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『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


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10/17

第10話「四人の勉強会」

土曜日の朝。

空は青く晴れ渡り、夏の気配が少しずつ強くなっていた。

今日は実力テスト対策の勉強会の日。

場所は――

藤崎悠斗の家。

午前九時。

インターホンが鳴った。

ピンポーン。

「はいはい」

悠斗が玄関を開ける。

そこに立っていたのは――

四葉だった。

白いワンピースに薄いカーディガン。

学校とは少し違う雰囲気。

「お、おはよう」

「おはよう」

悠斗は少し見惚れた。

「似合ってるな」

「えっ!?」

四葉の顔が一瞬で赤くなる。

「ほ、本当に?」

「うん」

自然な感想だった。

しかし四葉にとっては大事件だった。

(似合ってるって言われた……)

心臓がうるさい。

すると。

ピンポーン!

再びチャイム。

玄関を開けると。

「おはよー!」

美咲だった。

元気いっぱいである。

「朝からテンション高いな」

「当然!」

なぜか胸を張る。

その後ろには玲奈もいた。

「お邪魔します」

「どうぞ」

こうして四人の勉強会が始まった。

午前中。

最初は真面目だった。

本当に真面目だった。

「この問題分かる?」

「ここは公式使うんだよ」

「なるほど」

勉強会らしい光景。

しかし。

開始一時間後。

「もう無理!」

美咲が机に倒れた。

「早い」

玲奈が呆れる。

「数学なんて人類の敵だよ」

「数学に謝れ」

悠斗が即座に突っ込む。

四葉は笑っていた。

最近こういう時間が増えた。

みんなで笑う時間。

それがとても幸せだった。

昼前。

「お腹空いた」

美咲が呟く。

すると。

「お昼どうする?」

悠斗が聞いた。

「作ろう!」

四葉が言う。

「料理?」

「うん」

玲奈も乗り気だった。

「面白そう」

結果。

四人で昼食を作ることになった。

キッチン。

四葉は手際が良かった。

包丁さばきも慣れている。

「すごい」

悠斗が感心する。

「よく家で作るから」

四葉は笑う。

一方。

美咲。

「うりゃ!」

「危ない!」

悠斗が慌てる。

包丁の持ち方から危険だった。

「私だってできるもん!」

「説得力がない」

玲奈は笑いを堪えていた。

そして。

三十分後。

完成。

オムライス。

サラダ。

スープ。

見た目も綺麗だった。

「いただきます!」

四人で手を合わせる。

一口。

「美味しい!」

美咲が叫ぶ。

「四葉ちゃん天才!」

「そこまでじゃないよ」

照れる四葉。

しかし本当に美味しかった。

悠斗も自然に笑う。

「店出せる」

「それは言い過ぎ」

でも嬉しそうだった。

午後。

再び勉強。

今度は英語。

「ここ分からない」

悠斗が問題集を見る。

すると。

「貸して」

玲奈が覗き込む。

距離が近い。

近すぎる。

「ここはこう」

玲奈が説明する。

髪からシャンプーの香りがした。

「なるほど」

「理解早いね」

二人が話している様子を見ていた四葉。

胸が少し痛む。

玲奈は魅力的だ。

頭も良い。

綺麗。

自分より大人っぽい。

比べてしまう。

そして落ち込む。

その時だった。

「四葉ちゃん」

美咲が小声で呼ぶ。

「え?」

「ちょっと来て」

二人は廊下へ出た。

「どうしたの?」

四葉が聞く。

美咲は笑う。

「顔」

「え?」

「すぐ分かるよ」

四葉は俯いた。

「そんなに?」

「うん」

美咲は壁にもたれる。

そして言った。

「私も同じだから」

四葉は驚く。

「美咲ちゃん……」

「不安になるよね」

その声は優しかった。

ライバル。

本来ならそうなのかもしれない。

でも。

二人は友達でもあった。

「でもさ」

美咲が笑う。

「好きなら頑張ろうよ」

四葉は目を見開く。

「後悔したくないし」

「うん」

四葉も微笑んだ。

少しだけ勇気が出た。

夕方。

勉強会終了。

玲奈と美咲は先に帰ることになった。

「またねー!」

「テスト頑張ろう」

二人が去っていく。

すると。

「……」

気付けば。

悠斗と四葉だけになっていた。

静かだった。

少し気まずい。

「今日はありがとう」

悠斗が言う。

「こちらこそ」

四葉が笑う。

夕日が差し込む。

オレンジ色の光。

「送っていくよ」

「え?」

「もう暗くなるし」

四葉は少し嬉しくなった。

「うん」

帰り道。

住宅街。

夕焼け空。

二人で並んで歩く。

「今日は楽しかった」

四葉が言う。

「俺も」

「またみんなで勉強したいな」

「そうだな」

穏やかな時間。

しかし。

公園の前を通った時。

四葉が立ち止まった。

「あっ」

芝生の中。

小さな緑。

しゃがみ込む。

「見つけた」

そこには。

四葉のクローバー。

「また見つけたのか」

「うん」

四葉は大切そうに摘み取る。

そして。

少し迷った後。

悠斗へ差し出した。

「これ」

「え?」

「悠斗くんにあげる」

夕日が四葉を照らしていた。

その笑顔は優しかった。

そして少しだけ切なかった。

「私ね」

小さな声。

「悠斗くんが笑ってると嬉しい」

悠斗は息を呑む。

胸が高鳴る。

今まで感じたことのない感覚。

四葉は慌てて笑った。

「へ、変な意味じゃないよ!」

「……」

悠斗は答えられなかった。

ただ。

その瞬間だけははっきり分かった。

四葉の笑顔を見ていると。

心が温かくなる。

安心する。

もっと一緒にいたいと思う。

その気持ちは確かだった。

帰宅後。

悠斗は机の上を見る。

今日もらった四葉のクローバー。

しおりの隣に置く。

そして思い出す。

四葉の笑顔。

美咲の言葉。

玲奈の告白。

少しずつ見え始めていた。

自分の本当の気持ちが。

だが。

まだ答えを出すには早い。

夏休みまではあと少し。

そしてその夏が。

四人の関係を大きく変えていくことになる。

第10話 完

次回予告

第11話「夏祭りの約束」

夏休み目前。 青葉学園の生徒たちは地元の夏祭りへ行く計画を立てる。

浴衣姿の四葉。 積極的になる玲奈。 そして美咲の決意。

夏の夜、花火の下で新たな恋が動き出す――。

第11話へ続く。

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