第73話 ある雪の日の夜の話
新シリーズです。
舞台は冬です。
その日は雪が降っていた。マッチ売りの少女がいるならこういう日の夜に売っているんだろうな。なんて思いつつ俺はビミオンの城下街を歩く。寒くなってきた。マフラーでも、買うか。
「いらっしゃいませ~」
近くの服屋に入りマフラーを探す。あいつらの分も買っておくか? いや、いいか。自分で買いに行くだろう。たぶん。さてと、マフラーマフラーっと、どこだ? おっあったあった。
「赤いマフラー。これにするか。安いし。」
俺は真っ赤なマフラーを手に取りレジにもって行く。暖かい。これは、使えそうだ。
「次の方、どうぞ~」
雪、強くなってきたな。早く戻ろう。
「お釣りです。」
「ん? ああ、どうも。」
俺は買ったマフラーを手に持ち、店から出て行く。
「お買い上げありがとうございました~」
律儀だなぁ。では、さっそく、使いますか。俺は、マフラーをクルンと首に巻く。暖かい。あっ耳当ても買えばよかったな。まぁそれは、また今度だな。さぁ帰ろう。そして、服屋が見えなくなって来たところで一つの路地裏を通り過ぎたところで、立ち止まってしまった。そこには、一人の少年がいた。真っ赤な髪に、少し、ボロボロの服。所々が破れたズボン。そして、刀を持っていた。少し、驚いたが年齢は十四歳ぐらいか? なら、親からの譲りものか。それにしても、雪がキツくなってきたな。コイツ、凍死しちまうんじゃ。
「はぁ。おい。起きろ、ねてんじゃねぇ~よ。死んじまうぞ。起きろって、なぁ」
少し、目が開く。瞳が綺麗だった。青色だった。真っ赤に青ね。
「え~と。あの?」
「どうした?」
「ボク、なにしてましたか?」
コイツ、結構複雑な感じだな。
「寝てたよ。イビキはかいてなかったぞ。」
一瞬キョトンとする。首も傾げるがすぐに理解し、〔それは、よかったです。〕と言う。
「寒いですね。」
「ん? ああ、そうだな。そう思うならさっさと家に帰ることだな。もっと冷えると思うぞ、これから。」
黙る。顔を下に向ける。家か。問題は。
「あの、ボク。家に帰りたくないんです。どうか、ボクをどこかに連れていってください!」
精一杯、全身全霊で、訴える。ごめんな。俺にはそれはできない。いや、できないわけじゃないな。怖いんだ、俺も。
「出来るかどうかは分からん。けど、今日一日ぐらいなら、俺の顔で泊まらしてやる。俺の名前はニンだ。名前は?」
「、、、ありません。ボクには。」
「、、、そうか。名前がないのか。分かった。ああ、そうだ。お前に言っておくことがあった。俺もお前も似た者同士ってこととこれから行くところは少し、騒がしいぞ? それでも、行くか?」
「はい。行きます。」
「そうか」
耳が赤い。目が潤んでいる。そうとう前から外にいたな。帰ったらリンにうまい飯を作らせよう。
「ほら、それ、巻いとけ」
「え? でも、これは、あなたの。」
「あなたじゃなくてニンって呼べ。それに、貸してやるよ。寒いだろう?」
「ありがとうございます。」
マフラーを巻く。これで少しは寒さも和らげることができるだろう。
「あったかい。」
「そうか、なら、良かった。んじゃあ行きましょうか?」
「はい。」
これは、一人の少年が抗う物語り。




