↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
168/169

新婚の日常と、二人きりの『ダメ人間化推進会議』

◇

結婚式と新婚旅行という大きな行事を終え、私たちの新婚生活は落ち着いた……と思いきや、私のダメ人間化はさらに一段上の領域(ギア)へとシフトしていた。

「――樹くん。今朝の朝食は、私が一粒ずつ丁寧に種を除いた特製チェリーと、お出汁たっぷりのふわふわ出汁巻き卵です。さあ、お口を開けてください♡」

「あー……ん」

大きな窓から暖かい春の陽光が差し込む、新しいマンションのリビング。

私はソファーの上で、涼香の膝の上にすっぽりと頭を乗せた状態で、完璧な朝食のお世話を受けていた。

かつて大学時代に使っていたペアマグカップは、今や新居のダイニングテーブルで並んで光を放ち、私たちの薬指には重なる二つの結婚指輪がキラリと輝いている。

「……ふぅ。美味しいよ、涼香。でも、そろそろ仕事の準備もしないと……」

「ダメです。樹くんのお仕事は、自宅で執筆するフリーの文筆業(ライトノベル執筆)なのですから、出勤の必要はありません。それに、私の本日の最優先業務は『樹くんの完璧な飼育』です。会社(夏目グループの関連法人)の業務はすべてリモートで効率化済みですので、余剰時間はすべてあなたに捧げます♡」

「相変わらず手際が良すぎるよ……っ!」

スーツ姿のままでエプロンを羽織った涼香は、凛とした表情のまま、私の額にチュッと甘い口づけを落とした。

大学を卒業し、社会人となった今でも、彼女の過保護と独占欲は留まるどころか、より洗練された『絶対的支配』へと進化を遂げていた。

「ふふ……さて、樹くん。今週末の『夫婦のお休み』について、少々ご相談(ダメ人間化推進会議)があります」

「ダメ人間化推進会議って何……!?」

涼香はどこからか取り出したタブレット端末の画面を私に見せてきた。

そこに表示されていたのは、都内の最高級ホテルのスイートルームの予約画面と、出前・ケータリングサービスのリスト、そして『週末48時間・完全引きこもり過保護スケジュール』という恐ろしいタイトルのスプレッドシートだった。

「今週末は、このスイートルームで48時間、樹くんには指一本動かさず、お布団の中から一歩も出ずに私からのお給仕だけを受けていただきます。お着替えも、洗顔も、お食事も、マッサージも、すべて私が執り行います♡」

「スイートルームで48時間放置ならぬ、48時間お世話攻め……!?」

「放置などするわけがありません! 片時も離さず抱きしめ続け、私の愛であなたをトロトロに溶かして差し上げます♡」

琥珀色の瞳を熱く濡らし、怪しくも可憐な笑みを浮かべる妻。

かつての『氷山先輩』の面影を残しつつも、そこにあるのは旦那様を世界一幸せなダメ人間にしようとする、留まることを知らない圧倒的な愛情だった。

「……ねえ、樹くん。この計画、承諾していただけますね……?」

耳元で囁かれる甘い吐息。

私は降参するように苦笑し、彼女の腰へとそっと手を回した。

「……うん。涼香の言う通りにするよ。……俺をここまでダメ人間にしたのは涼香なんだから、一生責任取って甘やかしてね」

私の答えを聞いた瞬間、涼香の顔に世界で一番美しい満面の笑みが咲き誇った。

「――喜んで♡ 一生をかけて、我が夫を世界最高のダメ人間へと仕込んで差し上げます♡」

完結を迎えても、私たちの過保護で甘美な新婚生活は終わらない。

どころか、さらに深く、どこまでも甘やかに、新たな『アフターストーリー』を紡ぎ始めていくのだった――!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

最後までお読みいただきありがとうございます!

「夏目先輩のギャップ萌えが可愛い!」「続きが気になる!」と思っていただけたら、
ページ下部の【★★★★★】評価とブックマーク登録で応援していただけるとめちゃくちゃ励みになります!✨

※皆様の星とブックマークが作者の執筆の原動力です!

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。