくい。


 そもそも、生徒たちはその実力を確認することすら拒んでいる。


「俺が辞めること、あいつらは知ってました?」


「いえ。知らなかったと思います。」


「俺の授業は?」


「ものすごく真面目に受けてましたよ。」


「ですよねぇ……。」


 なら、自分が嫌われていたからという線も薄い。


 それどころか、ルコの言う通り、それなりには懐かれていたはずだ。


「正規の先生が来た日に、いきなり授業を拒否した。」


「はい。」


「その後、一部の先生の講義まで受けなくなった。」


「はい。」


「でもテオ先生とか、他の先生の講義は普通に受けてる。」


「そうなんです。」


「…………。」


 レイは少し考える。


「じゃあ、新しく来た先生が何かやったんじゃないですか?」


「え?」


「その人が来てから始まったんですよね?」


「はい。」


「それに何人かの先生が関わったとか。」


「……あっ。」


「それなら一応、筋は通りますよね。」


「そうかも!」


 テオの顔に、久しぶりに生気が戻る。


 レイも頷いた。


「少なくとも、俺が何かやったからこうなってる感じじゃないですよね。」


「……確かに!」


「じゃあ俺、関係ないですよね。」


「よかったぁぁ……!」


「ですよね。」


「いや、よくねぇじゃん。」


 ルコの一言に、二人が同時に振り向いた。


「「え?」」


「学園めちゃくちゃなんだろ?」


「はい……。」


「じゃあ何も解決してねぇじゃん。」


「…………。」


「…………。」


 テオの顔から、せっかく戻った生気がまた消えていく。


 レイが首を傾げた。


「いや、でも俺が原因じゃないなら、俺が戻っても仕方なくない?」


「まあ、お前の言ってることは筋通ってるよ。」


「だろ?」


「生徒に相当懐かれてたのも、多分そうなんだろうし。」


「でも、それだけなら今起きてることとは関係ないだろ。」


「うん。」


「だったら、お前が悪いかどうかなんて今は関係ねぇんだよ。」


「何でも屋だろ、お前。」


「そうだけど。」


 ルコがテオを見る。


 そして、もう一度レイを見る。


「多分、そういう依頼が来てんだろ?」


「…………。」


「学園がめちゃくちゃだから、たぶん懐いてるであろうお前に。」


「なんとかしてくれって。」


「…………。」


 レイの顔から、みるみる面倒くさそうな色が滲み出した。

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