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『四葉のクローバー』学園物語  作者: 優貴(Yukky)


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第13話「四葉の答え」

夏の夕暮れ。

オレンジ色に染まる公園。

蝉の鳴き声も少しずつ弱くなり、一日の終わりを告げていた。

ベンチの前。

藤崎悠斗と白石四葉は向かい合って立っている。

いつもなら自然に話せるはずなのに。

今日は違った。

胸が苦しいほど緊張している。

それは四葉も同じだった。

「話したいことがある」

悠斗の言葉。

その続きを待ちながら、四葉の心臓は激しく鼓動していた。

もし違ったら。

もし期待外れだったら。

そう考えるだけで怖くなる。

悠斗は大きく息を吸った。

そして真っ直ぐ四葉を見る。

逃げないように。

自分の気持ちから。

「俺さ」

声が少し震えた。

「ずっと考えてた」

四葉は黙って聞いている。

「美咲のことも」

「玲奈のことも」

「すごく大切なんだ」

四葉の胸が少し痛む。

やっぱり。

そう思ってしまう。

だけど悠斗は続けた。

「でも」

その一言。

「会いたいって思うのは」

「一緒にいると安心するのは」

「笑ってほしいって思うのは」

悠斗は小さく笑った。

そして。

「四葉だった」

時間が止まったような気がした。

四葉は目を見開く。

信じられなかった。

ずっと願っていた言葉。

何度も夢見た言葉。

だけど現実になるなんて思っていなかった。

「俺は四葉が好きだ」

はっきりとした声だった。

「付き合ってほしい」

夕風が吹く。

四葉の髪が揺れた。

視界が滲む。

涙だった。

「ご、ごめん」

悠斗が慌てる。

「嫌だった?」

四葉は首を振る。

何度も。

何度も。

「違うの……」

声が震える。

「嬉しくて」

涙が止まらない。

「ずっと好きだったから」

ぽろぽろと涙が零れる。

それでも笑っていた。

人生で一番幸せな瞬間だった。

四葉は涙を拭く。

そして悠斗を見る。

少しだけ勇気を出して。

「私も」

声は小さい。

だけど確かだった。

「悠斗くんが好きです」

言えた。

ようやく。

ずっと胸に隠していた想いを。

「よろしくお願いします」

四葉は微笑んだ。

悠斗も笑った。

「こちらこそ」

こうして。

二人は恋人になった。

その帰り道。

二人は並んで歩いていた。

いつもの道。

いつもの景色。

だけど全てが違って見える。

「なんか変な感じ」

四葉が笑う。

「何が?」

「だって」

少し照れながら言う。

「彼氏と帰ってるんだもん」

その言葉に悠斗も照れる。

「俺も慣れない」

「ふふっ」

二人は顔を見合わせて笑った。

途中。

いつもの公園の前を通る。

そこにはクローバー畑があった。

四葉は自然と足を止める。

「どうした?」

「ちょっとだけ」

しゃがみ込む。

いつものようにクローバーを探す。

すると。

「あった」

四葉のクローバー。

今日も見つかった。

四葉はそれを摘み取る。

そして。

悠斗へ差し出した。

「記念」

「記念?」

「付き合った日だから」

悠斗は受け取る。

小さな四葉のクローバー。

だけど。

何よりも大切な宝物に思えた。

その夜。

四葉は自室にいた。

押し花ノートを開く。

今まで集めた四葉のクローバー。

たくさんの思い出。

その最後のページに今日のクローバーを貼る。

そして書いた。

『2026年8月○日』

『悠斗くんと付き合った日』

文字を書いた瞬間。

また少し涙が出た。

嬉しい涙だった。

一方。

美咲は自宅のベッドに寝転んでいた。

スマホを見る。

そこには悠斗からのメッセージ。

『ありがとう』

短い文章。

でも全て分かった。

「そっか」

少し寂しい。

胸はまだ痛い。

だけど。

不思議と笑えた。

「よかったじゃん」

窓の外を見る。

夕焼け空。

幼なじみとして。

友達として。

二人の幸せを願いたい。

そう思えた。

玲奈もまた部屋で本を読んでいた。

しかし内容は全く頭に入らない。

「負けたなぁ」

苦笑する。

悔しい。

もちろん悔しい。

だけど。

悠斗が選んだのなら。

それが答えだ。

「幸せになりなさいよ」

小さく呟く。

そしてページをめくった。

新しい一歩を踏み出すために。

夏の夜。

満天の星空。

四葉のクローバーが繋いだ小さな出会い。

そこから始まった恋。

たくさんの笑顔。

涙。

すれ違い。

そして想い。

その全てが重なって。

今ここに一つの幸せな答えが生まれた。

だけど。

物語はまだ終わらない。

恋人になったからこそ始まる新しい毎日がある。

文化祭。

修学旅行。

進路。

そして未来。

二人の青春はまだまだ続いていく。

四葉のクローバーは今日も静かに風に揺れていた。

まるで二人を祝福するように。

第13話 完

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