第6話:「形になるもの」
自警団の設立式は、簡素だった。
旗もなければ、歓声もない。
第1王子が立つ。
「秩序を守る」
短い。
第2王子が続く。
「市民が市民を支える」
これも短い。
拍手は、まばらだ。
俺は列の後方にいる。
若者たちの顔を見る。
誇らしげだ。
責任の重さは、まだ知らない。
帝国魔術師が前に出る。
エリシア・ヴァルクレイン。
「監視網は敷きます。
報告は王城へ直接」
ざわめき。
若者の一人が言う。
「信用してないのか」
彼女は即答する。
「信用と監視は別です」
空気が冷える。
第2王子が口を挟む。
「自警団は帝国の一部だ」
第1王子。
「帝国は責任を負う」
若者は黙る。
形ができる。
制度になる。
熱は、枠に入れられる。
式が終わる。
カイルが言う。
「うまくいくといいな」
俺は若者たちを見る。
誇りは強い。
強すぎる。
エリシアが近づいてくる。
「あなたはどう見る」
「動けば摩擦は出る」
「抑えられますか」
「抑える」
短い。
彼女は言う。
「抑え続けるのは消耗します」
それは事実だ。
「だが、抑えなければ壊れる」
彼女は一瞬だけ黙る。
「壊れない形にするのが制度です」
合理的だ。
俺は答えない。
形になったものは、強い。
同時に、硬い。
硬いものは、折れる。
帝都の空は、まだ曇っている。
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