ノア外伝 答え合わせ
ここまで読んでいただいたところで。
最後に。
ノアが辿り着いた答えについて、答え合わせをしておこう。
ノア「最初に現場の依頼を任されていたのは、管理職になるための現場研修だったんだ!」
→ 違います。
大会優勝者であり、極めて優秀な諜報員だと思われていたので。
普通に現場の仕事を頼まれていただけです。
できない依頼を断っても何も言われなかったのは。
契約時に「できる範囲で構わない」と伝えられていたからです。
研修ではありません。
ノア「一件の依頼を自分の力で達成したから、評価されて月二百万ベルから三百万ベルに上がったんだ!」
→ 違います。
その依頼を達成したことで。
「やはり、とんでもない実力を隠している」
というゲルムの勘違いが、さらに強固になっただけです。
その結果。
月二百万ベルでは安すぎると判断され、三百万ベルへ増額されました。
なお。
ビヨンド商会は、それでも安いと思っています。
ノア「研修が終わったから、情報調査部の全案件を任されたんだ!」
→ 違います。
ビヨンド商会は。
ノアが自分たちの抱えている案件を、既にある程度把握していると思っています。
そのため。
「どうせノアさんなら、ほとんどご存じだろう」
「なら、こちらから全て渡しておいた方が動きやすい」
という判断で。
補助、補完のために全案件を渡しただけです。
研修終了の合図ではありません。
ノア「正式に、管理する側としての仕事を任されたんだ!」
→ なってません。
誰も頼んでいません。
あなたが勝手に始めました。
案件の優先順位を決めることも。
人材を配置することも。
現場の人間が動きやすいよう、事前に情報を集めることも。
誰からも指示されていません。
ノアが。
「これが隊長補佐の仕事だったんだ!」
と納得して。
自主的に始めただけです。
ちなみに。
情報調査部の全案件には。
当然ながら。
外部へ漏らすことのできない、極めて重要な社外秘も含まれています。
普通なら。
社員であっても。
自由に社外へ持ち出すことなど許されません。
では。
なぜノアには許されたのでしょう。
→ ノア本人の情報管理能力とセキュリティ能力が、ビヨンド商会とは比較にならないほど高いと思われているからです。
「我々が管理するより、ノアさん本人に渡しておいた方が安全だろう」
と。
勝手に判断されています。
違います。
ノアは。
普通に資料を大切に保管しているだけです。
そして。
最後に。
ノア「つまり、最初から管理職としての才能を見込まれて採用されたんだ!」
→ 違います。
あなたは。
正体不明の魔導大会優勝者で。
公爵家に極秘任務で潜入しながら。
王家とも何らかの繋がりを持ち。
その実力を徹底的に隠し。
必要であれば王城にすら潜入できる。
世界最高峰の諜報員。
――だと思われて採用されました。
管理職としての才能は。
採用してから偶然見つかりました。
ただし。
そこだけは。
ノアの勘違いではありません。
彼には本当に。
情報を集め。
繋ぎ合わせ。
必要な人間へ渡し。
適切に人を動かす才能がありました。
そして。
本人がそれに気づいてから。
情報調査部の仕事は、以前より早く回るようになっています。
採用した理由は。
最初から最後まで。
完全に間違っていました。
それでも。
ビヨンド商会がノアを採用したことだけは。
間違いではなかったようです。




