アリアちゃんとナインのチトセ。
結局時間切れ。
あたしたちはあきさんに会えないまま、教室に戻った。
放課後にもう一度とかも思ったけど、残念。今日はあたしお仕事入ってて。
まりあちゃんだけでも行く? あきさんに会いに?
そう思ったけど、
「あたしあきさん知らないし」
と、言われてしまい。
「うーん、行ってあげようか? 話だけでも聞いてきてあげる」
泣き出しそうなあたしの顔をみて、まりあちゃんそう言ってくれた。
ありがとう! まりあちゃん。大好きだよ!
という事で放課後は久々一人で帰ることになった。令もあきさんに興味があるらしく、まりあちゃんと一緒に行ったし。
今日は久々谷崎さんのカメラ。
水着の撮影をまりあちゃんに代理頼んで以来だから、ちょっと気が引ける。
あの時のことどうやって言い訳しようかな。
今日の衣装に水着があれば着てもいいんだけどな。ってもうシーズン終わるよね。とか。
色々考えつつ歩いてた。
と。
角を曲がって裏路地に入った所で、ぐねん、と、空間が歪んだ。
狭間の世界……。
ナイン、いるの?
(もう慣れた? この空間にも)
会いたかった。ナイン。姿を見せて。
すうっと目の前に現れる黒猫。あれ? 前のナインと違う?
(ああ。この姿は借り物だからね。あんまり同じ猫だとその猫の精神に問題がでるからね。また別の猫に入り込んでるだけなのさ)
って、ナイン。聞いたよ、麻里子さんに。
(ああ、また余計なことを。口止めしておくんだった)
中子さん? っていうかちとせさん? なんでしょう、ナイン。
(ああ、そうだよ。ボクは須玖千歳すぐちとせ、君とは同い年になるかな。天城博士の助手をやってる)
異世界の事も聞いたの。脅威に対応するための研究をしてるって。
エンジェルレイヤーに、脅威に対抗するために、あたし選ばれたってことなの?
(はは、ばかじゃないの? 選ばれたとか、そんなの。君はただの道具だよ。ぼくのためのね)
え?
(全部嘘だよ。憎かったのさ、君が)
どうして? あたしたち会った事も無かったよね……?
(ん? ボクだって君に会ったのは夢の中だけだよ。でも、それで充分だった。君に嫉妬した。君になりたかった。なんでボクは君じゃ無いんだろう。それが悔しくて忘れられなかった)
(君の身体にはボクの身体をレイヤー乗算してある。その身体、ボクのなんだよ。いい加減返してもらわなけりゃ)
え? なにそれ。
(物分かりが悪いな。君が今女でいられるのはボクの身体だからだよ。だからボクが分離すれば君は元の君に戻るのさ)
(嫌かい? なら、その身体ごとボクのものになりな。ボクなら君より上手くその身体を使ってあげるよ。)
身体中が震えてる。言葉も出ない。泣き出したいけど、それも出来ず。あたしは金縛りにでもあったかの様にその場で佇んでいた。




