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『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


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第16話「文化祭前夜」

文化祭まで、あと一日。

青葉学園は朝からお祭り騒ぎだった。

廊下には装飾が並び、各クラスからはペンキの匂いや木材を切る音が聞こえてくる。

一年二組も例外ではない。

「そこもっと右!」

「看板落ちるぞー!」

「誰だ接着剤なくしたの!」

教室は大混乱だった。

しかし。

その中心には文化祭実行委員である悠斗と四葉がいた。

「テーブル配置終わったよ!」

「ありがとう!」

「メニュー表も完成!」

「助かる!」

二人は忙しく走り回る。

文化祭準備が本格化してからというもの、毎日遅くまで学校に残っていた。

疲れているはずなのに、不思議と嫌ではない。

四葉と一緒だから。

四葉も同じ気持ちだった。

昼休み。

ようやく一息つけた二人。

教室の隅でジュースを飲んでいた。

「疲れたね」

四葉が笑う。

「まだ終わってないけどな」

「うぅ……」

四葉は机に突っ伏した。

その姿に悠斗が笑う。

最近、自然とこういう時間が増えた。

恋人として。

友達として。

一緒にいることが当たり前になってきていた。

その様子を遠くから見ている人物が二人。

美咲と玲奈だった。

「仲良いなぁ」

美咲が言う。

「付き合ってるんだから当然でしょ」

玲奈が返す。

「分かってるけどさ」

美咲は少し笑う。

胸の奥が少しだけ痛む。

でも。

以前ほどではない。

時間が少しずつ傷を癒してくれていた。

「応援しよう」

美咲が言う。

玲奈も頷いた。

「そうだね」

放課後。

文化祭前日の最終準備。

教室は夕方になっても大忙しだった。

看板完成。

装飾完成。

メニュー完成。

ようやく終わりが見えてきた。

「終わったぁぁ!」

美咲が叫ぶ。

クラス中が歓声を上げた。

拍手が起こる。

達成感に包まれていた。

「みんなお疲れ!」

担任の佐伯先生も笑顔だった。

「明日は全力で楽しめよ」

教室から大きな返事が返ってくる。

解散後。

生徒たちは次々に帰っていった。

気付けば校舎にはほとんど人がいない。

そんな中。

四葉は教室に残っていた。

窓から夕焼けを見ている。

すると。

「四葉」

悠斗がやって来た。

「まだ帰ってなかったのか」

「少しだけ」

四葉は微笑んだ。

そして。

鞄の中から小さな包みを取り出す。

「これ」

「え?」

「文化祭頑張ったから」

悠斗は受け取る。

小さな箱だった。

開けてみる。

中には――

クローバーのストラップ。

手作りだった。

「これ……」

「頑張って作ったの」

四葉は少し照れる。

「下手だけど」

「そんなことない」

悠斗はすぐに首を振った。

「すごく嬉しい」

本心だった。

市販品よりも何倍も嬉しかった。

四葉が自分のために作ってくれた。

その事実だけで十分だった。

「ありがとう」

悠斗は笑う。

四葉も笑う。

夕日が二人を照らしていた。

そして。

「文化祭終わったらさ」

悠斗が言う。

「うん?」

「またどこか行こう」

四葉は目を見開く。

そして嬉しそうに頷いた。

「行きたい」

「じゃあ約束」

「約束」

小指を出す。

悠斗も笑って指を絡めた。

小さな約束。

でも二人にとっては大切な約束だった。

翌朝。

文化祭当日。

青葉学園は大勢の来場者で賑わっていた。

校門には大きな看板。

中庭には模擬店。

吹奏楽部の演奏も聞こえる。

まさに文化祭だった。

一年二組のメイド喫茶も開店準備中。

男子たちは黒のベスト姿。

女子たちは――

メイド服。

「うわぁ……」

教室に入った悠斗は思わず固まった。

四葉。

玲奈。

美咲。

みんなメイド服を着ている。

普段とは全く違う姿だった。

まず目に入ったのは四葉。

白と黒を基調としたメイド服。

髪には小さなリボン。

控えめな可愛さ。

しかし破壊力は十分だった。

「ど、どうかな?」

不安そうに聞く。

悠斗は即答した。

「似合ってる」

四葉の顔が真っ赤になる。

「そ、そっか」

嬉しそうだった。

その横では玲奈。

まるで雑誌モデルのようだった。

「似合いすぎる」

男子たちがざわつく。

玲奈はため息をついた。

「騒ぎすぎ」

だが少し照れている。

そして美咲。

「見て見て!」

くるりと回る。

「完璧じゃない!?」

「元気すぎる」

悠斗が笑う。

「それ褒めてる?」

「たぶん」

開店時間。

メイド喫茶は大盛況だった。

「いらっしゃいませ!」

「こちらへどうぞ!」

来客が途切れない。

評判は予想以上だった。

特に四葉の人気が凄かった。

「可愛い」

「天使か」

男子客たちがざわつく。

そのたびに悠斗は少し複雑な気持ちになる。

「嫉妬?」

休憩中。

玲奈が聞いた。

「違う」

即答。

しかし。

「顔に出てる」

玲奈は笑う。

図星だった。

悠斗は言い返せない。

文化祭は大成功。

クラス全員が笑顔だった。

だが。

まだこの文化祭には大きなイベントが残っている。

それは――

文化祭後夜祭。

そして伝説の。

キャンプファイヤー。

その炎の前で結ばれたカップルは幸せになれる。

そんな噂が青葉学園には昔からあった。

そしてその夜。

悠斗と四葉の恋は、さらに大きな一歩を踏み出すことになる――。

第16話 完

次回予告

第17話「キャンプファイヤーの奇跡」

文化祭後夜祭スタート!

揺れる炎。

流れる音楽。

そして悠斗が四葉へ伝える新たな想い。

二人に訪れる青春最大の甘い夜――。

第17話へ続く。

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