ハングル文字が読めんっ・・・!
韓国人の先生が教室に入り韓国語の授業が始まった。
韓国人なのに日本がとても上手だ。それにいい歳したおじさんなのに結構イケメンだ。
教室のみんなも先生の顔の良さに夢中である。
「あの先生カッコよくない?」
「50代に見えないよねー!」
などと話をしているが、奏音はあんまり興味なさそうな顔をする。
そんな事より奏音は韓国語の教科書を見てゾッとしてしまった。
「これ、記号じゃん・・・」
小声でボソっと呟いた。だってどこからどう見ても記号にしか見えないし、文字って感じがしない。
そもそもどう読めば良いのか分からない。まさか韓国語がこんなに難関なものとは思わなかった。
奏音は名門女子大に受かった頭脳を持ってしても韓国語は無理と感じた。
そんな奏音の隣に座るのは奏音の親友と勝手に思っている佐々木千早。千早は奏音の雰囲気が暗くなったのをいち早く察した。
「奏音、どうしたの?」
「いや、あの・・・ハングル文字なんて読めないよ・・・」
奏音の言葉を聞いて呆れた顔をする千早。授業ではまだ先生の自己紹介しかしていないのに何言ってんだコイツって顔をしている。
「まだ最初の授業何だから読めるわけないじゃない。私も読めないし」
「で、でもあたし大体の事は教科書を少し読んだだけで理解できたし・・・」
「普通は教科書を少し読んだだけでは理解出来ないんだけど」
千早は奏音のことを恐らく天才の類の人間だと思った。
千早の人生にも奏音みたいな教科書を軽く読んだだけで全て分かる天才型がいたから。天才故に挫折もしやすい。
恐らく奏音も天才。それ故に挫折しやすいのだろう。
実際、いま挫折しかかっている。
挫折するのは良い。そこから這い上がれば良いだけだから。しかし千早は奏音と同じ授業を受けて単位を取りたい。
だから千早は昔から噂になっていた事を言ってみた。
「外国語ってテストの成績より出席点の方が大事らしいわよ?だからハングルが読めなくても毎時間授業に出たら単位は取れるから安心したらどう?」
「へっ?そうなの?」
「多分。」
「良かった〜。もう二度とこの授業に出ない様になるところだったよ〜♪」
(う〜ん、この何と言うか・・・天才型ってすぐやる気無くすよなぁ〜)
千早は奏音を見てると少し危なっかしさを感じたが、そんなところも奏音の良いところだと思い、親友として支えていきたいと感じた。




