失望
この国は、4月1日と2日で学年が分かれる。
それが例え、3つ子でも。
小さい頃、プリキュアになりたかった。
なんでもできて、可愛くて、性格も明るくて優しい、そんなヒーローになりたかった。
あの日までは。
私とユミとモモは、その頃「きぼう幼稚園」に通っていた。
幼稚園では季節ごとにイベントがあって、それは子供みんなの楽しみだった。
まだ自分に少し自信のあった頃の私も、それを楽しみにしていた。
4歳の七夕。クラスのみんなでお願いごとを書くことになった。
私は、勿忘草色の短冊に、覚えたての拙いひらがなで
「ぷりきゅあになりたい。 ゆづる」
と書いて、笹にかけた。誇らしい気分だった。
翌日、登園すると、そんな短冊は見当たらず、無惨にちぎられて床に散らばった勿忘草色の紙だけがあった。
ショックだった。驚いた。悲しかった。
そしてその「ゴミ」の周りには、野次馬と、男の子がいた。
その子は、クラスの番長的存在だった。今思えばユミのことが好きだったのだろう、私を何かと目の敵にしてきた。
「ユミちゃんのナリソコナイが、プリキュアになれるわけねーだろ!」
ナリソコナイ、なり損ないか。
自分でも腑に落ちた。私はユミやモモにはなれない。
そう気付いたら、ふと目から水が出てきた。生ぬるくて、大粒の水だった。
そんな私に構うことなく、相手は私への罵倒とユミへの賞賛を喋り続ける。
そんな時、ドアが勢いよく開いて、ユミとモモが入ってきた。
「友達に聞いたよ!ユズちゃんのこと泣かせたんでしょ!ひどいよ!」
とユミが、
「サイテーだな」
とポツリとモモが。
大好きなユミに「ひどい」と言われた男の子は、半べそをかいて逃げていった。
ユミとモモは、私のことを心配して1個上のクラスから来てくれたのだ。その事が嬉しかったと同時に、私はあることを悟った。
私はユミやモモみたいにはなれない。
ナリソコナイだ。
これは私が、友達を作れなくなったきっかけの記憶だ。
あと読んでくださりありがとうございます。
今回は少し短いですが、私が特に好きなシチュエーションを詰めました。
自分の強さに無自覚で実力を制御しているものの、突如暴走する自称よわよわキャラや、過去に何かあり実力を隠し見かけはよわよわな演技をしているキャラっていいですよね。大好物です。というわけで、ユズがそっちに寄るかもです。
ではまた!




