第93話
ゲン視点~
「なぁゲン、ちょっと遠くないか? 何時間地下水路を走れば着くんだよ」
「知らねぇ」
「お前なぁ」
だって事実知らねぇもん。帝国に繋がる唯一の水路、そこを渡って俺とダグスは帝国の地下へと侵入する、そして、それが長い。非常に長い。でも、もうそろそろ着いても良いんだよなぁ、何て言ってるうちに灯りが出てきた。
「もう炎は入らねぇな」
そう言って手から出していた炎を消す。
「灯りが出てきたってことは帝国の地下に近づいているってことか。何時でも戦闘体制を取れるようにしておけよ」
「了解」
でも、居ないだろさすがに、地下水路だし。
「油断するなよ? この数時間ずっと炎を出し続けてたんだ、魔力は結構消費してるだろ?」
ウッバレてた。まぁでも、充分戦える量の魔力は残ってる。耐久戦にならない限りは大丈夫な気がする。
「ッ! ゲン、誰か居る」
「このまま突っ込んで敵対したら反撃、退いたらその時は任せる!」
残りの距離は数十メートル、少し足音を大きくし気づかせる、ん? でも、よくよく考えれば怪しいじゃん。敵じゃね?
「ゲン!」
ダグスが叫ぶ、少し視線を落とし首元を見る。刃があった。ナイフを向けられていた。後ろに引く? たぶん意味はない。この勢いじゃ確実に刺さる。だが、頭で考えても体は勝手に動く。気づけば頭を引いていた。けどそのお陰で数秒稼げる咄嗟に体を屈める。髪に当たる。相手は間合いを取った。
「あぶねぇ! 死ぬかと思った」
「あと一歩で天に行くところだったな」
怖いこと言わないで~でも、本当の事なんだよな~ダグスが言ってくれてなきゃ今ごろ、
「今ごろ一人血だらけで死んでたのによ~避わしてんじゃねぇよ。まっ二人とも殺すつもりだし、結果は変わんないけどさぁ」
知らないヤツだ、見たことないヤツだ。
「ダグス先に行ってくんね? 俺は今あの男の動きを見たとこだ、対応できるかも」
「一度は言ってみたいセリフランキング五位ぐらいのこと言ってんじゃねぇ」
ハハッ、確かに言ってみたいセリフでは、あるけどさ。
「分かったよ、先行ってる」
「おう」
ダグスが走り出す、俺もそれに合わせ相手に向かって突っ込む。
「行かせたくないけど、まぁ良いや。アイツなら勝てると思うし。それより、今の俺の相手はお前だよなぁ!」
え? 止めないの! 俺止めるもんだと思ってたのに、ってこっち向かってくる!
「"熱拳"」
さてと、ダグスは行ったな。
「お前名前は?」
「名乗らなくても、良いだろ?」
・・・それもそうだな。
「来い、殺してやるから」
「本気で来いよ」
次回もゲン視点かな?




