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第一章 第五話 「魔界伝承」

 かつての魔界には、7人の魔王が存在していたが、人間界からの度重なる攻撃によって、最後には2人だけが残った。


 ・深淵の魔王

 ・慈愛の魔王


 2人の魔王は領土を持っており、とても仲が良く、まるで夫婦のような関係だった。

 しかし、人間界には魔界と魔王たちを脅かす、最強最悪の人間が存在していた。

 魔界と人間界で何度も大戦が起こり、どちらも多大なる被害が出て、ついに2人の魔王は倒された。

 全ての魔王達を、たった一人で倒した人間の名は____

 その名を口にしようとした瞬間、長老ゴブリンは胸を抑え苦しそうに呻いた。


「ぐぅ...」


「ちょっと、大丈夫ですか!」


 ママゴブが長老ゴブリンを支える。

 オルティマも驚き、心配そうに長老ゴブリンを見つめた。


「だだぶ?」


 大丈夫?と喋るオルティマの姿を見て、長老ゴブリンは笑顔を取り戻す。


「心配ありませんよ、オルティマ様」


 長老ゴブリンの胸には、大きな傷跡が残っているのが見える。


「これはあの大戦の時に、敵の攻撃を食らった時にできた傷じゃ」


 かつては長老ゴブリンやあの悪魔王メレスも、魔王達の側近だった。

 全ての魔王達が倒された今の魔界は、代わりに悪魔王メレスが管理している。


「そしてオルティマ様、あなたこそが2人の魔王により産みだされた最後の希望なのです」


 (私が……最後の希望……)


 オルティマは自分の両手を見つめた。

 これから待ち受ける大いなる困難、そしてこの魔界を守りたいと願う強い想いを胸に、オルティマは改めて強くなる決意を固めた。


 (私が……みんなを守りたい!だれも死なせたくない!)


 「そうだね!僕も同じだよ!強くなろう!」


 スラッちも同じ気持ちだった。

 二人の魔王に託された最後の魔王オルティマ。

 魔界に棲む全ての生物は、その最後の希望に縋りきっていた。

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