表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やりたかないのに陰陽師四  作者: 辻本 真悟
第五章:相坂トンネル大乱戦と最強の留守番パッチ
PR
31/37

第三十一話:オール・デリート・混沌のタスクキル

 相坂トンネルの前は、日本の裏と表のすべてが衝突する完全な乱闘ドメインと化していた。

 その最前線で、凄まじい輝きを放ちながら道を切り開いているのは、現当主・博臣ひろおみと次期当主・博雅ひろまさの親子だ。


「行くぞ、博雅! 源家の看板を汚すバグどもを叩き潰す!」

「おうっ、親父!」


 二人が背中を合わせ、親子二代の氣を限界突破で爆発させる。博臣の放つ圧倒的な源家正統の苛烈な氣の奔流と、博雅だけの特別なる『黄金の氣』。その二つの異なる輝きが濁流となって渦巻き、薬物でオーバークロックされた警察官や睦会の防衛線を次々とブチ破り、圧倒的なパワーで前進を続けていく。


一方その斜め後ろでは、裏社会のレジェンド二人が、驚くほどアナログな手法(素手ゴロ)で乱戦を切り抜けていた。


「ハァッ!!」


 泰臣が煙草を咥えたまま、襲いかかる睦会のヤクザの顎を容赦ないアッパーで跳ね上げる。その隣では、高級スーツを血に染めた瀬戸の旦那が、狂った警察官の顔面に鋭いストレートを叩き込んで沈めていた。


「……フン、いくら霊能力をなんちゃらする薬物を飲んどる言うてもな、元はただの人間やろがい! ほんなら、これ(拳)が一番効くんや!」


旦那が獰猛に笑いながら拳を突き出し、物理的な圧倒的リソースで周囲を蹂躙していく。


その間、俺と道満は戦場を縦横無尽に駆け回っていた。敵の『コレクター』の術士どもが放つ禍々しい黒い触手のクエリが、味方の兵庫県警や陰陽師たちに影響しないよう、術式で弾き、相殺し、軌道を逸らし続けていたんだが――。


「……はぁ。やりたかないねー、ホンマによー。あっちこっちで触手がニョキニョキ生えやがって、キリないねん」


数分も動き回っていると、俺の脳内CPUは完全に「面倒くさい」という深刻なエラーノイズで満たされ始めた。その俺の処理落ちしかけた横顔を見て、ヤクザの首を締め上げていた親父の泰臣が、ケラケラと笑いながらパケット(言葉)を投げてきた。


「なぁ、晴明。お前いつまで遊んどんねん。こいつらは全員、薬物飲んで無理やり霊能力を上げとるんやぞ。……つまりな、全員が『霊的干渉のレイヤー』に無理やりログインしとる状態(無防備)なんやぞ……?」


その親父のアドバイス(仕様説明)を聞いた瞬間、俺の脳内の回路がカチリと繋がった。


「――あぁ、そうか! 霊的干渉状態なら、一括消去すればいいだけじゃねえかよ!」


丁度限界を迎えていた俺は、一瞬で最悪の荒技タスクキルを選択した。

味方の巻き込み? 知るかよ。後で【十二天将・天后テンコウ:水の癒し】のリカバリーパッチを強制適用して一括回復させればいい。


俺は一歩前に出ると、脳内の演算リソースを全て解放して、一瞬で複雑な印のコンボを組み上げた。まずは博雅親子が智規と決着をつけられるよう、智規の周囲の座標だけを除外スキップする。


「――【六合リクゴウ:金剛結界】!!」


俺の「無色の氣」が走り、戦場の中で顔のわかる味方(保憲や有世、県警の精鋭、瀬戸の旦那たち)の周囲にだけ、ピンポイントで強固なセーフティ・バッファ(防御結界)をパパパンッとオーバーレイ(上書き)していく。


「……よし、後はなるようになる……だッ!」


俺はジッポの蓋をパチンと閉めると同時に、影 of 底に眠る最悪の極大火力をリブート(起動)した。


「――焼き尽くせ、【騰蛇トウダ:火生三昧】!! 全員まとめてぶっぱだわァッ!!!」


俺の咆哮と共に、結界の外側の全エリアへ、すべてを分子レベルで物理デリートする黒紫の炎がドカンと解き放たれた。相坂トンネルの前が、一瞬にして地獄のプログラミングコード(火の海)へと反転していく――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ