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目覚めの彼シャツと、二人だけの特別な休日

【シーン1:土曜日の朝08時00分、カーテン越しの陽光と『彼シャツ』】


パチリと目が覚めると、カーテンの隙間から差し込む朝陽が部屋を優しく照らしていた。


樹が体を動かそうとすると、胸元に重みを感じた。

見下ろすと、涼香が樹の胸に完全に顔を埋め、両腕で樹の腰をギューッと抱きしめたまま気持ちよさそうに眠っていた。


そして——彼女が着ているのは、昨日着ていたニットワンピではなく、樹が普段着ているオーバーサイズの白いYシャツだった。


大きすぎる袖口から覗く細い指先。

裾から伸びる、すらりと美しい生の太もも。

シャンプーの甘い香りと、樹の洗剤の匂いが混ざり合い、強烈な背徳感が樹の頭を殴りつける。


(っ……!? な、なんで涼香が僕のシャツ着てるの……っ!??)


樹がパニックになりながら息をのんだ瞬間、涼香の長いまつ毛が微かに揺れた。


「……ん……樹くん……?」


琥珀色の瞳がとろんと開く。

涼香は目をこすりながら、猫のように樹の胸に頬を擦り寄せた。


「おはよう……私の可愛い樹くん」


「り、涼香……っ! その格好……っ!」


「ふふ、驚いたかしら? 朝起きて、あなたの匂いに包まれたくて……クローゼットから勝手に借りちゃったわ。……似合っているかしら?」


涼香はベッドの上でゆっくりと起き上がると、シャツのボタンをふたつほど外した胸元をチラつかせながら、首をちょこんと傾げた。


「っ……似合いすぎてるけど……目の毒だよ……っ!」


「ふふ、顔を真っ赤にして……可愛いわね、樹くん」


涼香は満足そうに微笑むと、樹の首に腕を回し、おはよのキスをそっと唇に落とした。


【シーン2:10時30分、休日の朝食と、完全な『ダメ人間製造』】


リビングのローテーブル。

涼香が作った完璧な和朝食(出汁巻き卵と焼き魚)が並んでいた。


樹が自分で箸を持とうとすると、涼香がすっと樹の手を制した。


「だーめ。今日は土曜日よ? 樹くんは手を使わなくていいの」


「えっ……自分で食べられるよ……っ!」


「私に食べさせてほしいの。……ほら、あーんして?」


涼香は箸で綺麗に切り分けた出汁巻き卵を挟み、樹の口元へと運ぶ。

樹が恥ずかしさに耐えかねて口を開けると、柔らかい卵の甘みと出汁の旨味が広がった。


「美味しい……!」


「ふふ、良かったわ。……ねえ、樹くん。今日はどこにも出かけずに、一日中こうして私に甘やかされていなさい?」


「でも……涼香、服とか買いに行かなくていいの? 行きたいところがあったら付き合うよ?」


涼香は一瞬目を見開き、それから愛おしさに耐えきれなくなったように樹の頬を両手で包み込んだ。


「まあ……っ、私のためにデートに誘ってくれるの? ……なんて可愛いの、樹くんは……っ!」


「っ……普通に『どこか行きたい?』って聞いた全くだよ……っ!」


「いいえ、嬉しいわ。……じゃあ、お昼からは二人でお買い物に行きましょう。……もちろん、恋人繋ぎで手を握ったまま、ね」


【シーン3:14時00分、休日の街角(手繋ぎデートと、他人の視線)】


午後、ふたりは駅前のショッピングモールを歩いていた。


私服姿の涼香は、清楚な花柄のワンピースにカーディガンを羽織り、誰が見ても目を奪われるほどの美貌を放っていた。


すれ違う通行人たちが「あの子、めちゃくちゃ可愛くない……?」「モデルかなにか?」と囁き合う。


だが、涼香の意識は周囲の視線など一光年先にも届いていなかった。

彼女の視線は、ずっと隣を歩く樹の手元に注がれている。


「……樹くん、手が離れているわ」


「えっ、あ……ごめん」


樹が手を伸ばすと、涼香は待っていましたと言わんばかりに指を深く絡め合わせる「恋人繋ぎ」で握り返してきた。


「ふふ……これでよし、ね。……他の女の人たちがあなたを見ているの、すごく不快だったから……これで『私のもの』だってアピールできたわ」


「涼香……独占欲強すぎない……?」


「当然よ。あなたは私が飼い慣らした特別な旦那様なんだから。誰にも目移りさせないわ」


涼香は樹の腕に体をすり寄せ、幸せそうに微笑むのだった。


【シーン4:19時00分、夕暮れの公園(二人だけの誓い)】


買い物の帰り道、夕暮れに染まる近所の公園のベンチ。


涼香は樹の肩に頭を預け、繋いだ手をポケットの中でぎゅっと握りしめていた。


「……樹くん」


「なあに、涼香?」


「私ね……以前の自分がどんな風に生きていたか、もう思い出せないの」


涼香の声は静かだったが、深い愛に満ちていた。


「学校で『氷山姫』なんて呼ばれて、誰にも心を開かずにいた頃より……いま、あなたに甘えて、あなたを甘やかしている時の方が、何百倍も生きている心地がするわ」


樹は涼香の手を強く握り返した。


「僕もだよ、涼香。……涼香が僕の家に来てくれてから、毎日がすごく温かいんだ」


「……ふふ。じゃあ、決まりね」


涼香はベンチの上で樹に向き直ると、夕日に照らされた琥珀色の瞳で樹をじっと見つめた。


「これからもずっと……私に飼い慣らされていなさい。どこにも逃げられないように、私が一生愛してあげるわ」


涼香は樹の唇にそっと、誓いの接吻を落とした。

冷徹だった氷山姫の愛は、もう誰も止めることのできない、甘い永遠の拘束へと変わっていた——。

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