姉ちゃんはアイ$
ついてない日は小学生にだってある。
その日は朝から雨が振っていて、友人との予定がだめになった。
しかもスマホはタマ吉が「貸してくれへん?ネコミちゃんの写真撮りたいねん」「誰それ?」「プレイキャットや」と頼まれたので致し方なく貸すことになった。
なんでも猫界隈にも男性向け雑誌はあるらしく、今日はそのファン感謝祭なのだそうだ。
男の子としてその気持ちが理解できる僕は、快くスマホを貸し出し、普段ならそんなに家にいない日曜の昼、家でテレビを見ることになったわけである。
まぁそこまでなら、大した不幸ではない。
問題は――
『こんにちわー!ワタシ、ウチュウからキマシタ。神人アイドル、ルッカちゃんデス!!!』
姉ちゃんがわざとらしいカタコト日本語で、テレビを出ていたことである。
思わず僕はテレビを、最近覚えた『スーパー前世パワー』で粉砕しようとして、思いとどまった。
金髪碧眼の美少女は、確かに姉ちゃんに似ているが、まだ確定しているわけじゃない。
世界には3人自分とそっくりな人間が⋯⋯
『ミテますか!タマルクン!オネエチャンアイドルなりました!』
「やっぱ姉ちゃんじゃん!何してるの!もう恥ずかしくて学校いけないじゃん!お前の姉ちゃんうちゅうにだってな、プププーーーーーと、へへ、今度会わせろよ〜。とか面倒くさいイベントしかないじゃん!」
僕は思わず叫んでいた。
姉ちゃんの奇行は今に始まったことじゃないけど、にしても今回は規模が大きすぎる。
全国規模で身内(嘘)の恥が晒されるのだ。
「母さん!身内の恥が恥さらしてるんだ!」
居てもたってもいられなくなった僕は、すぐさま母ちゃんに助けを求めた。
純粋戦闘力なら僕でもどうにかできるが、今回はきっとほかの人も巻き込んでる。
(だったら母さんパワーで止めてもらうしかない!)
そう考えたのだが⋯⋯
「いつにもまして可愛いわね〜。遺伝子がいいいのね、ワタシの遺伝子が。ようやくワタシの努力が実を結んだわー」
見事な洋梨体型にハッピを着込んだ、どう考えても平凡な遺伝子をしていらっしゃる母さんが、いや一人のアイドルオタクがいた。
「黒幕は母さんなのかよーーーー!!!」
僕は思わず、母さんにドロップキックを食らわせていた。




