表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やりたかないのに陰陽師四  作者: 辻本 真悟
第四章:ダークウェブ・一つの裏と下剋上のプロトコル
PR
18/37

第十八話:ホワイトアウト・ログ・未完のポリグラフ

地下空洞の崩落ノイズを背に、俺たちはぐったりとした二人の女性(雅の親友とその友達)を抱え、薄暗い『腹切丸』のバックドアから、一般観光客の行き交う地上メイン・ルートへと滑り込んだ。


「……あ、晴明! 博雅! こっちや!」


 天守閣への順路の途中で、表側の地脈を引っかき回して時間を稼いでくれていた親父と、不安げな表情の雅さんが俺たちの姿をスキャン(発見)して駆け寄ってきた。


「……嘘、二人とも生きてる……っ! 良かった……本当に良かった……!」


 雅さんは涙を流して崩れ落ち、無事に意識を取り戻し始めた親友の体をきゅっと抱きしめた。その瞬間、彼女たちの命のステータスログが完全に正常値へと書き換わるのを、俺と道満は網膜の隅で確認して、ようやく安堵のパケットを吐き出した。


 だが、安息の時間は一瞬でシャットダウンされる。


「……親父。タイムアタックは成功したけど、地下の通路に……四人のうちの二人目の男の遺体があったわ。ホテルの一人目と一ビットの狂いもない、同じ自殺の偽装ログや」


 俺の報告に、泰臣はそれまでのデレデレした表情を消し、いつもの「掃除屋」の冷徹な目に戻って短く顎を引いた。


「……そうか。分かった。博雅、今すぐ警察へ緊急コールしろ。地下の『非公開エリア』に二人目の男の遺体があるとな」


 博雅が「……分かった」と、硬い表情でスマートフォンを操作し、警察の通信プロトコルへと接続を始める。


 その直後、遠くの『お菊井戸』のセクターから、かすかな氣の残響が届いた。

 井戸の縁で、相変わらずケラケラと笑いながら、だけどどこか誇らしげに俺たちを見つめている大物幽霊――お菊さんの姿が、俺の全スキャンに引っかかる。


(……ホンマサンキューな、お菊さん。またね――)


 俺は心の中でそうクエリを投げ、軽く手を振ってレジェンドとの接続を一時的にログアウト(切断)した。


 一時間後、白鷺城の周辺は再びパトランプの赤色灯で塗りつぶされ、俺たち一行は警察車両へと詰め込まれた。


「……はぁ。やりたかないねー、ホンマに。夜まで事情聴取の無限ループ確定かよ。俺のライフログ、完全にエラー吐いとるわ」


 警察署の取調室へと強制ログインさせられる直前、俺はポケットの中で五芒星のジッポを弄りながら、深くため息をついた。地下の祭壇は叩き潰した。しかし、ホテルの一人目と、この城の二人目……。この最悪な自殺偽装のパッチを当てた犯人の正体は、いまだに分厚い霧の奥に隠蔽エンコードされたままだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ