深夜の二人きり、過保護な氷山妻の独占欲とお叱り
新歓コンパが終わり、葵と白鳥先輩と駅前で別れてから約三十分。
夜風に当たりながら二人で歩き、ようやく帰ってきた私たちのマンション。
ガチャリ、と玄関の鍵を閉める音が静かな室内に響く。
「……ふぅ。ただいま、樹くん」
「お、おかえり、涼香。……あっ、上着かけるよ」
私が涼香のトレンチコートを受け取ろうと手を伸ばした、その瞬間だった。
――ガシッ。
「っ……!? 涼香……?」
手首を強い力で掴まれ、そのまま引かれた。
バランスを崩した私の身体は、玄関の壁と涼香の身体の間に挟み込まれる。いわゆる、壁ドン――いや、完全に逃げ道を塞がれた状態だ。
さっきまでの居酒屋での穏やかな笑顔は消え去り、涼香の琥珀色の瞳は、夜の闇の中で揺らめく妖しい光を帯びていた。
「……樹くん」
「は、はい……!」
「今日の新歓コンパ、どうでしたか?」
「え? あ、うん、楽しかったよ? 葵たちも来てくれたし、賑やかで……」
「そうですね。楽しかったですね。……でもね、樹くん」
涼香の顔が、息がかかるほどの距離まで近づく。
ほんのりと甘いお酒の香りと、彼女がいつもつけている柑橘系の柔らかい香水が混ざり合い、私の脳を麻痺させていく。
「私、すごーく不機嫌なんです」
「えっ……!? さ、さっきのチャラい先輩のこと……?」
「それもあります。私以外の女の人たちが、あなたを物珍しそうに見ていたことも、あの男が馴々しく話しかけてきたことも……全部、許し難いです」
涼香は私の胸元に顔を埋め、ぎゅっとシャツの生地を掴んできた。
その身体が、かすかに震えていることに気づく。
「……怖かったのよ」
「涼香……?」
「大学は、高校の時とは違います。可愛い女の子も、大人っぽい女の人もたくさんいる……。もし樹くんが、私以外の誰かに目移りしたら……私、どうにかなっちゃいそうだったの」
元・生徒会副会長として、いつだって完璧で冷徹だった氷山先輩。
だが、今の彼女はただの『愛されたくてたまらない一人の女の子』だった。
私は胸が締め付けられるような愛おしさを感じ、掴まれていた手を解いて、涼香の華奢な背中を優しく抱きしめ返した。
「目移りなんて絶対にしないよ、涼香。……俺の奥さんは、世界で涼香一人だけなんだから」
「……ほんとう?」
「ほんとうだよ。さっきだって、涼香が『許嫁』って言ったとき、すごく嬉しかった」
「……っ♡」
抱きしめる力を少し強めると、涼香の身体からすーっと緊張が抜けていくのが分かった。
だが――安心したのも束の間、彼女はゆっくりと顔を上げると、小悪魔のような笑みを浮かべた。
「ふふ……可愛いことを言ってくれますね。でも……お仕置きは別です」
「えっ、お仕置き……!?」
「当たり前でしょう? 私をこんなに不安にさせた罪は重いです。……今夜は、ベッドに入るまでずっと私に抱っこされたまま過ごしてもらいます」
「ええええっ!? 抱っこ!?」
「文句は許しません。……ほら、お風呂に入って着替えたら、リビングのソファで待ち合わせですよ。私のダメ人間さん♡」
◇
三十分後。
お風呂上がり、リビングの大きなソファに座っていた私の膝の上に、すっぽりと涼香が乗っかってきた。
すべすべの肌、お風呂上がりの温もり、そして部屋着のパジャマ越しに伝わる胸の柔らかさ。
「涼香……これ、体制的にすごく恥ずかしいんだけど……」
「ダメです。今夜の『旦那様エキス補給』は特別仕様ですから。……ほら、力を抜いて。私に全部預けてください」
涼香は私の首に腕を回し、耳元で甘く囁く。
「大学生活が始まっても……あなたは一生、私のものなんですからね……♡」
新歓コンパの夜。
二人きりの甘いお仕置きタイムは、夜が更けるまでどこまでも続いていくのだった——。
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【作者から読者の皆様へ大切なお願い】
第127話(特大ボリューム・深夜の過保護なお仕置きタイム!)をお読みいただきありがとうございました!
涼香の不安と独占欲、そして極上の抱っこシーンを楽しんでいただけましたでしょうか……!
本作は現在、読者の皆様の温かい応援のおかげで【評価平均★★★★★(5つ星)】を獲得しております!
目標である【ランキング第1位】と【公式コミカライズ(無料漫畫化)】へ向けて、大学同居編も全力で爆進中です![cite: 2]
「深夜の甘々お仕置きが最高すぎた!」「涼香の独占欲が可愛すぎる!」と思ってくださった方は、
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