仮面レイヤーゼロ
あたしは令の左横に立ち、ステッキを握りしめた。
負けない。負けない。負けない!
夢奴達は徐々に間合いを詰めながらムチを飛ばしてくる。
令がそれを叩き落とす。左から飛んでくるムチだけ、あたしのステッキでなんとか払う。
「大丈夫? ありあちゃん」
「うん。がんばる」
どうやって戦うんだっけ、とか、考えてる暇は無かった。
ただただ身体が自然に動く。
ムチを躱したり叩き落としたりしながらステッキに力を溜めて放つ。
左の夢奴が消滅した。
「やった!」
うん。出来た。これ、ナインのおかげ?
あたしが寝てる間に訓練してくれたっていう。
残り二体の夢奴は令がやっつけた。手から伸ばした大きな爪で切り裂いて。
「ふう」
「なんとかやっつけた、ね……」
なんとか異変はおさまったみたい。夢奴は消滅し、なんだかよくわからない黒いモヤモヤも消え去った。
ぶーん
と、令の姿が元に戻る。かわいいワンピースのままだ。
あたしも戻る。
令がずっとあたしの目を見てる。
「ここは狭間の世界じゃないのに、なんで夢奴が……」
あたしのそのつぶやきに。
「世界に穴が空いてるみたいだね」
と、令。
穴があいてる? って、どういう事?
「うん、どこから話そっか。っていうかまず、自分達のことから話さない? わたしもありあちゃんが魔法少女に変身するなんて思っても見なかったし」
「あ、うん。ごめんね。でも、ありがとう。れいちゃんが守ってくれようとしてくれたから。あたしもがんばろうって思ったの」
勇気、出せたんだ。ほんと。
「まず、わたしのさっきのは、仮面レイヤー令。わたしの前世で研究してた魔法レイヤー技術をこの世界に転生してから完成させた、試作品。幸いこの世界には魔法結晶が豊富にあったから研究も捗ったんだけどね」
え? え? 転生したってほんとだったの?
「この世界ってわたしが居た世界より、魔法の親和性が高いみたいなんだよね。特にあの山。あそこは凄いよ。魔法の特異点になってる」
令の指差す山、は。
セントイプシロン女学院のあった山。
聖磨岳。
そっか。
「それより、ありあちゃん、君、ひょっとして混じってる?」
え?




