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相棒

この国は、4月1日と2日で学年が分かれる。

それが例え、3つ子でも。

幼稚園でユズが倒れた。

短冊ビリビリ事件(命名は僕)の真っ只中の時は大丈夫だったんだけど、僕たちが庇ったことに安心したのか、眠るように倒れた。もちろん熱もある。緊張かな。

ユズがこうなるのは、言っちゃなんだけど日常茶飯事で、3人まとめて早退し家に帰ったあとも、僕とユミは何も気にせずに折り紙をして遊んでいた。

それにしても、幼稚園にいたときからぶっ通しで折り紙をしていたので、僕はちょっぴり飽きてきた。

そこで、僕は新たな刺激を求めてテレビをつけた。

いつものニュース番組。今日は7月7日ですとか、七夕なのでとか、人間のピンチを相棒の犬が救ったとか、お米の値段が上がったとか、ありふれたことばっかり言っている。

そんなニュースが続いて、その次。子役の子が料理をするコーナーだ。

4歳の僕らより3つ上の7歳。小学校1年生かな。小学校ってどんなところなんだろう。どんな人がいるのかな。知りたいことが尽きない。

「ねえ、モモくん!」

「!?」

突然耳元ですごい声が鳴り響いた。いつの間にか1人での折り紙を終わらせてテレビを観ていたらしいユミだった。

「何?」

「料理!ユズちゃんのために!」

ユミは相当興奮しているのだろう、倒置法まで活用してきた。4歳で倒置法とは、とかいう僕も4歳だが。

というか、料理か。確かに、ユズが倒れた時の処置はママが全て行っている。病院に連れていったり、頭を冷やしたり、おかゆ(?)を作ったり。

「おかゆっていうやつ、作れるようになれば、ママもちょっと楽になるよね?」

「なるほど!」

やるぞ!おかゆ大作戦!


「まずは、じょーほーしゅーしゅー!」

ユミは誰から情報を収集しようとしているんだか。

「アレクサー、おかゆってなにー?」

あ、賢い。

「お粥とは、お米などの穀類を多めの水でやわらかく煮た料理のことです」

ほうほう。

「お米1に対して水5の割合で炊く全粥が日常食の基本で、水分を多くする七分粥や五分粥などは離乳食や病気療養のときに選ばれます」

ほう?

「ごはんをだしや調味料で煮込む雑炊やおじやとは異なり、生米からじっくり水分を含ませてやわらかく仕......」

......?

何を言っているのか分からない。ユミもわかんない顔。さすがは3つ子。今は2人だけど。

「アレクサー、もういいよ、ありがと!」

ユミが強制的に終了させた。たまにこの姉は怖い。


作戦会議の時間だ。

「つまり、お米をびちゃびちゃにすればいいんだ!」

「そんな簡単か?」

僕の疑問はフル無視で、ユミはキッチンへ全力ダッシュ。僕も慌てて追いかけた。


キッチンにつくと、ユミが頑張ってピンクと黄色の台を運んでいた。小さい子でも手が届くよーってやつ。

我が家では、3つ子のものは全て色で分けられている。ユミはピンク、僕が黄色、ユズが水色。目の色と同じ。

ユミが、重いって顔をしていたから、僕は黄色い方を貰って一緒に運んだ。

それを炊飯器がある机(?)の前において、中を眺めてみる。中身は、ほんのちょっぴりのご飯。僕らにちょうどいい量。

「これで作れるね!!」

「......ほんとに大丈夫?」

まあ、物は試しっていうし、一回やってみてもいい、のかな?


まずはユミが、自分のピンクのお茶碗にご飯をよそってみた。この平らなスプーンは、「しゃもじ」って言うらしい。なんだか可愛い響き。

「できたっ!」

次に、そのお茶碗の中に水を入れる。これは僕の役目。

......じゃぐちが遠くて届かない。

「えいっ、えいっ、あ、届いた!」

お茶碗にどんどん水が入っていく。

でもこれ、止められない......。

「わあああああああ」

「ちょっとまってて、ママ呼んでくる!」

こういう時のこの姉は冷静で、頼りになる。


しばらくして、ママが来た。おかゆ大作戦のことはユミが言ってくれたようだ。

「あらあらぁ」

と言いながら、水を止めてくれた。

ママの名前は、銀鏡 恵夢。小学校教師をしている。出張が多いパパの代わりに、ほぼ1人で僕らを育て上げた。

ちなみに、パパの名前は銀鏡 剣也。親父ギャグでよく滑っては、ユミとユズに冷ややかな目で見られている。野球の名コーチ(?)で、全国を飛び回って中高生に指導している、らしい。日曜日には絶対に帰って来るとはいえ、やっぱり普段の家事はほぼ全てママだ。

だから、そんなママに楽になってもらう大作戦だったんだけど、もうヒミツリ(最近アニメで聞いた言葉)に動くことはできない。

「ゆみりー、ゆづるのこと見ててくれない?だいぶ回復してきてるから、万が一のためにね」

「らじゃー!」

ユミはドタドタ階段を上がり、ユズのもとへ走っていった。

ママは僕たちをそのままの名前で呼ぶ。 ママが放つ僕らの名前をした音は、とってもあたたかい。

「さてじゃあ、とうやはお粥を一緒に作りましょうか」

「わかった!」


そこからは2人で協力して、美味しそうなおかゆが完成した。

とは言っても、ユズは、さっき起きた時にお母さんがおかゆを食べさせているので、僕らの昼ごはん。少し元気になったユズも、ママの隣ですうすう寝ている。

おかゆを口に頬張りながら、ユミが、

「ユズちゃんのお世話、バッチリできたよ!ユズちゃんにも褒められた!」

「あらあ、じゃあもう2人でできちゃうね」

ユミがドヤ顔。そこで、僕もドヤ顔をして言った。

「こういうの、なんて言うか知ってる?」

ユミはキョトンとしている。僕は答えを言った。

「相棒、っていうんだよ!」

読んでくださりありがとうございます!

今回は小さなユミとモモの話でした。

にーたすは割と視点が変わります。

見分け方としては、

・モモをモモくんと呼ぶ「私」がユミ

・「俺」(幼少期は「僕」)がモモ

・モモをモモと呼ぶ「私」がユズ

です。参考にしていただけると嬉しいです!

ではまた!

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