秋の紅葉と、二人きりの『誓いの記念日』
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季節は巡り、再び紅葉が山々を染める秋がやってきた。
私たちが箱根の温泉旅行へ行ってから、ちょうど一年。
「……樹くん、一年前の箱根を覚えていますか?」
「もちろん覚えているよ。涼香が客室露天風呂で、ずっと俺をお世話してくれたよね」
落ち葉が舞う公園のベンチ。
私たちは二人で温かい紅茶の入ったタンブラーを持ちながら、寄り添って腰掛けていた。
「ふふ、あの頃から私の『過保護』は何も変わっていませんね。いいえ、むしろ毎日更新されています」
涼香は私の膝の上に自身の頭を乗せ、甘えるように私のお腹へと手を回してきた。
「この一年で、本家にも認められ、お揃いの指輪も交わし……私たちは本当の意味で『不可分の夫婦』となりました」
「そうだね。涼香と過ごす毎日が、どんどん幸せになっていくよ」
涼香は私の顔を見上げ、琥珀色の瞳を愛おしそうに細めた。
「樹くん。大学を卒業したら……正式に結婚式を挙げましょうね。そして……小さくても温かい我が家で、一生私があなたをお世話して差し上げます」
「うん。涼香の作る朝食を食べて、涼香にお着替えさせてもらって……一生、涼香のダメ人間として生きていくよ」
私の宣言に、涼香は感極まったように私にしがみつき、頬を寄せてきた。
秋の澄んだ空気の中、二人の絆は成熟した紅葉のように、どこまでも深く鮮やかに色づいていた。
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第十七話――二度目の冬と、二人で迎える『将来の設計図』
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十二月。二度目の冬が訪れ、街はクリスマスのイルミネーションで華やかに彩られていた。
マンションのリビングで、私たちは二人でノートパソコンの画面を覗き込んでいた。
画面に映っているのは、大学卒業後の住まいとなる『新居の物件情報』だった。
「樹くん、この間取りはいかがでしょう? 日当たりの良い広いリビングと、大きなベッドが置ける寝室……そして、樹くんがいつでも私のお膝の上で寛げるスペースが十分に確保されています」
「ふふ、涼香は部屋を選ぶ基準も全部俺中心なんだね」
「当たり前です。私の人生の設計図は、すべて『樹くんをいかに快適に飼育するか』という一点において描かれているのですから」
涼香は私の首に腕を回し、後ろから私をすっぽりと抱きしめてきた。
彼女の身体の温もりと、柑橘アロマの香りが、私を優しい幸福感で満たしていく。
「……白鳥先輩や葵ちゃんからも、卒業後の結婚式の下準備を手伝うと言われています。親族たちも、すでに私たちの挙式を楽しみに待っていますよ」
「みんなに応援してもらえて、本当に嬉しいね」
「ええ。ですが……私にとって一番大切なのは、あなたが私の手の中でずっと笑っていてくれることです」
涼香は私の耳元で、優しく、けれど絶対に解けることのない愛の言葉を囁いた。
「未来のどこへ行こうと……私はあなたを世界一幸せなダメ人間へと導いて差し上げます♡」
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第十八話――卒業の春と、純白のドレスに包まれた誓い
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そして――時が流れ、私たちは大学の卒業式を迎えた。
桜の花びらが快晴の空に舞い踊る中、式の後に執り行われたのは、夏目本家と親しい友人たちに見守られた、二人だけの結婚式だった。
チャペルの扉が開いた瞬間、場内から大きな拍手と歓声が巻き起こった。
「「おめでとう!! 樹くん! 涼香さん!!」」
葵の叫び声と、涙を流しながらカメラを構える白鳥先輩の姿。
そして上座には、温かい眼光で私たちを見つめる涼香の父親と親族たちの姿があった。
私の隣に立つ涼香は――息を呑むほど美しかった。
純白のウエディングドレスに身を包み、レースのヴェール越しに見える琥珀色の瞳は、世界中のどんな宝石よりも美しく輝いている。
指輪の交換。
かつて初雪の中で交わしたプラチナリングの隣に、一生の伴侶としての永遠の結婚指輪が重ねられた。
「……樹くん。……私を選んでくれて、私に飼い慣らされてくれて……本当に、ありがとうございます」
ヴェールを上げ、涼香が涙ぐみながら微笑む。
「……こちらこそ、涼香。俺を世界一幸せな夫にしてくれて、ありがとう」
大歓声と祝福のフラワーシャワーが降り注ぐ中、私たちは永遠の口づけを交わした。
かつて『氷山』と呼ばれた少女の過保護な愛は、ついに最高の結末へと結ばれたのだった。
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