表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

14/17

第14話「初めてのデート」

八月中旬。

夏休みも半分を過ぎた頃。

藤崎悠斗には、最近ひとつの悩みがあった。

「デートって何すればいいんだ……」

自室のベッドに寝転びながら天井を見上げる。

恋人ができた。

白石四葉という大切な彼女ができた。

だが。

問題はそこからだった。

付き合うことになったものの、二人とも恋愛経験はゼロ。

毎日メッセージのやり取りはしている。

電話も少しだけするようになった。

しかし――

恋人らしいことは何もしていない。

「これはまずい気がする」

悠斗が真剣に悩んでいるとスマホが鳴った。

画面を見る。

四葉からだった。

『おはよう』

その一言だけで少し顔が緩む。

そして続けて届いたメッセージ。

『今度、一緒に出掛けない?』

悠斗は飛び起きた。

翌日。

二人は駅前で待ち合わせをすることになった。

時間は午前十時。

悠斗は九時四十分には到着していた。

「早すぎたな……」

落ち着かない。

何度もスマホを見る。

何度も時計を見る。

そんな時だった。

「悠斗くん」

声が聞こえた。

振り返る。

そして。

数秒固まった。

四葉だった。

白いブラウス。

淡い水色のスカート。

肩まで伸びた髪。

いつも以上に可愛かった。

「お、おはよう」

四葉も緊張している。

顔が少し赤い。

「おはよう」

悠斗も同じだった。

お互いぎこちない。

付き合う前の方が自然に話せていた気さえする。

今日の目的地は大型ショッピングモール。

映画館や雑貨店も入っている人気スポットだった。

「まず何する?」

悠斗が聞く。

「映画見たい」

四葉が答える。

「じゃあ映画からだな」

二人は映画館へ向かった。

上映されたのは恋愛映画だった。

高校生カップルの物語。

甘くて切ない青春作品。

上映中。

四葉は真剣に見ていた。

悠斗も集中していた。

しかし終盤。

感動シーン。

主人公とヒロインが涙ながらに再会する。

すると。

隣から小さな音が聞こえた。

「ぐすっ……」

四葉だった。

泣いている。

悠斗は慌てる。

ハンカチを差し出した。

「使う?」

「ありがとう……」

四葉は受け取る。

そして少し笑った。

「優しいね」

その笑顔を見て悠斗の胸が少し温かくなった。

映画終了後。

フードコートへ向かう。

昼食を食べながら映画の感想を話す。

「最後よかったな」

「うん」

四葉は頷く。

「でも途中は切なかった」

「確かに」

会話は自然だった。

付き合う前と変わらない。

そのことが少し嬉しかった。

午後。

雑貨店を見て回る。

文房具。

アクセサリー。

ぬいぐるみ。

色々な商品が並んでいた。

「可愛い」

四葉が立ち止まる。

見ていたのはクローバーのチャームだった。

銀色の小さな四葉のクローバー。

「欲しいの?」

悠斗が聞く。

「ううん」

四葉は首を振る。

「見るだけ」

だが。

その目は少しだけ名残惜しそうだった。

しばらくして。

別の店を回った後。

悠斗は一人でさっきの店へ戻った。

そして。

クローバーのチャームを購入する。

店員が笑顔で袋を渡してくれた。

悠斗は少し照れながら受け取った。

夕方。

屋上庭園。

モールの最上階にある小さな展望スペースだった。

ベンチに座る二人。

夕日が街を染めている。

風が気持ちいい。

「今日は楽しかった」

四葉が言う。

「俺も」

悠斗はポケットから小さな袋を取り出した。

「これ」

「え?」

四葉が首を傾げる。

「今日の記念」

袋を渡す。

四葉は驚きながら開けた。

中には。

あのクローバーのチャーム。

「……!」

言葉が出なかった。

「欲しそうだったから」

悠斗が言う。

四葉の目が潤む。

「嬉しい……」

本当に嬉しかった。

高価な物ではない。

だけど。

自分のために選んでくれたことが嬉しかった。

「大切にする」

そう言って胸の前で握りしめる。

帰り道。

駅へ向かう途中。

信号待ち。

人通りも少なかった。

四葉は少しだけ緊張していた。

ずっと考えていたことがある。

恋人らしいこと。

でも勇気が出なかった。

しかし。

今日だけは。

少しだけ頑張りたかった。

「悠斗くん」

「ん?」

四葉が小さく手を伸ばす。

そして。

そっと。

悠斗の手を握った。

「!」

悠斗の心臓が跳ねる。

四葉も顔が真っ赤だった。

「嫌だった?」

不安そうな声。

悠斗は首を振る。

そして。

握り返した。

ぎこちない。

でも温かい。

二人とも何も言えなかった。

ただ。

その温もりだけで十分だった。

夜。

帰宅後。

四葉は机に向かっていた。

今日もらったクローバーのチャーム。

押し花ノートの隣へ置く。

そして小さく微笑んだ。

「初デート」

思い出すだけで幸せだった。

一方。

悠斗もベッドに寝転びながら思い出していた。

映画。

買い物。

夕焼け。

そして。

手を繋いだ瞬間。

自然と笑みがこぼれる。

恋人になって終わりじゃない。

ここから始まるんだ。

二人の物語は。

夏休みはまだ続く。

そして新学期が始まれば文化祭も待っている。

新しい思い出。

新しい試練。

新しい出会い。

四葉のクローバーが導く未来は、まだまだ続いていく。

第14話 完

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ