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『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


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第5話「体育祭の約束」

校外学習から二週間。

青葉学園は体育祭ムード一色になっていた。

校庭では毎日応援練習が行われ、生徒たちの声が響き渡る。

一年二組も例外ではなかった。

「次はクラス対抗リレーの選手決めるぞー!」

体育委員の声が響く。

教室はざわついた。

「悠斗速そうじゃん」

男子の一人が言う。

「そうか?」

「中学の時サッカーやってたんだろ?」

「まあ」

結局、悠斗はリレー選手に選ばれた。

すると。

「私も出る!」

美咲が手を挙げた。

運動神経抜群の彼女も当然のように選出される。

「四葉ちゃんは?」

彩花が聞く。

四葉は慌てて首を振った。

「わ、私は応援で……」

運動はあまり得意ではないらしい。

「じゃあ応援団やろうよ!」

美咲が言う。

「え?」

「絶対似合う!」

「む、無理だよ!」

顔を真っ赤にする四葉。

その様子に教室中が笑った。

昼休み。

いつもの屋上。

「体育祭か」

悠斗がフェンス越しに校庭を見る。

四葉は隣に座っていた。

「悠斗くん、リレー頑張ってね」

「ありがとう」

「応援するから」

その言葉だけで少しやる気が出る。

すると四葉が小さな袋を取り出した。

「これ」

「ん?」

中には小さなしおりが入っていた。

透明なラミネート加工がされている。

その中には――

四葉のクローバー。

「手作り?」

「うん」

四葉は少し恥ずかしそうに笑う。

「お守り」

悠斗は驚いた。

「俺に?」

「嫌だった?」

「いや」

むしろ嬉しい。

とても。

「ありがとう」

四葉は安心したように微笑んだ。

その日の放課後。

美咲は偶然その場面を見てしまった。

屋上の階段から。

四葉がお守りを渡しているところを。

「……」

胸がぎゅっと痛んだ。

嫌な気持ちじゃない。

四葉のことは好きだ。

優しいし可愛いし良い子だと思う。

それでも。

「ずるいなぁ……」

ぽつりと呟いた。

自分でも驚くほど寂しそうな声だった。

体育祭前日。

放課後。

校庭では最後の練習が行われていた。

「よし!」

悠斗がスタートダッシュを決める。

かなり速い。

「すごい!」

四葉が拍手する。

すると美咲が隣へ来た。

「負けないからね」

「何が?」

「リレー」

「同じチームだろ」

「気持ちの問題!」

意味はよく分からなかった。

しかし美咲は笑っていた。

いつもの元気な笑顔。

だけどどこか無理をしているようにも見えた。

そして――

体育祭当日。

快晴。

絶好の体育祭日和だった。

グラウンドには大勢の保護者や生徒が集まっている。

開会式が終わり競技開始。

一年二組は順調だった。

綱引き。

玉入れ。

障害物競走。

どれも好成績。

そして午後。

最大の見せ場。

クラス対抗リレー。

「いよいよだな」

悠斗はスタート位置へ向かう。

緊張する。

その時だった。

「悠斗くん!」

四葉が駆け寄ってきた。

「頑張って!」

満面の笑顔。

そして。

「お守りの効果あるから!」

胸ポケットには四葉のクローバーのしおり。

自然と笑みがこぼれる。

「優勝してくる」

「うん!」

位置につく。

スタートの合図。

パンッ!

一斉に走り出す。

バトンが繋がれる。

そして最終走者。

悠斗。

現在二位。

前との差は数メートル。

「行けぇぇぇ!」

クラスメイトたちの声。

悠斗は全力で走る。

風を切る。

足が重い。

それでも前を見る。

ゴールだけを見る。

残り五十メートル。

四十。

三十。

追いつく。

そして――

ゴール直前。

抜いた。

「うおおおお!!」

歓声が響く。

一年二組優勝。

レース終了後。

悠斗は芝生に倒れ込んだ。

息が苦しい。

足も動かない。

すると。

「おめでとう!」

四葉が飛び込むように駆け寄ってきた。

「ありがとう」

「すごかった!」

本当に嬉しそうだった。

まるで自分のことのように。

その姿を見ていると疲れも吹き飛ぶ。

だがその時。

「悠斗」

後ろから美咲が呼ぶ。

振り返る。

そこには少しだけ真剣な表情の美咲がいた。

「放課後、少し話したい」

「え?」

「大事な話」

そう言って去っていく。

四葉も少し不安そうな顔をしていた。

体育祭終了後。

夕暮れの校庭。

オレンジ色に染まるグラウンド。

悠斗は約束の場所へ向かう。

そこには美咲が待っていた。

静かな風が吹く。

「話って?」

悠斗が聞く。

美咲はしばらく黙っていた。

そしてゆっくり顔を上げる。

「私ね――」

その瞳は今まで見たことがないほど真剣だった。

二人の幼なじみの関係を変える言葉が、今まさに口にされようとしていた。

第5話 完

※次回、第6話「幼なじみの気持ち」へ続く。

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