↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元魔王軍の武器庫番、レンタル武器屋を開業する。  作者: 河津田 眞紀@受賞2作発売中!
第6話

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
38/51

パーティの結成



 以前ナジュムダケの採取をしていた時に会った迷子の剣士と、先日アグリオ樹海で挨拶をした魔導士ミレイユ。

 その二人が今、フリムの目の前に現れ、ゴーレムを鮮やかに倒したのだ。


 ミレイユはゴーレムが残した『魔劫(まごう)結晶』を拾い、フリムに目を向ける。


「ゴーレムに襲われている人がいると思ったら、あなたたちだったの」

「助けていただきありがとうございます! すみません、お手間を取らせてしまって」

「別にいいけど……何故こんなところに?」

「じ、実は……」


 フリムは、この森に来た経緯を彼女に話した。


 リューマに借りていたバトルアックスを、人語を操るモンスター・ゲオルグに奪われたこと。

 ゲオルグは〝鍵〟と呼ばれる特別な武器を求めていて、それを探しにラトゥリアの街まで来たこと。

 バットゴブリンの群れに街を襲撃させ、「三日後までに魔王城へ〝鍵〟を持ってこい」と要求したこと。

 その〝鍵〟を、リューマが持っていること。

 ゲオルグから街を護るため、二人で魔王城へ向かっていること──


 一部始終を聞き終えたミレイユは、深刻な面持ちで俯いた。


「そう……まさか街でそんなことが起きていたなんて。最近調査していた『武器ばかりを狙うモンスター』の件も、そのゲオルグという半魔族の仕業だったようね」


 それから、ミレイユはジトッとリューマを睨み付け、


「あなた、どうして魔王城の武器なんか持っているの? あそこは元魔王軍幹部クラスのモンスターがウヨウヨしているから、二百年前に大魔導士リシアが結界を張って封印したのよ? そんな場所から、一体どうやって盗み出したっていうの?」


 しかしリューマは、くいくいっと指を動かし、


「知りたいなら情報料。前にも言ったよな?」

「はぁ……まぁいいわ。直接行って確かめるから」

「え、ミレイユさんも来てくれるんですか?」


 フリムが尋ねると、ミレイユは頷き、


「元々、私たちも魔王城の方を目指していたの。私のお目当ては、ゴーレムの核(コア)から獲れる『魔劫(まごう)結晶』。そして、こっちの彼は……」

「『ユーリス』だ! 僕も魔王城を目指している!」


 白い歯をキラッと輝かせながら、爽やかに笑うユーリス。

 このハキハキした喋り方……リューマとはまるで正反対だと思いながら、フリムは言う。


「ユーリスさん、無事にタシナの森へ辿り着けたんですね。あらためまして、傭兵のフリムといいます。先日はゴブリンに囲まれたところを助けていただき、ありがとうございました」

「はっはっは! なに、勇者として当然のことをしたまでだ!」

「ところで、ユーリスさんは何故、魔王城を目指しているのですか? ミレイユさんとはどのようなご関係で?」


 すると、ユーリスは堂々と胸を張り、


「僕が求めるものはただ一つ! 〈勇者〉ルドヴィグが残した〝聖剣〟だ!」

「聖剣?」

「魔王を斬り、永久に葬ったと云われる伝説の剣……しかしルドヴィクは、それを故郷に持ち帰らなかったらしい。つまり、今もまだ魔王城に残されているということ!」

「はぁ……」

「僕は現代の勇者として、それを手に入れたい! だからこうして、この森にやってきたというわけだ!」

「厳密には、アグリオ樹海で迷子になっていたから私が連れてきてあげたの。彼、勇者かぶれの変人だけれど、先ほどの通り剣の腕だけは一流だから。ゴーレム狩りを手伝ってもらっていたのよ」


 ミレイユの補足を聞き、フリムは納得する。

 どうやらたまたま目的地が一致したため、一時的な協力関係を結んでいるようだ。


「でも、さっきミレイユさんが言ったように、魔王城は封印されているんですよね? 行ったところで〝聖剣〟は手に入らないんじゃ……?」

「それは行ってみなければわからないだろう!」

「えぇ?」

「僕は自分の目で見たものしか信じない! それこそが勇者らしい生き方だ!」

「彼に何を言っても無駄よ、ずっとこの調子なんだから。まぁ、私もまだまだゴーレムを狩りたいし、大魔導士リシアが施した結界がどのようなものなのか見てみたい。何より……そのゲオルグって半魔族のことが気になるわ」


 そこまで言うと、ミレイユは顔に影を落とし、


「ふふ……知能を取り戻したモンスターなんて、希少中の希少っ……! どんな素材をドロップするのかしら……爪? 牙? 個人的には脳幹とか脊椎とかが残ってくれると嬉しいのだけれど……‼︎」

「あの……ミレイユさん?」


 フリムに心配され、はっと我に返るミレイユ。

 そして、「んんっ」と咳払いをし、


「とにかく、私たちも同行させてもらうわ。二人より四人の方が何かと安心でしょ?」

「僕もそうさせてもらいたい! 人数が多い方が勇者パーティっぽくて良いからな!」


 ということらしい。

 フリムとしては大賛成だった。

 二人の実力は確かだし、仮にゲオルグに奇襲をかけられたとしても頼りになる。


 リューマさんも、それでいいですか?


 そんな視線を送ると、彼は面倒臭そうに肩をすくめ、


「もとは俺一人で行くつもりだったが……仕方がない。どうしても同行したいってんなら、一つ条件がある」

「条件……?」

「何だろうか?」


 首を傾げるミレイユとユーリスの前に、リューマは……サッと契約書を突き出し、


「この先は危険だ。俺の貸し出す武器を持っていけ。さぁ、ここにサインを……」

「って、私はもう長杖(スタッフ)を借りているから!」

「ほう、ここに名前を書けばいいのだな?」

「ユーリスさん、騙されちゃダメです!」


 急遽結成された曲者(くせもの)揃いの臨時パーティに、フリムは早くも不安を覚えるのだった……



 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。