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やりたかないのに陰陽師四  作者: 辻本 真悟
第三章:白鷺城ハッキングと十二天将タスクキル
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第十七話:クライマックス・クラッシュ・暴走する神域

「――リブート(起動)!!」


 俺の「無色の氣」と道満の呪術コードが、一ビットの狂いもなく、完全に重なって爆ぜた。

 二つの檻の結界に、まばゆい復元パッチが同時にオーバーレイ(上書き)されていく。


 ――ガガガ、ピキィィィンッ!!!


 【一縷終焉いちるしゅうえん】の確定トリガーが引かれる寸前、雅さんの親友とその友達の女の子の魂のリソースが、強制的に彼女たちの肉体へと引きずり戻される。

 二人の女性のログが「生存」として完全同期ロックされた瞬間、進行度バーが激しくバグを起こして消滅した。


「……ハァ、ハァ……! やった、二人ともログの回収に成功したで、晴明!」


 道満が肩で息をしながら、ぐったりとした二人の女性の体を抱きとめる。

 だが、ハッキングを完遂寸前で弾かれた『地脈の祭壇』が、真っ黒なノイズの炎を噴き上げ、狂ったように暴走オーバーヒートを始めた。敵の術者が、このセクターごと俺たちを物理デリートするための「自爆装置セルフデストラクト」を起動しやがったんだ。


「晴明、道満! ここは俺の矢が――」


「いや、博雅、お前は道満と一緒にその二人を抱えて下がれ! ……やりたかないねー、ホンマによー。俺の全リソース、一気に解放してやるわッ!」


 俺は一歩前に踏み出し、愛用のジッポを弄る暇すらなく、両手で一瞬にして三つの印を連続で結び、脳内の演算回路を限界までクロックアップさせた。


「――【六合リクゴウ:金剛結界】!!」


 俺の「無色の氣」が空間の四方へと走り、脈動する祭壇の周囲に強固な立方体の防御壁をレンダリング。暴走するノイズの爆発エネルギーを、一パケットたりとも外へ漏らさぬよう完全隔離クアランティンする。しかし、自爆の圧力に六合の結界がみしりと軋んだ。すかさず二つ目のコードを走らせる。


「――繋がれ、【天空テンクウ:座標反転】!!」


 六合の結界に、天空の空間制御パッチがオーバーレイされた。結界の内部だけが空間ごと切り取られ、現実の白鷺城ドメインから、誰も干渉できない『別の次元(隔離アーカイブ)』へと強制移動を始める。

 これでどれだけ爆発しようが城への被害はゼロだ。だが、完全にバグを消し去るために、俺は最後のトリガーを引いた。


「――目覚めろ、【騰蛇トウダ火生三昧かしょうざんまい】。残らず、塵に還らんかい!!」


 別次元へ転送される結界の檻の奥。俺の影から解き放たれた凶禍の十二天将・騰蛇が、すべてを消滅させる黒紫の極大火炎となって顕現した。

 

 ――ズガァァァァァァンッ!!!!


 別次元の彼方で、騰蛇の炎が自爆寸前の祭壇ごと、敵の残した邪悪なハッキングコードを分子レベルで完全に焼き尽くした。

 地下空洞に響き渡ったのは、システムが完全に消去デリートされたことを示す、静かな残響の音だけだった。


「……ふぅ。タスクキル、完了だわ」


 俺はそこで、ポケットから五芒星のジッポを抜き出し、カチャリと軽い金属音を響かせた。

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