第87話
ちょっとだけ、戻す。
間に合ってくれよ。
「ん?」
いきなり進まなくなった。スッと背中の方を見る。羽が消えている。どうやら、時間切れみたいだってちょっと待て。なら、この場合俺はどうなっちまうんだ? 落ちるくね? 落ちるよな。
「あっ」
落ちた。正確には、落下途中。風が顔に当たる。痛い。自然と目から汗が出てくる。この際ハッキリと言おう。涙である。あっダメだこれ。メッチャ怖い。
「ァァァァァアアアア~!!!」
死ぬって。死んじまうって。天に登ってまうって! ヤバイって! っと心の中で叫んでいたのだが何の意味もなかった。
「フガッ!」
ギャグ漫画の如く頭から落ちた。
「ん? 何か、垂れてきている? オオ、これは、血じゃん。え? 血? しかも、ドバドバと出てんじゃん。あれ? もしかして、俺、死ぬ? 大量出血で。ア~! どうしよ! どうしましょ! 死ぬ~! ビミオンに着く前に死ぬ~! ギャ~!」
「五月蝿い!」
怒られました。ドラゴンに。でもさ、血が出てんだよ。これが冷静になれるかっての。いや、違うか。血が出てるから、冷静にならなきゃいけないのか。つか、そんなこと思ってる間にもドンドン出てるんだけど。頭が真っ赤に染まるんだけど。
「治した。だから、もう騒ぐな。気に障る」
あっ本当だ。治ってる~何で?
「俺とお前は一心同体。俺がちょこっといじったら治せんだよ。もうしないけどな。後は、勝手に死んでろ。俺だけは生き残るからな」
さらっと生き残んなよ。一心同体だったら、一緒に死ねよ。そこは。
「ほら、早くいかないと知らないぞ」
ヤッベ! 本当だ! どうする? "竜化" はもう使えないから、え~と。あっ走るか。うん。走るか! よし! そうと決まれば足を動かせ!
ビミオン宣戦布告また、門兵爆殺五分前。




