全校に広がる正妻宣言と、特大の過保護膝枕タイム
大講義室前のホールで涼香が言い放った、あの衝撃的な『正妻宣言』。
その日のうちに、そのニュースはSNSや大学内の掲示板を通じて、まるで野火のように全校生徒へと広がっていった。
『あの法学部の「氷山美女」夏目さんが既婚者!?』
『相手は文学部の普通な男子学生!?』
『あの涼香さんが「私の夫で人生のすべて」って言ったらしいぞ……』
次の講義室に入った瞬間から、周囲の学生たちの視線が痛いほど突き刺さる。
私は恥ずかしさのあまり小さくなってノートを開いていたが、当の涼香はどこ誇らしげに、私の隣の席にピタリと腰を下ろした。
「……樹くん、何をそんなに恥ずかしがっているのですか?」
「は、恥ずかしがるに決まってるよ! 大学中で俺たちのことが話題になってるんだよ……!?」
「いいことです。これで余計な虫がつく心配もなくなりました。……それより、樹くん」
涼香はそう言うと、自分の膝をトントンと優しく叩いた。
「講義開始までまだ十五分あります。……おいでなさい」
「えっ……? ここ、講義室だよ……!?」
「分かっていますよ。……私の膝の上で、少し目を閉じなさいと言っているのです。さっきから緊張して顔色が少し悪いですから」
「だ、ダメだって! 周りのみんなが見て——っ!?」
抗議する暇もなく、涼香の白い手に優しく頭を抱え込まれ、私はそのまま彼女の膝の上へと倒れ込まされた。
太ももの柔らかく温かい感触。
上から見下ろしてくる涼香の琥珀色の瞳と、優しく微笑む口元。
柑橘系の甘い香りが私の鼻腔をくすぐり、周りの学生たちの驚愕の囁き声が一瞬で遠のいていく。
「……ふふ、大人しくなりましたね。偉いですよ、樹くん♡」
涼香の柔らかい指先が、私の髪を優しく撫で上げていく。
高校時代、全校生徒に恐れられた元・副会長の膝枕。その極上の愛寵と過保護な飼育に、私の理性はみるみる溶かされていく。
「大学に入っても、私はあなたを甘やかすのをやめません。……いいですね? ずっと私の膝の上で、ダメ人間になっていてください♡」
◇
その日の夜。
二人の同居公寓のダイニングテーブルには、豪華な料理がずらりと並んでいた。
「それじゃあ! お兄ちゃんの大学デビュー(?)と、涼香さんの正妻宣言成功を祝して……乾杯ーっ!」
「ふふ、最高の取材資料が今日も手に入ったわ。乾杯」
葵と白鳥先輩が当然のように押しかけ、四人での賑やかな夕食会が始まっていた。
「もう……二人とも、毎日うちに来て夕飯食べてない……?」
「いいじゃないお兄ちゃん! 私たちがいないと、涼香さんがお兄ちゃんをデロデロに甘やかしすぎて、お兄ちゃんが本当に立ち上がれなくなっちゃうんだから!」
「ええ、葵ちゃんの言う通りよ。今日の講義室での膝枕の件も、実に素晴らしい過剰飼育のデータだわ」
「白鳥先輩まで……っ!」
苦笑いする私を見て、涼香は私の隣で嬉しそうに目を細め、私の口元へから揚げを運んできた。
「はい、樹くん。あーん♡ 葵ちゃんたちに負けないくらい、今夜もたくさん甘やかしてあげますからね」
「あ、あーん……」
大騒ぎの防衛線メンバーと、どこまでも過保護な氷山妻。
賑やかで、甘く、そして温かい新生活の夜は、どこまでも賑やかに更けていくのだった——!
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【作者から読者の皆様へ大切なお願い】
第130話(特大ボリューム・講義室の過保護膝枕&絶対防衛線夕食会!)をお読みいただきありがとうございました!
正妻宣言後の余波と、極上の膝枕シーンを楽しんでいただけましたでしょうか……!
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