王都アルトーラの人々①
王都、アルトーラ。
この街には、たくさんの人が暮らしている。
商店を営む者。
国に仕える者。
職人として腕を振るう者。
学校へ通う子供たち。
そして、その誰もにそれぞれの人生がある。
嬉しいことも、悲しいことも。
大きな夢もあれば、他人から見れば何でもないような、小さな幸せもある。
これは、そんな毎日を生きる住人たちの――
ほんのちょっとした、日常のお話。
◇
「母さん! 今日、レイさんが仕事してた!」
「はいはい。」
「屋根の上にいたんだよ! それで仕事が終わったら、サッて飛び降りて! すっごい格好よかった!」
夕食を待ちながら、少年は興奮した様子で母親に今日の出来事を話していた。
「僕も大きくなったら何でも屋さんになりたい!」
「何言ってんの。ちゃんとした仕事に就きなさい。」
「何でも屋ってちゃんとした仕事じゃないの?」
「そういう意味じゃなくて!」
母親は料理の手を止め、少し考える。
「何でも屋さんって、なんでもできないとできない仕事なの!」
「そうなの?」
「そうよ。」
「じゃあ僕もレイさんみたいになんでもできるようになる!」
「だったら、まず何か一つを極めなさい。」
「一つ?」
「レイさんだって、最初からなんでもできたわけじゃないでしょう? きっと最初は一つずつできることを増やしていったのよ。」
「そうなんだ!」
もちろん、母親はレイがどうやって今の技術を身につけたのかなど知らない。
けれど少年は目を輝かせた。
「じゃあ僕もそうする!」
「はいはい。まずはちゃんと勉強しなさい。」
「うん!」
少年に、新しい夢が一つできた。




