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第一章 第四話 「お友達!」

「魔王の生き残り」第四話公開!

「だだばば!」


転生してあっという間に半年が経ち、オルティマは喃語が盛んになってきた。

 自分で寝返りや、立って歩けるようになってきた。

 感情表現も豊かになった気がして、あやされると笑ったりもする。


(まだ赤ちゃんだけど、少しずつ大きくなってきてるな…)


 しかし、レベルはまだ1のままで、転生してからは全く強くなってはいなかった。

 恐らくだが、敵を倒して経験値を得ないといけないのだろう。


(早く戦いてぇーなー)


「オルティマ様ー!どこですかー?」


「やべっ、世話係のママゴブだ!隠れろっ!」


 ママゴブは本当のお母さんのように、身の回りの世話をしてくれる。

 だが、中身45歳の私からしたら、鬱陶しくてたまらない。

 前世の記憶を思い出しそうになりながらも、オルティマは自分の部屋の隅に隠れた。


「またどっかに隠れちゃったのかなー?」


 ママゴブは別の部屋へ探しに行ってしまった。


(よしっ!なんとかやり過ごせたな!)


 オルティマは部屋の隅から出ようとしたその時、何か粘ついたものを触ってしまった。


「ぶば?」


 その粘ついたものは、気色悪く蠢いている。


(なんだこれ?)


 すると突然、その液状の何かがオルティマの顔へと飛びついてきた。

 オルティマは驚き、咄嗟に横に倒れた。


(こいつはまさか!スライムか!)


 この魔界に棲むスライムは、知能も無く、一番弱い生物だが、それ故に魔王であるオルティマにも襲ってくる愚か者なのだ。


(ふふふ、スライムよ!お前は私の初めての経験値へとなるのだ!)


 オルティマは立ち上がり、スライムに狙いを定める。

 

「だだだ!!」


 そしてオルティマは何度もスライムを攻撃した。

 しかし、どれだけ殴ろうとスライムのブヨブヨとした体に弾かれてしまう。


(くそっなんて強敵なんだ!スライムごときに!)

 

 オルティマは机の上に置いてあった、ママゴブの私物である簪を、勝手に取り出した。

 オルティマは迷いなく、スライムへ簪を突き刺した。


「ぼぼだ!」


 だが、簪は液状の体を貫通し、スライムへのダメージは全くなかった。


(そん……な)


 次の瞬間、スライムは簪を体内へ取り込み、スライムの姿は徐々に簪へと変わってしまった。


(え?スライムが簪になった?)


「やぁ!こんにちは!」


(え!?簪が喋った!?)


「僕も驚いたよ!簪に不思議な魔力が宿ってたみたいで、知力が劇的に上がったみたい!」


(え!?私の心の中も読めるの!?)


「読めるよ!さっきはいきなり襲ったりしてごめん」


 オルティマは目の前の光景が信じられないほど、びっくりしていた。

 この世界に来て、初めて話せる相手だった。


(こちらこそ、ごめんなさい。)


 一応、オルティマもちゃんと謝った。

 もしかすると、話せる簪のスライムなど、この世界にはいないのかもしれない。


「そうだ!お友達になろうよ!」


 簪スライムはお友達になろうと言ってきた。


「!?」


 そんな言葉を聞くのはオルティマにとって妙に胸に刺さる。

 いや、45歳になるまでずっと部屋に引きこもり、ゲームをしていた前世の孤独な自分は、人生で一度も言われたことのない、信じられないほど新鮮な言葉だった。


(……おっさんに向かって、お友達、ねぇ)


「おっさん??」


(なんでもないよ、お友達になろう!私はオルティマだよ!)


「うん!これからはずっと一緒だよ!僕のことはスラっちでいいよ!」


 オルティマは簪を手に持ち、髪に挿し込んだ。

 この世界で初めての友達ができた。

 それは前世の男にとって、大きな影響を与えたのであった。


読んでくれてありがとうございます!

ぜひブクマや感想お待ちしてます!

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