第103話
「ウッここは? 落ちたのか? リンは? リンはどこに?」
辺りからはリンの魔力は感知できない。となると、僕が目覚めるまでの間に何かが起きたのか? 一体何なんだ、アレは。あの、現象を突き止めない限りは勝ち目は無さそうだね。まぁ今は兎にも角にも。
「出ておいでよ、隠れてないで。僕は今、多少気がたっている。敵対するならば問答無用で、潰すよ?」
「これはこれは、失礼なことをした」
老人? いや、強いな。洗礼された魔力、そして、威圧。油断はできないな。
「私は、王に支えし者。名をグシエと呼ぶ。貴様の名は?」
礼儀が正しいようだ。けれど、名乗る必要はない。
「もう一度聞く。敵対するのか?」
「私の命を持って、食い止める」
そう言うと、炎の魔力弾を放つ。僕はそれを水の壁で防ぐ。
「魔力は水か、ならば」
左腕が吹き飛ぶ。再生しない。
「電気?」
何故? 彼の魔力は炎なんじゃないのか? 複数魔力を持つのか? 否。其を可能とする魔力を持っていると考えた方が良いね。
「悲鳴も揚げないとは、慣れているのか?」
こちらの手は見せたくはないのだけれど、やるしかないね。
「フム。魔力を使って再生したのか。となると、差し詰め自動再生等か?」
中々鋭いね。まぁ一つ違うとするならば、無意識による自動再生だけどね。だから、魔力の消費を抑えることができる。意識すれば難しいんだよ、慣れてないから。
「魔人、只の人間ではないようだな」
吸血鬼とのハーフ。だから、
「半魔人だよ」
「そうか、ならば貴様か。先代の王が言っていた兵器とは」
兵器? 何故? 何故、其を知っている! それに先代の王だと? 嗚呼、そうか。ここは、僕が生まれた所なのか。
「なら、現王はスズのお父さんじゃないんじゃ?」
「・・・否。彼の父親であることは間違いない。が、認められなかったのだよ。王には実力がある。しかし、魔力が異端だった。それ故に、王の座に座ることも許されなかった。だから、現王よりも先に彼が次期の王の座に君臨することになった。実力が全てのこの国に生まれたと言うのに、その力が異端だった故に、人間の座にも座れなかった」
現王の事なんか、心底どうでも良い。今は、
「先代の王は何処に居る?」
今あるのは怒りだけだ。見つけて、殺してやる。生まれたことを後悔させてやる。
「死んだ。否、王が殺した。最後まで後悔の一つもなく。この国を殲滅した。我らを除いてな」
殲滅だと? ならば、奴隷とされる人達も。
「奴隷はどうした!」
「・・・居ないな。そんな者達は」
言葉にできない感情・・・否。一つだけ在る。それは―――
「ブッ殺す」
心臓の鼓動が早くなる。血管は湧き、血は流れる。あの時の力が這い上がる。
「過去に在たとさせる、伝説の魔物。その名は鬼。否、鬼以上の存在。吸血鬼か!」
魔力が増幅する。今なら何でもできそうだ。
「血で作った十字架。皮肉な物だな」
巨大な十字架を右手に持ち、水の滴から血の滴に変え相手に向ける。一時の感情に従い、本能のままに動く。在るのは殺意のみ。




