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『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


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第9話「転校生の告白」

七夕祭りから数日後。

青葉学園は再びいつもの日常に戻っていた。

しかし悠斗の心は落ち着かなかった。

昨日の夜に届いた玲奈からのメッセージ。

『明日、放課後少し時間ある?』

その意味を考えてしまう。

ただの相談かもしれない。

用事があるだけかもしれない。

だが、どこか予感がしていた。

放課後。

チャイムが鳴る。

教室では帰り支度をする生徒たちの声が響いていた。

「藤崎くん」

玲奈が席へやってくる。

「今から大丈夫?」

「うん」

悠斗は頷いた。

「どこ行くんだ?」

「少し静かな場所」

玲奈はそう言って歩き出す。

二人は校舎を出た。

その姿を偶然見ていた人物がいた。

四葉だった。

「あ……」

胸がざわつく。

そして少し離れた場所には美咲もいた。

二人とも何となく気付いてしまう。

今日、何かが起こることを。

玲奈が連れて行った場所は学校裏の小さな公園だった。

放課後になるとほとんど人が来ない。

ブランコが風で揺れている。

「ここなら静かだから」

玲奈は立ち止まった。

そして空を見上げる。

しばらく沈黙。

悠斗は黙って待った。

やがて玲奈が口を開く。

「私ね」

その声はいつもより少しだけ弱かった。

「最初は転校なんて嫌だった」

以前聞いた話。

東京に友達がいたこと。

引っ越したくなかったこと。

「でも」

玲奈は微笑む。

「この学校に来て良かった」

その瞳が悠斗を見つめる。

真っ直ぐに。

逃げ場がないくらいに。

「藤崎くんと出会えたから」

悠斗の鼓動が大きくなる。

玲奈は深呼吸した。

そして。

「好きです」

風が吹く。

夏の匂いがした。

「私と付き合ってください」

はっきりとした告白だった。

悠斗は言葉を失った。

美咲に続いて二人目。

そして今度は玲奈。

玲奈は答えを急がなかった。

ただ静かに待っていた。

「すぐに返事しなくていい」

少し笑う。

「藤崎くん、今すごく困ってる顔してる」

「そんなに分かりやすいか?」

「うん」

玲奈は頷いた。

「だから待つ」

そう言った。

「でも後悔はしたくなかったから」

気持ちを伝えたかった。

それだけだった。

帰り道。

悠斗は一人だった。

空は夕焼け色に染まっている。

頭の中が整理できない。

美咲。

玲奈。

そして四葉。

三人とも大切な存在だった。

だが恋愛として誰を好きなのか。

まだ答えは見えない。

「難しいな……」

人生でこんな悩みを抱える日が来るとは思わなかった。

翌日。

教室。

玲奈は普段通りだった。

告白したとは思えないほど自然に。

「おはよう」

「おはよう」

いつもと同じ。

だからこそ悠斗も少し救われた。

だが。

「昨日何してたの?」

美咲が聞く。

「え?」

「玲奈さんと一緒だったよね?」

鋭い。

悠斗は少し困った。

嘘はつきたくない。

しかし玲奈の気持ちを勝手に話すわけにもいかない。

「ちょっと話してただけ」

「ふーん」

美咲はそれ以上聞かなかった。

だが何かを察しているようだった。

昼休み。

屋上。

四葉はフェンスの向こうの空を見ていた。

今日は一人だった。

気持ちが落ち着かない。

そんな時。

扉が開く。

「白石さん」

玲奈だった。

四葉は少し驚く。

玲奈は隣へ来た。

そして。

「昨日、告白した」

四葉の心臓が止まりそうになった。

予想していた。

でも実際に聞くと苦しい。

「そう……なんだ」

声が震える。

玲奈は静かに頷く。

「返事はまだ」

「……」

「でも伝えたかった」

四葉は俯く。

悔しい。

怖い。

泣きそうになる。

だけど。

逃げたくなかった。

「私も」

玲奈が顔を上げる。

「私も悠斗くんが好き」

初めて言葉にした。

誰かに向かって。

はっきりと。

玲奈は少し驚いた後、微笑んだ。

「知ってた」

「え?」

「見てれば分かる」

四葉は顔を赤くする。

玲奈は続ける。

「だから正々堂々勝負しよう」

その言葉に四葉は小さく頷いた。

「うん」

その日の放課後。

美咲は彩花と帰っていた。

「言わなくていいの?」

彩花が聞く。

「何を?」

「藤崎くんのこと」

美咲は苦笑する。

「もう言ったよ」

「そうじゃなくて」

彩花は真剣だった。

「もっとちゃんと向き合わないと後悔するよ」

美咲は空を見る。

夕焼け。

胸が少し痛む。

「分かってる」

分かっているのだ。

今のままではいけないことを。

数日後。

一年二組では夏休み前の実力テストが近付いていた。

教室は勉強モード。

「やばい」

美咲が机に突っ伏す。

「数学終わった」

「始まってもいないだろ」

悠斗が呆れる。

すると。

「じゃあ勉強会しない?」

四葉が言った。

「勉強会?」

「うん」

玲奈も頷く。

「それいいかも」

結局。

土曜日に四人で勉強会をすることになった。

だが誰も知らない。

その勉強会が。

四人の関係をさらに大きく変えることになることを。

そして悠斗自身も。

少しずつ気付き始めていた。

誰といる時が一番自然に笑えるのか。

誰の笑顔を見ると安心するのか。

その答えに――。

第9話 完

次回予告

第10話「四人の勉強会」

夏休み前の勉強会開催! 悠斗の家に集まった四人だったが、料理対決やハプニングが続出。さらに帰り際、四葉と悠斗が二人きりになる出来事が――。

青春と恋が少しずつ動き出す第10話へ続く。

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