友とは何もしなくてもそこにいるだけで心安らぐ存在である
「あ、アンタは奏音じゃない!」
「また会えたね、千早ちゃん♪」
先程の2限目に隣の席になったゴスロリの女の子、佐々木千早。彼女はこの時間は講義がなかったみたいである。
「千早ちゃんは何でここにいるの?授業取ってないの?」
食事に全く手を付けないで奏音は千早に馴れ馴れしく話しかける。出会って1日で友達のような感じで話しかけてくるのは人よっては馴れ馴れしいの極みだと思うだろう。
「何でって・・・やることないから。入学したばかりだし友達もいないしサークルも入っていないから」
「サークル入っていないんだ?じゃあさ、あたしと同じサークルに入ろうよ♪書道サークル!あたし、昨日入ったばかりなんだ♪」
満面の笑みで話しかけてくる奏音、しかし千早は表情を変えずに一言言った。
「やだ」
「え〜!何で〜!?」
「私、みんなでワイワイしたり騒いだりするの苦手だから・・・」
「そんな人いないよ?部員もまだ3人しかいないし・・・」
「既に私の目の前にいるんだけど・・・」
そんな千早の言葉を奏音はスルーして、ようやく食事に手を付ける。
奏音が美味しく味わって食べている間、千早は思ったことがある。
会ったばかりなのに奏音といると物凄く居心地が良いのだ。自分とはタイプが全然違うのにその場にいるだけで落ち着く・・・。千早はゴスロリな服装を好んで着るのだが、そんな自分の事を否定したりは絶対にしないだろうと確信できる。
そんなところが凄く居心地良く感じる。
きっと友とはこういう存在なのだろう。
千早はこの時、奏音と友達になりたいと思った。もっと奏音の事を知りたいとも。
「はあ〜〜お腹いっぱい♪♪」
千早が奏音に様々な感情を抱きかけていたところであるが、奏音はちょうどご飯の完食したところだ。
美味しくてお腹いっぱいでお腹をポンポンと軽く触る。
そんなところが少しおっさん臭く見えてしまう。
「あ、そだ!千早ちゃん、次の授業なぁに?」
唐突に話題を振ってくる・・・、そんなところも会話が苦手な千早には有り難く感じる。
「次は韓国語ね・・・。奏音は?」
「あたしも韓国語♪一緒の授業だね!隣に座ろうよ♪」
入学したばかりで知らない人ばかりだから知った人が同じ授業にいると嬉しく感じる。
「良いけど・・・」
「そんじゃあ決まりだね♪宜しくね♪」
千早は終始無表情であったが内心凄く嬉しそうな感情をしており、心の中では「よっしゃぁぁっ〜!!」と叫んでいた。




