第7話:「若い刃」
自警団の巡回に同行する。
兵は少し距離を取っている。
若者の中心にいるのは、声の通る男だ。
名はアデル。
目に迷いがない。
「困ってるなら言え。俺たちは味方だ」
商人が頭を下げる。
アデルは誇らしげだ。
俺は見ている。
路地で揉め事が起きる。
酔った男が壁に拳を打ちつけている。
「帝国は何も変わらねぇ!」
自警団の若者が囲む。
「落ち着け」
アデルが前に出る。
「話を聞く」
酔漢は叫ぶ。
「聞くだけか! 何も変わらねぇ!」
拳が振られる。
若者が腕を掴む。
強い。
酔漢が膝をつく。
「やめろ」
俺が言う。
アデルが振り向く。
「暴れるなら拘束だ」
正論だ。
「拘束の基準は」
アデルが言葉を詰まらせる。
「暴力だ」
「今は?」
沈黙。
酔漢は泣いている。
若者たちの顔は真剣だ。
守ろうとしている。
守りたいものがある。
アデルが手を離す。
「今回は見逃す。次はない」
酔漢は去る。
若者の一人が言う。
「甘くないか」
別の者が言う。
「甘いのは民だ」
言葉が硬い。
アデルが俺を見る。
「正しかったか」
俺は答えない。
「どう思う」
少しだけ考える。
「折れなかったな」
アデルは笑う。
「当然だ」
当然。
若い刃は、自分が刃だと知らない。
巡回は続く。
背中が真っ直ぐだ。
強い。
強すぎる。
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