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『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


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17/17

第17話「キャンプファイヤーの奇跡」

文化祭当日。

夕方。

一年二組のメイド喫茶は最後のお客様を見送り、無事に営業を終えた。

「終わったぁぁぁ!!」

美咲が机に突っ伏す。

「疲れたー!」

「でも楽しかったな」

悠斗が笑う。

「過去最高売上らしいよ」

玲奈が報告する。

教室が歓声に包まれた。

拍手。

笑顔。

達成感。

みんなの表情は輝いていた。

この一か月、準備を頑張ってきた成果だった。

そして――

文化祭はまだ終わらない。

夜には後夜祭が待っている。

午後六時。

校庭。

空は少しずつ茜色から群青色へ変わり始めていた。

校庭の中央には巨大なキャンプファイヤーが組まれている。

周囲には生徒たち。

先生たち。

吹奏楽部の演奏。

文化祭の最後を飾る一大イベントだった。

「すごい人だな」

悠斗が呟く。

「毎年こうらしいよ」

四葉が答える。

二人は並んで歩いていた。

付き合っていることはクラス全員に知られている。

だから以前のように隠れる必要はない。

それが少しだけ嬉しかった。

やがて。

校長先生の挨拶。

実行委員長の挨拶。

そして――

点火。

大きな炎が夜空へ立ち上がった。

「おお……」

歓声が広がる。

炎は力強く燃えていた。

赤く。

明るく。

まるで青春そのもののように。

生徒たちは音楽に合わせて輪になる。

友達同士。

カップル同士。

みんな笑顔だった。

美咲もいた。

玲奈もいた。

二人とも楽しそうに笑っている。

失恋したとは思えないくらいに。

もちろん本当は色々な気持ちがある。

それでも。

今日くらいは笑いたかった。

青春を楽しみたかった。

「四葉」

悠斗が呼ぶ。

「ん?」

「少し歩かない?」

四葉は驚く。

そして頷いた。

「うん」

二人は校庭の端へ向かう。

キャンプファイヤーの光が届く静かな場所だった。

夜風が吹く。

文化祭の喧騒が少し遠く聞こえる。

二人だけの空間。

「文化祭終わっちゃったね」

四葉が言う。

「早かったな」

「うん」

一か月以上準備していたのに。

終わる時はあっという間だった。

少し寂しい。

でも。

それ以上に幸せだった。

「ありがとう」

四葉が言った。

「ん?」

「実行委員」

悠斗は首を傾げる。

「私一人だったら無理だった」

「そんなことないだろ」

「あるよ」

四葉は笑う。

「悠斗くんがいたから頑張れた」

その言葉は本心だった。

文化祭準備。

勉強。

恋愛。

色々なことがあった。

でも。

いつも隣には悠斗がいた。

悠斗は少し照れながら頭を掻く。

「俺も同じ」

「え?」

「四葉がいたから頑張れた」

四葉は目を見開く。

そして顔が赤くなる。

本当に。

この人は時々さらっと恥ずかしいことを言う。

その時だった。

ドーン。

夜空に花火が上がる。

文化祭フィナーレの打ち上げ花火。

「綺麗……」

四葉が見上げる。

赤。

青。

金色。

大輪の花が夜空に咲く。

その横顔を悠斗は見つめていた。

気付けば。

何度もそうしていた。

花火よりも。

景色よりも。

四葉を見ている自分がいる。

「どうしたの?」

四葉が気付く。

悠斗は少し笑った。

「いや」

「?」

「やっぱり好きだなって思った」

四葉の思考が止まる。

顔が真っ赤になる。

「な、ななな何言ってるの!?」

大混乱。

悠斗も少し照れていた。

でも。

今はちゃんと伝えたかった。

「俺さ」

静かな声。

「四葉と出会えて良かった」

「……」

「本当に」

四葉の瞳が潤む。

胸がいっぱいになる。

こんなにも幸せでいいのだろうか。

そう思うくらい。

花火が次々と上がる。

歓声が聞こえる。

でも二人には関係なかった。

今だけは。

お互いしか見えていなかった。

その時。

ふわりと風が吹いた。

四葉の髪が揺れる。

悠斗は自然に手を伸ばした。

そして。

そっと髪を整える。

「……!」

四葉の心臓が跳ねる。

距離が近い。

近すぎる。

顔が熱い。

「四葉」

「は、はい」

緊張で敬語になった。

悠斗は少し笑う。

そして。

ゆっくりと手を差し出した。

「これからもよろしく」

シンプルな言葉。

だけど。

何より嬉しかった。

四葉は涙ぐみながら頷く。

「こちらこそ」

そして。

その手を握った。

ぎゅっと。

離さないように。

遠くではキャンプファイヤーが燃えている。

友達の笑い声。

吹奏楽部の演奏。

夜空の花火。

その全てが二人を祝福しているようだった。

少し離れた場所。

美咲と玲奈がその様子を見ていた。

「幸せそうだね」

美咲が言う。

「うん」

玲奈も微笑む。

悔しさが消えたわけではない。

でも。

今は素直に思えた。

二人なら大丈夫だと。

後夜祭終了。

文化祭は幕を閉じた。

長かった準備期間。

たくさんの思い出。

たくさんの笑顔。

その全てが青春の宝物になった。

そして――

二学期はまだ始まったばかり。

次に待っているのは体育祭。

さらに深まる恋。

新たな試練。

未来へ続く毎日。

四葉のクローバーが導く物語は、まだ終わらない。

第17話 完

次回予告

第18話「体育祭とライバル」

体育祭シーズン到来!

リレー選手に選ばれた悠斗と四葉。

さらに転校してきた新たな生徒が四葉に急接近!?

悠斗の胸に初めて本格的な嫉妬が芽生える――。

第18話へ続く。

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